
どさんこが引く馬車
浦河の紅葉は、たとえば京都の紅葉のような楓が真っ赤に染まるような、そんな感じにはならない。秋と冬は重なって来る感じだし、真っ赤とか、はっきり黄色というよりも、茶色っぽい、オレンジのような葉の色が多いように思う。紅葉しているのだけど、なんとなくぼやけた色で、私の頭の中にある紅葉のイメージとはちょっと違う。それでも、イチョウ並木っぽい通りがあり(東京の外苑のイチョウ並木とはだいぶ異なるが…)、黄色くなっていた。

週末にここを通って、さらに帯広へ向かう山道(天馬街道)の途中にある上杵臼というところ(同じ浦河町内)へ行った。庭で3頭の馬を飼っている方を訪ねたのだ。

この日、知り合いを通じて、初めてお会いする方(女性)で、お話を聞くだけのつもりで伺ったら、もう馬車の用意をしてくださっていた。
ながくエンデュアランスをされていたそうで(120㎞のレースにもでていた!)、そのとき乗っていたどさんこ1頭(おそらく30歳ちかい20代)、その娘でどさんことアラブのハーフの1頭(まだ若い)、父親ではないけど、アラブの3頭を庭の木を切って伐根し、作った馬場(柵や小屋は廃材で作ったのだそう)で飼っている。馬場は2か所あって、母娘を1つの馬場で、もう1つはアラブの子が1頭で過ごしていた。



馬車を引いてくれたのはどさんこ。馬装から見せてもらった。馬車のための馬具を作る人がいなくて、ハーネスやらなにやら、力がかかるものだから、どうしても修理が必要になるのに、すごく困る、と話してくれた。


馬車は上の写真のような簡単な作りだが、大人3人を乗せ、どさんこ1頭ながら、軽々と走ってくれた。側対歩になったり、普通の速歩になったりしながら、リードホースを務めてくれた娘の後をついて行く。駈歩になることもあった。が、オーナー兼御者が駈歩はさせないの、と言いながら、速歩に落としていた。御する手綱は古い調馬索よ、と説明してくれ、リードホースがいると操縦が楽だそうで、ほぼ力要らず、と両手を開いてみせてくれた。前の馬が速歩ならば速歩だし、常歩なら常歩になる感じだった。

牧草の色がまだ緑で、紅葉する木々とのコントラストがとてもきれいだった。

近くに石灰を切削しているところがあり、平日はダンプが通ることもあり、平日は馬車は走らせないそうだが、冬になれば馬橇で町内のこどもたちを楽しませたりもするそうだ。私もすっかり楽しませていただいた。馬でエンターテインメントというか、おもてなしができるってすごく素敵!って思った。

落ち葉がはらはらと舞っていて、曇り空だったけど、きれい!

この後は庭でお茶をいただきながら、色々とお話を伺った。同じ町内でも私の家は海側で、気温がかなりちがった。愛馬に乗った後の薄着で行ってしまい、寒くて、上着やらひざ掛けやら借りたほど。でもとてもとても楽しい時間だった。
そうそう、コクワの実(サルナシ)を食べたことある? と聞かれたので、ない、と答えると、あそこにあるから、ぜひ食べてみて、と言われ、2頭の馬のいる馬場の柵に足をかけて、木からもぎ取って収穫。たくさんなっていた。コクアの実は一度氷点下になって、甘みが増したそうで、表面の皮がちょっと皺がよっていた。これが食べごろのサインなのか、本当に甘くておいしかった。ベビーキウィとも呼ばれるそうだ。興味津々で様子を見に来た馬にあげると、気に入ったようで、もっとちょうだい、とだいぶせがまれた。一緒に歩きながら、馬と同じものを分け合って食べるって、なんだか楽しい気分。
写真撮り忘れたので、興味のある方はこちらをご覧ください。ネットで販売もしているようです。