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マスターソンメソッド®再び - あくびが止まらない

5月末にマスターソンメソッドという馬のマッサージのデモを愛馬で行ってもらった。

今回はデモではなく、実際に愛馬のために愛馬の体の状態に合わせたボディワークをしてもらった。

場所も愛馬の馬房の隣の空き馬房で行った(なので、砂浴びしようとしたり、立ち上がるようなことはなかった)。最初はえーっと、このシチュエーションはなんだっけ? と神妙な顔で考えていた。

えーっとなんだったかな、これは? と思考を巡らせている風。

愛馬の体の調子はすこぶる良い。特にどこかに痛みがあるから施術をお願いしたのではなく、町民乗馬大会でたくさん障害も飛んでくれたことだし、見た目にはわからない筋肉の疲れとかこわばりがあったら、ほぐしてあげたいと思ったのだ。

デモで見たテクニックと同じもの、違うものを織り交ぜて、愛馬に合わせて施術を行ってくれた。最初こそ、緊張した様子だったが、すぐに受け入れたのか、思い出したのか、すっかりリラックスし、体が緩んでくると、大あくび。これはボディワーク中というよりも、あるテクニックをして、その反応を見るためというか、馬自身が感じたことを処理するために、施術をしてくれた千本木さんが馬のそばを離れて、いわば一人にしてあげると、安心して感じたままを体現するようで、見ていて面白かった。(カメラを構えていると、最初はあくびを我慢していた。超リラックスした状態は無防備だからか、見られたくないもののようだ。)

気持ちええ~
おっと、見せてはいけなかった
何もしてないっす
だめだ、やっぱりあくびがしたい
みてなかったよね?

愛馬は右の顎関節のあたりが疲れていたようで(毎日草を食むから、実は一番酷使している場所なのかもしれない)、体の他のどの部分を触られても抵抗はなかったが、そこだけは触ってくれるな、とサインを出した(顔を振って手を払いのけた)。馬ってこんなにはっきりと意思を伝えてくるんだ、と見ていて思った(なかなかこういう場面は写真に撮れず、お見せできないのが残念)。施術は触ってもみほぐすとかではないので、触ってくれるなと言うなら、そこが実は固まってるんじゃないの? と言う風に、千本木さんの手が遠くから気でも送るというか、赤外線ポインターで「ここ」と指し示すように手をかざすことで、馬がそこを意識して、自ら動かせばそれで良いのだそうだ。

最後の方に後ろ脚をいつもとは違うかなり内側に誘導して蹄を下に下ろし(下の写真の下の矢印が右後脚を誘導した場所)、そうすると写真の上の矢印の方向に腰が下がる。これが気持ちよかったみたいで、しばらくその脚の位置をキープして、腰の筋肉が伸びる(?)のを楽しんでいたように見えた。

馬自らがこうして腰の高さを変えて、腰のあたりのこわばりをほぐすという仕草を知らないのではないかと思った。これを体験して学べば、馬自らこの動きができるのかも

せっかく千本木さんに浦河まで来てもらったので、他にも希望者がいるかもしれないと思い、声をかけて、希望された方のところにも施術に伺った。

カモミール香るCandy Farm

愛馬の次に伺ったのがCandy Farmさんだ。

とても素敵な牧場で、繁殖を引退した牝馬のお世話をしていらっしゃる。施術をしたのは、かつて桜花賞で3着、その後繁殖馬としても長年活躍した30歳のホーネットピアスさん。

カモミールがたくさん咲いているいつもの放牧地で青空の下、行った。

最初は知らない人に触られたくないの、とごくごく小さな声で伝えてきているようだった
ちょっと失礼しますね、と口の中のハミを通すあたりの上あごに指でタッチ
気持ちよいって思ってくれた風。顔がやさしい
自分が感じている顎のあたりのゆるみを処理しているように見える
一緒に放牧されている馬が気になって遠巻きに様子を見に来た(=野次馬ちゃん)

何年も種付け、出産を繰り返したからか、後ろから近寄られるのを嫌がっていた。もう出産はお断り、という強い意志に感じて、なんだか悲しくなったけど、Candy Farmさんの愛情をいっぱい受けて、夜間の放牧に出たければ外で、馬房に戻りたければ、馬房で過ごしている等のお話を伺い、また施術後、仲間の馬と一緒に草を食む姿を見て、とても暖かい気持ちで牧場を後にした。

重種にも

もう一人、希望をされた方がいて、翌日、訪ねたのは大きな重種、輓馬のベイシー。よく行事で馬車を引いたりしている。ベイシーの母親は乳母で、乳母として働くためにベイシーを生んで、たった5日間で乳母として仕事にでてしまった。残った仔馬は肥育に出され、売られるところを今のオーナーのご夫婦が買い取って、ずっと愛情を注いでいるという馬だ。体は大きいが、心は優しく、穏やかで、愛情しか知らないし、母馬から様々な馬の作法等をおそわらなかったからか、群れに入っても、お先にどうぞと、体が一番大きいのになんでも一番最後になってしまうタイプ。

人間に愛されてきた馬だから、千本木さんが触ることに全く抵抗はなかったが、感じたままをそのまま表現し、他の人というか馬に見せることはしない(感じたままには行動せず、感じてもそれを我慢する)習性を身に着けたのか、なかなかリラックスした様子を大っぴらには見せてくれなかった。

なんかそこ、ちょっと気持ちいいかも
大きな馬は脚も重いから、持ち上げるのも力仕事だ
尻尾をちょっと持ち上げてリラックス

段々と気持ちよくなってきた様子で、アブを気にして顔をアブを追い払うためにひねった拍子に口をもごもご、ちょっと気持ちいいなぁという仕草をしているのが、ものすごくかわいかった。正面に顔を戻すと、いや、そんなことはしてません、ともとの可愛い顔になっていた。

気持ちよくても気持ちよい顔は見せないぞ、と我慢している風

最後に腰の一番高いところから、左右両手の指ですぅっと指を後ろ脚までなぞって行くように下ろすようなテクニックをすると、ヨガの猫のポーズのように背骨がぐぅっと盛り上がるのが、はっきりと見えて、はた目にも馬自らが体をつかってほぐしているように感じた。


ヨガの猫のポーズ

馬の反応もそれぞれだし、どう感じたのか、直接話を聞くことができないが、今回、愛馬以外への施術を見させてもらって思ったことは、馬って色々なことを伝えようとしているなということだった。もっともっと馬の伝えて来ることを理解したいと思った。

千本木さんにはまた来てもらおうと思っているので、次回、愛馬はどんなことを伝えて来るのか、楽しみだ。

こちら、ご参考まで


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