もう冬
はぁ、今さっきまでとてつもない暑さだったのに、
急に冬がやって来ましたか。
最近の地球はあたふたしてらっしゃるようで。
冬、ですか。
私、冬は嫌な思い出しかないのですけれど、
その、一部のお話でもしましょうかね。
私は今までに何度か閉鎖病棟へ入っていた事がありましてね。
理由は、自殺未遂だとか行き過ぎた自傷行為、不登校だったり、世間的に許してはくれないことだったり…
色んな理由で入りましたの。
初めて入ったのは、そう、冬の季節でした。
確かその頃は父と上手くいっておらず、冬休みの期間だけでも父と離れたいと強く訴えた結果、入院が決まりました。
その頃はまだ幼かったので、児童思春期病棟の
入院となりました。
もちろん閉鎖病棟ですので、外には出られません。
苦手なのは父だけであったのもあり、入院初日の夜、家が恋しくなり、「お母さんに会わせて」と
泣き叫んだ思い出があります。
我ながら勝手ですね。
自分から入院を望んだのに、こんな甘ったれて。
一思いに殴ってやりたいです。ふふ。
何回も入院していると、やはり慣れてくるもので、
もはや家のような感覚です。
あの病院には、長くて1年、早くて1ヶ月で戻ってしまうので、戻る度に「ただいま」と、看護師さんを困らせていました。
申し訳ないですね。ははは。
寒くて布団から顔をのぞかせて、部屋の窓を見る。
外は真っ暗で、まるで生きた心地のしないような、
闇の深さに、涙が出ることさえありました。
お母さんに会いたい。
みんなと話しをしたい。
暖かい家に戻りたい。
過去に戻りたい。
願ったって無駄なのに。
入院中ずっと、健気に願い続けていました。
1ヶ月で退院出来ると言った医者を、恨んでいます。
だって、退院したのは6ヶ月後なんですもの。
鬱が悪化しただとか、そりゃ悪化するわよ。
あんな環境にいちゃ。誰でもなるわよ。
閉鎖空間で逃げ場が無い故に、虐められることだってありましたし、ご飯を残す度に私の体型を見て、ダイエットしてるの?痩せれなくて可哀想 と罵る奴さえいました。
その頃の私は過食症患者でした。
その子は拒食症患者でした。
同じ闇を抱える人間同士が一番共に生きてはいけないと、実感させられるのでした。
もう私は戻りません。
いじめなんてもう懲り懲り、私には生きる理由があります故、あんなバカげた空間にはお邪魔しません。
私を知るおばかちゃん共よ。
自由に生きなさい。
私も自由に生きるから。