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日陰にたたずむベンチのように。

カーテンを開けなくても、天気がいいのがわかる連休明け2日目の火曜日。けれど、本日、私はお休み。

ベッドに横たわったまま、近所のカフェのインスタに真っ青な空の写真があげられているのを見る。「ほら、やっぱり」そうつぶやいて、電気のリモコンを押しながらベッドから出る。

世間はゴールデンウィーク最終日。生徒たちにとっても連休最後の日。そんな中、行われた1週間ぶりの授業は思ったよりもエネルギーを消耗したようで、スマホをの時計を確認すると、もう13時を過ぎていた。


シャワーを浴びて、歯を磨きながら、今日の予定を考える。
そうだ、コーヒーを買いに行きたかったんだ。

クローゼットを開けて目についたオレンジのスカートを手に取って着替える。メイクは軽くでいい。10分程度で身支度をして、最後にお気に入りの香水をシュッとひと吹きする。寒いと嫌だからとデニムジャケットを片手に家を出る。この時期は本当に服装が難しい。


目がくらみそうなほどの青空に思いっきり深呼吸をして歩き始める。BGMに選んだプレイリストからは、あいみょんの「ハルノヒ」が流れている。

初めは心地よかった春の日差しも、すぐにきつくなってきて、眩しさに顔をゆがめながら歩いていく。日陰を見つけてはすぐにそこに入りながら進む。日陰から、眺める青空が1番きれいだと思う。


獅子座はよくスポットライトを浴びるのが好きだと言われる。そう言われるたびに、本当は私は獅子座じゃないのだろうかと真剣に悩んだ時期もあった。

とは言え、小さい頃は注目されるのが好きだったような気がする。でも当時の記憶はほとんどなくて、思い出せても、なんだか別の人の記憶のように感じてしっくりこない。

はっきりと記憶がある小学生、中学生、高校生と学年が上がるにつれて、注目されることが嫌いになっていった。目立ちたくないのに、なぜか目立ってしまう。そうしてその度に、投げつけられる心ない言葉たちにいつも私は静かにけどしっかりと、傷付き続けていた。目立てば攻撃される。だから目立ちたくない。前髪を伸ばし始めたのもそのころだったような気がする。

そうはいっても誰からも相手にされないのは、それはそれで寂しい。そう思ってしまうあたりがやっぱり獅子座なのかもしれない。


なんてことを思いながら、ようやく見つけた日陰から、日差しを全身に浴びて、公園ではしゃぐ大学生たちを眺めながら、楽しそうな彼らを見ているだけで、私まで楽しい気分になれた。

「あぁ、こうゆうことか」

目の前の大学生たちのように日差しを全身に浴びたいとは思わない。けれど、心地よい太陽の光は嫌いじゃない。むしろ好きなほう。だからこうして、日陰から日差しを浴びて輝く人たちを眺めていたい。それだけで、十分幸せを感じられる。

人前に出て、注目を浴びたいという想いが全くないわけではないけれど、注目され続けて生きるよりは、そうやってそれぞれのステージでスポットライトを浴びて、光り輝く人たちをそっと見守っていられたらいい。

その人たちがずっとそうやって輝いていられるように。
そして、時々私もそこのステージに顔を出す。それくらいがちょうどいいんだろうな。


困ったとき、悩んだとき。そのスポットライトに疲れた時。
そこで輝いていた人たちが、そっと入って休めるような
日陰にたたずむベンチのような人でありたい。

そんなことをふと思った。
連休明けのハルノヒ。

スポットライトを浴びるわけでも、当てるわけでもない。
そんな生き方があってもいいじゃないか。と

私は、私に語りかける。

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