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私と蟻との3日間戦争

遅まきながら、新緑の候、といった感じ。さまざまな色の緑が互いを引き立てあっている。

予兆

ある晩、いるはずのないところに蟻を発見したことから、それは始まった。

ベッドの近くだ。妙に思って、周囲を監視。が、他には見つからなかった。しかし、軽井沢で学んだことは、1匹いたら入口はもう開いているということだ。目の錯覚なんてない。現実に目を向け、最悪の事態を想定して、寝る場所を2階へ移動した。

Day 1

翌朝、ベットルームは野原と化していた。蟻がそこここを歩き回っている。叫びたい気持ちをなんとか抑えて、着替えも後回し。まずは退治せねば。

よく見ると床だけではなく、壁、窓枠とどうしてここにと思うところをせかせかと歩いている。むむ、天井までいる。3Dと来たか。

ログハウスの木が乾燥と湿気を繰り返した年月のために割れている箇所がいくつもあり、そこから次々と入ってくる。殺虫剤をあるだけ使って、掃除機で吸い取るが、敵は手強い。最初から数では負けているのだ。何度も掃除機をかける。

こういう時に限って、急ぎの翻訳が入る。短いからとにかく急いで訳し、完了と同時に、乗馬レッスンへ向かい、途中で、蟻用の殺虫剤を購入。

棚に数種類、なおかつ大きな容器のものが並んでいるところを見ると、苦労しているのは私だけではないと知る。ちょっと表情が緩んだ(と思う)。

レッスンを終え、急いで帰ると、まだ野原状態。一箇所の入口から入ってくるのではないので、目移りする。忍者分身の術みたいだ。

とにかく侵入口を塞ぎたく、木の割れ目という割れ目に殺虫剤を注入しては掃除機をかける。この繰り返しだ。

殺虫剤で息苦しいので、別の部屋で仕事をしながら、時々様子を見に来ては掃除機をかける。歩く蟻を見かけなくなった。少し安心。

Day 2

翌朝、大家さん経由でログハウスメーカーの人から電話があり、家の中だけでなく、外を見て下さい。巣穴が特定できたら、熱湯をかけて下さい、とのアドバイス。そうか、灯台下暗しであったな。敵は外から来るのだ。

外を見てわかったのは、この何気なく立てかけてある木が地面からの橋の役目を果たしていることだ。

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すぐに切り離した。(どうだ!という達成感あり)

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が、巣穴は見当たらない。蟻がいるのは全て壁だから、熱湯のかけようもなく、馬が近いので憚られたが、木の割れ目に殺虫剤を注入。窓枠の下がいい感じの住処になっていたらしい蜘蛛もたまらず、出てきた。益虫なのに申し訳ないね。

これで侵入が激減。一安心。まだちらほら入ってくるが、殺虫剤が効いて、決壊を打ち破って入ってきても生きては帰れない。ホテルカリフォルニアの歌詞ではないが、You can never leaveだわね。

Day 3

朝、恐る恐るベットルームに入ったが、死骸があるのみ。そんな数ではない。日中、何度も掃除機をかけたが、家の中で生きている蟻がいるとしたら、白旗を振るしかなかろう。外に出してくれ、というかもしれぬ。殺虫剤のにおいがきつくて、サンルームで仕事をした。

夕方の感じではもう安心して良さそうだ。しばらくは2階で寝ようと思う。

休戦

1人で戦うのは大変だ。パレスチナとイスラエルのように今は休戦だが、またあるかもしれない。周りが放牧場なのだから、仕方がない。馬が見えるのと見えないのと選べと言われたら、馬が見える方を絶対に選ぶわけだから。

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