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山は見るもの、登るもの

毎日、日高山脈を窓越しに見ながら、仕事をしている。上は現在滞在中の部屋からの写真だ。浦河の中で運転をしているときも、日高山脈の絶景スポットがそこここにあって、特に冬は真っ白な山脈が際立つ美しさにはっとしたり、うっとりしたり。私にとって山は見るもの。

近年は山ガールなる言葉もあるくらいで、良い季節になると、多くの人が山に登る。いつだったか、中央線特急(あずさ1号!)に空いていると思って立川から乗ろうとしたら、山に登る人々で立つところを見つけるのも大変なくらい混んでおり、グリーン車も含めて指定席は全席完売と放送が流れていた。自分自身は山登りをしようとは思わないが、新田次郎の小説『孤高の人』がとても良くて、山に惹かれる気持ちはあの小説で擬似体験したように思う。

なぜ山に登るのか? そこに山があるから(Because it's there)と言ったのはイギリスの有名な登山家、ジョージ・マロリー。彼がそこにあると具体的に頭に描いていたのはエベレストだった。そんな風に、日高山脈を見ながら、そこに山があるからって登る人っているのかなぁって思っていたら、たまたまつけたTVにいたんです。と言うか、この人、北海道を南北に走る(多分大陸がぶつかってできた)山脈を縦断。分水領、つまり、北から出発したので、尾根をずっと歩いて、その右の雪は日本海に流れ、同じ雪でも左側はオホーツク海に流れる、その分かれ目をずっと一人で歩いたんだそうです。しかも冬に! その最後の部分が日高山脈で、終点が襟裳岬。

山を登るのではなくて縦断。それを紹介する番組に思わず見入ってしまった。山は見るもの、登るものって思っていた私の頭にちょっとした衝撃を与えた。670kmを60日かけて縦断!

90%は苦しいのだけれど、後の10%がそれを補って余りある、溢れるほどの喜びをもたらしてくれると語っていた。日々の本当に小さな幸せ、例えば冷えた体に温かい食べ物で体が内から暖かくなって行くとか、そんなことがまた前に進む力になったそうだ。

北海道限定の放送だったけど、なんか良かったなぁ。明日から日高山脈を見ながら、小さな幸せが前に進ませてくれることを思い出そうっと。

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