コーヒーの香りは「夕霧」と「落ち葉の君」の恋にリンクする。
千葉市でアロマスクール「マロウズハウス香りの教室」代表のアラカン（笑）の太田です。現在の仕事は緩和病棟でのアロマセラピストとしての活動やじゃらん旅アロマでのブレンドデザイナーのお仕事、そしてアロマテラピーインストラクターとしても日々レッスンを担当していています。
さて11月のじゃらん旅アロマの匂いはコーヒー。
以前、娘とフィレンチェへの旅の中で、イタリアのエリボステリにはコーヒーの精油がうじゃうじゃあった。エスプレッソ、カフェオレ。。。何のためにあるのって見ていったら、痩せるためとか！
ということで、このコーヒーセレクトな11月はビターなコーヒー。そして2023年は苦い大人の恋のお話し「夕霧」の段。香りと物語を楽しんでくださいね。
コーヒーは焙煎であの香りが生まれる
コーヒー特有の甘い香りは生豆を焙煎することによって生まれる。
生豆を焙煎すると豆に含まれている成分が熱によって化学変化を起こし、コーヒー独特の風味や揮発性の香りが生まれていく。この反応がメイラード反応。意外にもいちごジャムとかパンの匂いとかはこの反応のおかげで生まれているのです。人はタンパク質、アミノ酸、糖が水に溶かされて加熱される匂いに心惹かれるらしい。コーヒーはこの反応によってメラノイジンと呼ばれる褐色物質の物質がこの世に誕生させているのだ。焙煎する前は香りがないのに熱を加えることによって、アルデヒド類、ピラジン類、フラン類などの香り成分が初めて存在するとはすっごい変身技！なかったのに生まれてくるっていうのは本当に不思議。そしてこれってあのジャーマンカモミールを蒸留した時に「青」が生まれるのと似ている。
熱の力は色や香りを生み出してるんだって思うと感動してしまう。
コーヒーの香りのアルデヒド類
コーヒーには精油でも登場するアルデヒド類がある。中でもアーモンドに似た香りのフルフラール、バニラの香りを持つバニリン。バニリンといえばベンゾインとかバニラの香り、あのアイスクリームの匂いです。甘甘なそんな香りがコーヒーにもあるっていうのは面白いなぁ。
苦いと甘いはセットな感じがするのですがやっぱりコーヒーにもあったのです。苦い薬には甘い味！みたいな。。。
コーヒーとバニラの香り
っていえばハワイのあのフレーバーコーヒーを思い浮かべる。
紅茶のフレーバーティーは飲めるけど実はまだフレーバーコーヒーは苦手。でも、、、香気成分がコーヒーだけでも入ってるっていうのも何だか誘われそうな予感もあったりで、いつかそのうち、ライオンコーヒーとかロイヤルコナのマカデミアナッツとかもチャレンジする時がやってくるかも、です💦
今はないけど（笑）
そして抽出したコーヒーにはローズマリーと同じなクロロゲン酸がある
コーヒーを淹れるとなんとあの大事な成分クロロゲン酸も出てくる。この成分はローズマリーにも入ってるすごれもの。
体を錆びさせない
若返るための要素（このフレーズ大好き）。
このクロロゲン酸には活性酸素を除去できる上、肝臓にも優しい物質ということで、肝臓がんにコーヒーがいいって、このことなの？？
血液をサラサラにする力であるポリフェノールでもあるクロロゲン酸。あ、牛蒡にも入っている成分でもあるそうです。
コーヒーとチョコレートの関係性も良き良き。
１杯のコーヒーに１かけのチョコレートは最も肝臓にいい組み合わせになり。チョコと言ってもあの高カカオポリフォノール入りの苦いやつ。カカオポリフェノールの中心になるエピカテキンもプラスにいいらしい。
このままでいくとおーたかなりの若返りになるかと思う。飲んで食べたらね。
カカオは紀元前3300年頃（5300年前）にエクアドルで見つかり、中南米で栽培されたコーヒーはエチオピアで発見されたそう。
というわけで
簡単お菓子作りはこの二つの組み合わせでした
チョコのお菓子にコーヒーを合わせると完璧なのです。
お時間ある方はすぐできちゃうのでやってみてほしいな。
あ、土台は餃子の皮でもパリッとして美味しいです🎵
おやつなのに健康になる、と考えると薬に匹敵するなぁって。
コーヒーに合わせたお菓子はマシュマロのビターチョコかけ
レシピはマシュマロを半分に切り、トースターで5分焼く。まだ熱いうちに92％の刻んだチョコレートとナッツ、ドライフルーツをのせてあら熱が取れるのを待つ。これで出来上がり。お酒にも合いそうな簡単レシピです。
イブサンローランのブラック OP グロウ オーデトワレ
2022年はコーヒーをオマージュした香水。フィレンツェで売られていたコーヒー精油は香水でも使われてたことを知って、やっぱりと思いました。
そしてこの香水を纏うとコーヒーに包まれちゃったような気分。健康になりそうだ。
フルーツの香りとマンダリングリーン、ジャスミン、オレンジブロッサム。そしてラストのブラックコーヒーへ向かう。
これをイメージした天然香水レシピは以下の通りとなりました。
ブラックペッパー
ネロリ
カモミールジャーマン
コーヒー
ジャスミンabs.
