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”創造的な場を支える仕組みを作る”、メディア・アーティストの江渡浩一郎(えとこういちろう)さん

武蔵野美術大学大学院・クリエイティブリーダーシップ特論II、第5回江渡浩一郎さん、2020年6月15日@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス(via Zoom)by 木越純

今日は、メディア・アーティストの江渡浩一郎さんをお迎えしました。江渡さんは、現在国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)で知能システムの研究をされていますが、まだ大学生だった1990年代から、まだ世の中に知られていな買ったウェブの可能性に注目し、メディアアートをいう新しいアートを創り出し幾つもの作品を発表してきました。このメディアアートを、江渡さんは「先端的な技術を用いた芸術表現」と説明しています。

最初に映像でご紹介いただいた作品が「WebHopper」です。これは世界地図の上でのウェブブラウジングの軌跡を可視化したものです。例えば、誰かが東京の自宅でウェブサイトを見てニューヨークの会社のサイトを開いたとすると、仮想世界で東京からニューヨークにジャンプしたと言えます。こうした仮想世界での無数の軌跡を解析してリアルタイムに情報に変換し世界地図の上にマッピングすると、いかに世界が仮想的に繋がっているかがビビットに見えてきます。1996年に発表され、翌年1997年にアレスエレクトロニクス賞グランプリを獲得した作品です。

次にご紹介いただいたのが、日本未来科学館に2001年から常設展示されている「インターネット物理モデル」(冒頭の写真)です。これはボールの流れでインターネットの「パケット交換」システムを表現したもので、どのように情報がパケット単位に分けられルーターからルーターへと伝達されて目的地にホストに届けられるかを、ピンポン球程度の白と黒のボールの流れで目で見て体験できる展示です。ここでも目に見えないインターネットの世界が可視化されアートとなっています。

こうしたテクノロジーのアートとしての可視化に続いて、共創イノベーションの実践研究を手がけられておりいます。2011年から16年と5年間限定でプロデュースされた「ニコニコ学会β」は、江渡さん曰く野に在るあらゆる分野の「野生の研究者」を集めて共創の場を作ろうという試みです。参加者が敢えて予定調和的な協働をするのではなく、自分のアイデアや発想を保って結果的にそれぞれプロジェクトに貢献してゆくことが共創と理解しました。

常に時代の最先端をユーモア一杯に走ってこられた江渡さんの次に関心事は食。「肉肉学会」の紹介が本日のシメでした。肉の生産・流通・商品の循環の中での情報格差を研究し、、、という学会趣旨より、美味しそうな熟成肉の写真に目がゆきました。(了)

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