内藤律子さん写真展
馬好きなら内藤律子さんをご存じではないかと思う。オグリキャップの引退後の写真集『白の時間』など、数々の写真集を出している写真家で、実は浦河に住んでいらっしゃる。
今、浦河の図書館で彼女の写真展が開催されており、先日、内藤さん自身が撮った写真について語るというので、いそいそと出かけて行った。
我が家では去年、内藤さんのとねっこカレンダーを日々眺め、写真がとっても気に入っているので、今年になっても、写真の部分だけ飾っている。
トークショーみたいな、一方的にお話を伺う形式なのかと思ったら、来年のカレンダーに使用した写真が展示されていて、その1つ1つを一緒に見ながら、説明してくれた。どうしてその月にその1枚を選んだのか、とか、撮ったときの様子や苦労なども話してくれたし、たくさん、質問にも答えてくれて、とっても素敵な時間だった。
道路を車で走っていて馬が見える浦河だが、牧場との信頼関係があってこそ、至近距離での撮影ができるのである。海外でも馬の写真を撮られているが、外国では馬の盗難があるからなのか、競走馬が道路から見られるところはほぼないそうで、道路から見えるのは乗用馬が多いと言う。
馬産地日高の中でも浦河が気に入られた理由は、門別あたりまでは人工的な植林が多いせいか、牧場の写真を撮ると、なぜか似通った写真になるそうで、浦河は山を覆う木々が自然で、表情があると、その例となる展示中の写真を示しながら話してくれた。
シンザンとかオグリキャップとか種馬になった馬たちの走った姿を撮ってほしいと依頼を受けて撮影に行くと、種馬は自分の放牧地をテリトリーと思っているから、もちろん、一人で放牧地に入って写真は撮れないし、馬もカメラを向けたからといって走ってくれるわけでもない。厩務員さんが追って走っているのを撮るが、なかなか自然な姿にならない。何度も走らせては撮るということをしていると、馬は賢いので、この部外者がいるから走らされていると気づき、内藤さんに向かってきたりするのだそうだ。危ない目にもあっているものの、かつては牧柵だから、逃げることができたが、最近は網目の入った牧柵で隙間がないから逃げられない。今は放牧地の外で撮るのだそうだ。
一方、とねっこカレンダーのような仔馬を撮ろうとすると、母馬が仔馬を守ろうとするので、これまた注意が必要だ。毎日のように通われて、写真を撮っている姿を見せているからこそ、警戒されずに、自然な姿を撮れるんだなぁと改めて、1枚1枚の写真の素晴らしさを感じた。
写真展は今月いっぱい、開催されるので、ご興味のある方はぜひ。