20年前の失恋と海と。
かなり久しぶりの投稿画面。
気になって最後の投稿日を確認したら、約7ヵ月前だった。
なんだかめちゃめちゃ長い間「書く」ことから離れていたような気がしたのに、そうでもなくて、ちょっと拍子抜け。
この7ヵ月の間、何度か書こうとしたこともあったけど、
結局、なんだかんだ理由を付けて書かなかった。
そんな私が急に「書こう」と思えるようになったきっかけについては、また別の機会に。
今日は「書きたい」と思ったことを、まず書きたい。
***
今日、ようやく海に行った。
"ようやく"というのは、何度も書こうと思いながら、あれこれ理由を付けてnoteを書かなかったのと同じように、何度も行きたいと思っていた癖に、結局いろいろと理由を付けてずっと行かなかった。
それが今日やっと重い腰を上げて、電車に乗り込んだ。
実家に帰ってしまえば、家の目の前が海なんだけど、
コロナを持って帰りそうで不安だし、ちょっと行くには遠い。
だから、電車で40分。
どこに行こうか、色々調べてたけど、途中でめんどくさくなって、そこそこ有名な「日本で1番海に近い駅」に行ってみた。
結局、駅は人が多くて、ほとんど見てない。
帰りの電車まで約2時間。
あてもなく海沿いを歩いたり、防波堤に登ってボーっと水平線を眺めたり、本を読んだりして過ごした。
初めての場所で、初めて見る海だったのに、
ほんの少し秋を感じる心地よい潮風。
穏やかにキラキラ光る波間。
久々に聴くカモメの鳴き声。
洗濯物に染みついてた田舎臭くて嫌いだったはずの磯の香り。
すべてが妙に懐かしくて、1人でちょっと泣きそうになった。
出来ればずっと海を眺めてたかったけど、日差しが強くなってきて、日陰を求めて近くの山道を歩くことにした。
海と山に囲まれた漁村。
見れば見るほど地元によく似てる。
そんなことを思いながら歩いていたら、急にあの日のことを思い出した。
***
あれは、高校1年のとき。
同じ中学でずっと仲の良かった男友達と私は2人で山道を歩いていた。
なんでそんなことになったのか、一体何を話していたのか、今はもう思い出せない。
けど、その日、私はあいつにキスされた。
そして、なぜかあいつの運転する自転車の後ろにのって坂道を下って、帰った。
覚えているのは、そのシーンだけ。
あまりにも脈略がなさすぎて、夢か妄想だったんじゃないかと思ってしまう。
けど、たぶん現実なんだと思う。
だってあの日確かに、
嬉しくて、悲しかった。
その感情だけは今もはっきりと覚えている。
私はあいつのことが好きだった。
人として。友達として。
周りにいくら冷やかされても、お互い恋愛対象じゃないと信じて疑わなかった。
ずっとそう思ってきたのに、あの日それが間違っていたことを一瞬で思い知らされた。
あぁ、私「だけ」恋をしていたんだ。
ありえない展開にテンパっていたはずなのに、頭の中だけは妙に冷静で、あの一瞬で何もかも認めざるをえなかった。
そしてすべてを悟って、すべてを飲み込んだ。
あの時の、あの瞬間の、私の声が聞えた気がした。
― あぁ、私「だけ」好きだったんだ。
***
その男友達とは、それからもちろん何もなく、
今でも数年に1度は会ったりする友達だ。
彼があの時のことをどう思っているのか、私にはわからないし、正直別にもうどうでもいい。
だけど、あのとき私は、確かに彼のことが「好き」だった。
そして、いろいろと理由を付けてその気持ちを否定し続け、押さえこんで、ないものにした。
ずっと私はそうだった。
本当に好きな人に「好き」と言えたことがないし、
いや本当に、失礼以外の何ものでもないけど、そこそこ好きな人を「好き」だと思い込んできた。
いつもそう。
「好き」を失うのが怖くて、否定されるのが怖くて、
いろいろと理由をつけて、ごまかして、逃げてきた。
書くことも、
海も、
あの頃のあいつへの想いも。
もう、逃げなくていいのかもしれない。
これからは好きなものは「好き」だと、言って笑える私でいたい。
ただ海を見に行っただけの1日だけど、
なんだかすごく清々しくて、今日からまた私は「私」らしくなれるような気がしたそんな1日。
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