パチュリ
ベチバー
サンダルウッド
2022年11月 Kumiko Oota
2023年は「夕霧」の段
苦い大人の恋の話へと続く
光源氏と葵の上の一人息子「夕霧」。よく考え見ると彼は生まれた側からお母さんがなくなり、母からの愛情を受けずに遊び人の父の背中を見て育つ。だから女性に対して一途になるっていうのはママの遺伝子。その真面目な夕霧が親友の妻だった女二宮と結ばれていく経緯は彼だから。なんと言ってもパパの光源氏はチャラいのだから。。。
この女二宮っていう人は、源氏の妻になった妹の女三の宮がとても華やかでキラキラしているのに対し、その妹を好きな夫になった柏木から「落ち葉のようなつまらない妻」と言われちゃった話はちょっとなぁって。
そもそも彼女たちのパパ天皇もちょっと軽くて、女三の宮は源氏に嫁がせるから君（柏木）にはおねえさんでいい？って感じ。。。
そんな落ち葉と言われた彼女のことを一途に好きになっちゃった夕霧は、そのことが原因で、幼馴染の妻「雲居の雁」と離婚となったのです。
その後の二人の静かな苦い恋の結末はちょっと大人のビターで静かで穏やかな生活をする。
夫に落ち葉と言われた姫と幼馴染よりも親友の妻だった人を一途に思った夕霧。
あ、でも、実はね。
今年はその夕霧が他の女性に唾をつけそうだったお話をご紹介するのだけど二人の静かな時間は他のお話に比べて穏やかで好きなところでした。
2023年この物語に選んだ香りは以下の通りです。
新姫
コーヒーの花
コーヒー
カーネーション
アンバーグリス
イリス
2023年11月 Kumiko Oota
THE EN BOITE NOIRE
2023年にご紹介したのは、マリアージュフレールの紅茶とコーヒーのブレンドティー。チャイにしていただきました。
コーヒーのコロンビアと紅茶のブレックファーストをブレンドしたお茶でカカオ豆（チョコレート）、コーヒー、スパイスがブレンドされたものでこれをミルクでたてて飲むとめちゃくちゃ美味しい。
コーヒーと紅茶の合わせ技は鴛鴦茶(えんおうちゃ）というらしく香港にルーツがあるそう。鴛鴦は日本語で「オシドリ」のことで「いつも一緒」「2人一緒」というイメージからコーヒーと紅茶の2つを混ぜあわせたこの飲み物に「鴛鴦」の名になったのだそうです。まるで夕霧と落ち葉宮のような取り合わせ。そして、マンダリンチョコと合わせたひと時となりました。
柏木が落ち葉の宮を夕霧に託す
夕霧が二宮を好きになったのは、親友の柏木が最後にこの妻に対して悪かった思いを夕霧に伝え、彼女を大事にしてほしいと言ったシーンから。ここはちょっとグッとくるところ。ややこしい源氏物語の中で、柏木の本音の部分が描かれることで落ち葉の姉がゆっくり幸せになっていく始まりのようで良かったと思う。
源氏物語のそれぞれの女性を想像すると、それぞれに香りが立ち上がるようで毎回想像する香りブレンドが面白すぎます。
あ、文章だけで香りのご紹介はお伝えしきれないなぁって思っていますので、ぜひリアルに場で感じていただけたら嬉しいなぁ。
そして落ち葉の君で、最後に思い出したのが「桂の葉」
落葉して道端に落ちて乾燥すると甘い香りになる葉で、この成分が「マルトース（麦芽糖）」。熱で焦がすことでキャラメルのような香りを放ちます。今年もそろそろ公園でクンクンできそう。落ち葉の君はキャラメルのような香りかもしれません。
今年の続きはまた書きますね。
2024年10月1日