インティメート・ボランティア 10

暑苦しいだけの夏はとおりすぎ、志穂が好きな秋がやってきた。

平日のうっぷんをいつしか志穂は、ボランティアで晴らすようになってきた。

自分がボランティアに行っているという概念を忘れ、星野のところにいくときは愚痴を聞いてもらうようになり、互いにいいたいことをいうような仲になっていた。

相変わらずポジティブな星野は、志穂がこぼれるように発する愚痴を、真剣に聞いてくれたあと、的確なアドバイスをしてくれた。

志穂は、星野が自分の一番の理解者だと、このごろは思うようになってきている。星野の方も、初めはちょっと口にしなかったようなことも平気で話すようになってきた。

「何かおもしろい裏話してくださいよ」と志穂が催促すると、星野は、ここだけの話だよと必ず前置きをして、芸能界の裏話をしてくれた。

そんな話の流れで、星野は今流行っているアイドルのことを話した。

「女は、怖いなと思ったことのひとつね。アイドルのA子が番組を終わってから、エキストラで出ていた黒人のモデルに声をかけたんだ。そのモデルとは、CMの制作で一緒に何本か仕事をしたことがあって、そいつから、あとでこっそり聞いた話なんだけどね。

A子から英語を教えてくれて頼まれて、そいつが楽屋に行ったら、ここは、集中して勉強できないから、ホテルの自分の部屋で教えてといわれて、部屋の番号を教えられたんだって。で、そいつは、こっそりと部屋を訪ねると、A子は、シャワーを浴びてくるといって先に浴室に入って、その後、男を呼んだそうだよ。一緒にシャワーを浴びろうっていって。

そいで、そのまま上げ膳据え膳だったと。男が部屋を出るときに、A子は、実は、わたし、15歳なの、他の人に今のこと、いったら、あなた、捕まっちゃうから、気をつけてねと、にっこりしていったそうだよ。そ男は190センチ以上ある大男で、そいつを15歳の女がくわえ込んで、確信犯的に最後は脅すというのが、ホラーだと思わない?」

志穂はテレビや雑誌で可愛く微笑むその少女の顔を思い浮かべた。可愛い顔がぐにゃりと歪んで、魔女の顔に変貌していく。

「でも、今の15歳って結構わたしたちが考えているより、大人なんじゃない。それこそ、使えるものは使えって感じじゃないかしら」

「快楽の道具として?」

星野は、さげすむような声色でいった。

快楽の道具という言葉は、志穂のなかで澱のように沈んでいった。自分がやっているのもある意味、同じことなのかもしれない。






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