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「幸せな金曜日を過ごすために。」わせだ子ども食堂とママの休食に共通する、ある”想い”とは?

「あらゆる孤立を解消したい」
決まって、そんなワードで選挙演説をスタートしてきた議員がいます。それは、埼玉県三郷市で市議会議員を務める寺沢みささん。寺沢さんは、令和3年8月から市議会議員として初めての任期をスタートさせました。

女性が抱える問題に特化した市議会議員としてシングルマザー、子育て、ダブルケア、DVなどの問題に取り組む一方、みささんは「わせだ子ども食堂」のアドバイザーとしても活動。2022年2月からは、ママの休食と連携し、子育て世帯への健康支援・食品ロスを減らすための取り組みをスタートしました。

今回のnoteでは、三郷市議会議員・わせだ子ども食堂の寺沢みささんと、「ママの休食」を運営する株式会社MYPLATE代表の川端しきが対談を実施。取り組みのキッカケと、それぞれの取り組みに対する思いを伺いました。

▼わせだ子ども食堂との取り組みの内容はこちらから

寺沢 美紗(てらさわ みさ・右)
三郷市議会議員(無所属)/わせだ子ども食堂アドバイザー/調理師/防災士/3姉妹ママ/11年前の離婚をきっかけにひとり親・貧困・孤育てを経験。当事者視点にたった『女性が抱える問題』に特化。ひとり親・子育て・ダブルケア・離婚問題・DV等に取り組む。また防災士として『女性の視点にたった防災』を提言。
ママ達の『あったらいいな』を形にしたわせだ子ども食堂を主催(現在代表は交代)

川端 史紀(かわばた しき・左)
株式会社MYPLATE代表。管理栄養士の資格を取得後、モバイルコンテンツ企業での栄養指導事業の立ち上げ、コンテンツ企画、研究事業などを担当。世のなかのヘルスケア課題に寄与するサービスを自ら作りたいと考えるようになり、2018年にセブンリッチグループに参画。株式会社MYPLATE代表として、お弁当・お惣菜・お菓子など多岐にわたる製品開発・販売を行う。

わせだ子ども食堂
パパママ・子どもに寄り添う場所。金曜日の夜にお弁当を提供し、ホッとひと息つける時間・場所を提供している。安心安全な提供を第一に、調理師と食品衛生管理責任者が営業許可のあるお寺の台所で調理を行う。

大人のための子ども食堂?キーワードは、「金曜日」と「サードプレイス」

——はじめに、寺沢さんが運営に携わっている「わせだ子ども食堂」について教えてください。

寺沢:令和2年4月に設立、毎週第3金曜日にお寺で開催している子ども食堂です。今はコロナということもあり、人数限定・予約制となっていますが、感染状況を見て『団欒ある食堂』の再開を目指しています。

川端:子ども食堂で「お寺」というのは、なかなかないロケーションですよね。

寺沢:わたしは10年ほど前からシングルマザーで、一番苦しいときにお寺に通って心を癒した経験があって。そのときに、お寺という場所が癒しになるだけでなく、悩んでいる人の心に真剣に寄り添ってくれるご住職さんだなという印象を持ちました。いつからかわたしが子ども食堂を運営するならこのお寺しかない、と決めていました。

——わせだ子ども食堂のコンセプトは?

寺沢:わせだ子ども食堂は、子どもたちはもちろん、それ以上にパパママに光を当てた子ども食堂です。全国の子ども食堂の多くは、子どもに光を当てていますよね。そんな中で私たちが「親のため」を提案するのは、「親が幸せでなければ子どもは幸せじゃない」という強い思いがあるからです。

わたしがそうだったので断言しますが、子どもの貧困は親の貧困です。親から続く『貧困の連鎖』を断ち切らない限り子どもの貧困はなくなりません。そのためには先ず親御さんの心が癒やされ自立する力を養わなければなりません。自立支援は行政で行いますから心の癒しを私たちが担えればと。

