馬留学 - Body Awareness
昨日今日はものすごい風雨で、最後の週末だが、外に出かける気になれなかった。Talland滞在3週間目が終わろうとしている。Week 3にも色々な学びがあった。
とにかく動かしてみる
校長のパミーさんはとても気さくな方で、何か聞きたいこととかない? と気軽に話しかけてくれる。恐れ多いと思いながらも、自分の騎乗で足の位置が安定しないと話すと、「馬の上で体をとにかく動かしてみるといいわ。インストラクターにあぁしろ、とか言われて直そうとすると、それだけで人間はどこかに力が入って動きづらくなる。だから、とにかく体を動かしてみれば良いのよ。こう動かしてみたらどう感じるか、馬はどう反応したか、試してみる事ね」と話してくれた。目からうろこの回答だった。
Body awarenessってよく聞くけど、まさにこのことではないかと思った。これまで生きてきて、自分の体の隅々まで知りつくしているようで、意識して動かしてみたことがない箇所が実はいっぱいあって、動かしてみたらどう感じるかさえ知らないでいるのかもしれない、と遅ればせながら(決して運動神経が良いタイプではないもので…)初めて気づいた。そうだ、試してみよう。
不快が実は正解
3週目にして、ブライアンさんから初めてレッスンを受けた。パミーさんのご主人であり、国際的にコーチとして活躍していた方で、これまでにおそらく何千人というライダーを見てきた方だと思う。その彼が、これまでに馬に乗ったとき、左右が対象で、ゆがみがない人は2人しかいなかった、と話してくれた。このレッスンで何がしたいかと聞かれたので、足の位置を直したい、と話すと、そのためにはまずシートがどうなっているか、見てみようと、サドルの上で右の膝を前にして、左後ろを見てごらん。じゃぁ、次は左の膝を前にして右後ろを振り返ってごらん。どっちが動かしやすかった? 自分は右が動かしやすいと感じたのだが、ブライアンさんはいや、左だね、と指摘。動かしやすい、動かして快適って思っていることが、実は動いていないことであったりする、と説明してくれ、常歩で先ほどの動きのチェックから、動きが小さいというか、あまり動いていない右側を動かすとどうなるかを輪乗りしながら試した。それを速歩でもやってみた。そうすると、いつもと違う体の使い方になるから、肩が落ちた感じになったり(壁に大きな鏡があるので確認できた)、今までと違うバランスを感じたり。それを修正しながら、正しい位置を感じるレッスンだった。なんだか違う、ちょっと不快と思っても、それが正解、正しい姿勢で、それが馬を動かしやすくする。逆に自分が快適、動かしやすいから動かしている動きが馬へのストッパーになっていたりすることを実感するレッスンだった。
どうした?
もう一人、3週目にして初めてレッスンを受けたルパートさん。国際的な大会でかなり上の方まで行った方だと他の人から聞いたが、フリーランスのインストラクターで、Tallandに2週間おきに来て2日間レッスンを行っている。彼にもレッスンで何がしたいかと聞かれたので、色々できないで悩んでいることを話すと、One at a time(1つずつね)と、その日は足の位置を直すことに注力するレッスンにすることにした。常歩から速歩に移行し、また常歩にして停止。それをずっと鐙に立ったままで行う。同様に駈歩をしたり、速歩にしたり、色々な練習をした。意図しないで、たとえば駈歩が速歩になってしまい、すぐに駈歩に戻すのだが、そのときWhat’s the matter? (どうした?)と聞かれる。なぜうまく行かなかったのかを自分で説明することを求められる。とてもカジュアルに(決して、何でできないんだ!といったトーンではない)、できている姿を描いてみていたら、あれってなったときにWhat’s the matter?って聞く感じ。自分でもあれって思っているわけで、その原因を「下手だから」で終わらせないというか、説明することで、次はそうしないようにしようって思うし、できない原因もはっきりする。これまたBody awarenessだなと思った。そしてなにより、あれってなった後に次がうまく行けば、すぐにMuch betterとか、Well doneと言ってくれるので、モチベーションが上がる。
レッスンが終了するときに、何かを直そうとしているとき、何かにトライしているとき、ちょっと無様な騎乗になっても、それはOK。OKとすることが大事と教えてくれた。高いレベルまで上り詰めて行った人からの言葉だけに、深く心に留めておきたい。