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ヒデ(Hide)さんの闘病記です。
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#入院生活

闘病記(49)   くるみ問題

闘病記(49) くるみ問題

 リハビリ病棟の中央で存在感を放つトレッドミル(愛称:くるみ)。それを使って約15分間できるだけリズミカルに、スムーズに足を動かした後でロフスト杖を支えにして歩く。これら1連のトレーニングで、リハビリテーションの1時間を締めくくる事は、自分に不思議なカタルシスと充実感を与えてくれた。(トレッドミルの愛称が、なぜ「くるみ」なのかと言うことが気になる方は、ぜひこの1つ前の話(48 話)を読んでみてくだ

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闘病記(41)  チャンス到来

闘病記(41) チャンス到来

 
 「家族に協力してもらいながらバルーンをつけたままの生活を送る。」「自己導尿を行う。」この言葉たちが頭の中をぐるぐると回り、眠っていても悪いイメージが布団の上からおおいかぶさってくるような日々が続いた。
加えて、家族、主治医、担当看護師らと行う面談の時間が、絶望感にとどめを刺した。 
自分は、主治医から、
「検査の結果は厳しいものとなりましたが、退院までにまだ時間があります。バルーンが取れるよ

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闘病記(26)そうだ!相談員さんに相談してみよう。

闘病記(26)そうだ!相談員さんに相談してみよう。

電話口に待ち人が出てくれるまでの間、どんなふうに時間を使っているだろうか?メモ用紙から終わったタスクを消していったり、意味もなくボールペンの後の部分をノックしてみたり。なんにせよ、ゆったりと過ごしているとは言えなさそうだ。自分の場合も、発病する前、仕事をしていた頃はそうだった。意味なくテーブルの上で指をせわしなく動かし、爪の先で音を立てていた。今でも、「イライラ」とまではいかなくとも、ゆったりとは

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闘病記(24)絶え間なく。惜しみなく。その②

闘病記(24)絶え間なく。惜しみなく。その②

 「話し相手のオーラが見える。」、「誰かの後について入ってきた子供の霊が見えている。」、「足音を聞いただけで、誰がやってくるのか見ないでもわかる。」と言った打ち明け話を友人からされたとして、あなたならどう応じるだろうか?「えーそうなの!?」、「いやいや、さすがにそれはないでしょう。」、「あ、、実は私もなの。」とか。自分は「いやいや、さすがにそれはないでしょう。」と口にしてしまう方だった。あの出来事

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闘病記(23)絶え間なく。惜しみなく。

闘病記(23)絶え間なく。惜しみなく。

パタピシパチ、パタピシパチ…。言語聴覚士、Mさんの指が、ハープを弾くように頬の上で動き、気持ちの良い刺激を与えてくれる。あまりの心地よさに、ついうとうとしかけて目を開けると鏡の中でMさんと目があった。
「本当に申し訳ないですね。指でマッサージまでしてもらって。これじゃぁ、リハビリと言うよりエステティックサロンですね。どうもありがとうございます。」そうお礼を言うと、
「いえいえ、いいんです。赤松さん

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闘病記(2 2) 「成り行きっス」じゃなかったっス。

闘病記(2 2) 「成り行きっス」じゃなかったっス。

 
入院中に、「どうして看護師になったのか」「介護士になった理由は何か?」といった質問を20代とおぼしきスタッフの人たちにしたことがある。照れて答えてもらえないだろうと思っていたのだがそんな事はなく、しっかりと答えてくれる人が多かった。例えば、「小さい頃からおじいちゃんやおばあちゃんに育ててもらったので、今している事はその恩返しに当たることだと思っています。」とか。「スポーツ1本で学校生活を送って

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闘病記 (20) 「感覚が麻痺した足で立つということ」

闘病記 (20) 「感覚が麻痺した足で立つということ」

初めて自分の足で立つ事(正確には立たせてもらうこと)ができるようになって以来、次の目標は「できるだけ正しいフォームで歩くこと」になった。しかし、「這えば立て、立てば歩め」とはいかず、2つの大きなステップが自分の前に立ちはだかった。1つは座ること。もう一つは長時間バランスをとって立ち続けること。 同じ高さの椅子に繰り返して座る練習は比較的容易だった。しかし、実生活に即した様々な高さの椅子から立ち上が

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