また、現代においてはひとり親でもふたり親でも誰もが忙しいです。イライラすることもあるし、疲れ切って笑えない時もあります。そんな親御さんたちに、日常の喧騒から離れふと落ち着ける場所、仕事場でも家庭でもない「サードプレイス」を提供出来たら……そんな思いから、大人に光を当てた子ども食堂を作りました

川端:「子どもの幸せを考えるなら、まずは親が幸せに」というところは、初めて寺沢さんとお話したときに、とても共感した部分でした。

ママの休食は「新しい生命を育み・産み出す性である女性に休養と栄養を届けたい」という想いで立ち上がったサービスです。サービスが生まれた背景には「子どもや家族のためにまず大人が健康になることが大切」という考えがありました。さらに、金曜日の夜、というところにもお互い共通した想いがありそうですよね。

寺沢:そうそう。ママたちにアンケートを取ってみたら、一番ホッとする曜日と時間を「金曜日の夜」と答える人がとても多かったんです。一番ほっとできる金曜日のタスクから「食事作り」を取り除いてあげたらもっとリラックスできますよね。

また、夕暮れ時から夜に差し掛かるときの高応寺のロケーションって本当に綺麗なんです。見ているだけでそれだけで日常生活からふと離れられるというか。お寺に来れば、子どもは子ども同士で自然に集まって遊び始めるので、大人だけでゆっくりおしゃべりもできる。ママたちがホッとできる場所・時間・曜日を綿密に計算して、開催場所と時間を決めたんです。

川端:「金曜日」って大事なキーワードですよね。女性が家事を担う割合が高いという事実を踏まえ、休みのない家事を担うママに対して、パパから「今日は休んでね」と、ママの休食のような健康的な食事をプレゼントしてくれたらいいなと思ってます。

その絶好のタイミングが、精神的にもゆったり過ごせる金曜日かなと。パパも休みの前日の金曜日なら家族とゆっくり過ごせると思いますし、会社の人との付き合いで飲みに行くときも、「今日ごはんいらない」ではなく、ママに休養と栄養をプレゼントしつつ、パパもママも金曜日をリラックスして過ごせたら幸せですよね。

寺沢:子ども食堂でも、家庭によって金曜日の過ごし方を選べるように提供しています。その日その場で出会った人と他愛のない話をしながら楽しむのも良いですし、お弁当をテイクアウトして家族で楽しむのも良い、どちらでも好きなほうを選んでゆっくり休んでね、って。

川端:「正しく休むために食事のあり方を考える」という考え方は大事ですよね。栄養バランスの良い物を食べさせなければとただ一生懸命になるのではなく、「いかに休みながらやるか」を、もっと考えていってもいいと思っています。それは「手抜き」ではなく、継続のコツであり、賢い方法だから。子ども食堂の場合は、パパママが休めること、リラックスできることに加えて、地域とのつながりを作れるというところも大きなポイントですよね。

晩ご飯づくりを休むと「責任放棄している」っていう罪悪感につながることもあるけれど、地域から「休む」ことを推奨してくれたり、誰かにその気持ちを話せる場があったりすると、それだけで楽になれそうです。心のよりどころというか……。

寺沢:その通りだと思います。子ども食堂の役割のひとつに、人と地域を繋ぐというものがあります。誰もが地域(ご近所)と上手に関われるわけではないのかなって。でも誰かとつながりたいと求めることがあると思うんです。

そんなときにわせだ子ども食堂を利用してほしいと思います。スタッフには子育て中のパパママや子どもが手を離れた先輩ママがいます。少しでも心にある気持ちを話すことで楽になるし「休んでいいんだよ、楽していいんだよ」と言ってくれる人がいます。そういう関わりを重ねることで孤立・孤食・孤育てを解消できればと思います。

選択肢を増やすために地域・企業・個がそれぞれにできること

——子育て世代にとってより暮らしやすい社会を作るために、行政と企業・家庭がそれぞれにできることはそれぞれ何なのでしょうか。

寺沢:安定した家庭を作るためには個と個の努力・協力が必要です。子どもを持ったときにも「こっちのほうが大変だ!」と主張し合うのではなく「どちらも大変、だからいたわり合おう」と相手の立場に立って、理解し合うことが大切ですよね。

川端:そうですね。こと家事分業について考えると「ママの負担の方が大きくて大変」という声をよく聞きます。一方、OECDのデータによると、男性の有償労働時間はOECD平均317分に対し、日本男性平均は452分と長い、という事実が示されています。(出典:https://stats.oecd.org/Index.aspx?datasetcode=TIME_USE#

ここからは私個人の考察ですが、日本の男性は仕事の時間が長いから家事に割く時間がそもそもないのかもなと。つまり、パパは家事や育児に「参加したくてもできない」のが現状なのではないでしょうか

寺沢:そういった問題もあって、いつも「パパとママが等しく仕事と家事をする」というのは難しいこともあります。繰り返しになりますが、お互いの状況を理解し、会話やコミュニケーションを密に行うことが大切なのではないでしょうか。そこに地域参画の視点を加えると、地域との関わりを考えることも大切です。

川端:というと?

寺沢:地域と関わり、コミュニティに参加していると、同じように子育てに奮闘する人たちと悩みを共有できたり、災害時に互いに助け合ったりすることができます。日頃からそのようなつながりを持つことで安心となりますし、家庭以外の場所に「喜び」や「楽しさ」を見出すこともできますよね。

川端:なるほど。コミュニティって、つまり「人と人とのつながり、人と社会とのつながり」だと思うのですが、人同士のつながりを資本として捉える「ソーシャル・キャピタル」という概念があります。

ソーシャル・キャピタル指数(人間関係の良好さ・信頼関係を示す指標のようなもの)が高い地域は、出生率が高いとか、犯罪発生率が低いといったデータもあるんです。豊かさ、幸せの基盤を築くうえで、地域とのつながりを持つことの大切さは、こういったデータからも感じ取れますね。(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000092042.html

また、企業という単位のコミュニティも大事ですよね。でも実際のところ、企業の状況を相互信頼関係でとらえているところは少ないと思います。薄い人間関係では、その人の後ろにある事柄(家族など)は可視化されにくいので、共働き世帯の抱える課題に対して企業は十分に向き合えていないように感じます。

もっと「コミュニティ」としての機能を成り立たせていくためにも、自社では、社会とのつながり、人とのつながりについて、個に任せるばかりではなく仕組みで解決していけたらと考えています。

寺沢:企業と地域って分離していないものだと思います。セブンリッチの場合は渋谷区にある企業なので、「渋谷」という地域に自然につながっているはずです。

たとえば、福祉活動の一環として地域のイベントに参加する。有事があったときに協力し合えるように、普段から地域の集まりに顔を出すなど、ひとつの会社が地域に根付くための活動も、「普段の仕事のひとつ」として捉えられるといいですよね。

少し前までは「地域のコミュニティ」というと、町会でしたが、自分で自分の居場所を選んでもいいのではないかと思います。企業のコミュニティ、有志で立ち上げた組織など、特色あるコミュニティが増えてきています。。

地域の人たちの選択肢を増やしたい、選択肢のひとつになりたいと立ち上げたのが「わせだ子ども食堂」です。パパとママたちの居場所になるようにと願いを込めて作ったこの場所を、これからの選択肢のひとつとして考えていただければ嬉しいです。

わせだ子ども食堂は、月1回、金曜日に開催しています。詳しくは、各種SNSをご覧ください。

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ママの休食では今後も、子育て世帯への健康支援を推進してまいります。公式note、Twitterなどで活動内容を随時報告していきますので、ぜひフォローをお願いいたします!

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