定年近くの築古投資(6)

プロパンガスの無償貸与契約の話

プロパンガスの無償貸与契約というものがあります。

無償貸与契約とは
無償貸与とは、配管工事やガス機器の購入・取り付けにかかる費用をガス会社が負担する代わりに、ガスの供給を受ける期間に縛り(最低契約期間)を設けるという仕組みです。
この契約は「工事費用・購入費用を完全に無料にする」という契約ではなく、多くの場合契約期間中のガス料金に分割した工事費用・購入費用を上乗せして払っていくという契約です。
一般的には、10,000円の無償貸与をうけるごとに10円ほど従量単価が値上げされます。
無償貸与を受けている設備は、最低契約期間の間はガス会社の所有物であり、最低契約期間後は契約者の所有物になります。
最低契約年数として多くは10~15年の期間が置かれ、この期間中にガスを解約すると、工事費用・購入費用の残金を違約金(解約金)として請求されます。
身近な契約の中では、携帯電話の機種代金分割などが無償貸与で支払う代金に近しいものになります。
例えば、15万円の配管工事について無償貸与を受け15年の最低契約期間が置かれているケースで、10年目でガスを解約する場合には、以下のようにして違約金(解約金)が求められます。
150,000円÷15年=10,000円
10,000円×(15年-10年)=50,000円
かかる違約金は50,000円
※違約金の計算方法はガス会社との契約内容により異なります。
無償貸与の契約を結ぶとプロパンガス利用者がガス会社を切り替えにくくなるので、競争の激しいプロパンガス業界において、無償貸与は積極的に用いられています。

メリット

無償貸与を受ける際、プロパンガス利用者には以下のようなメリットがあります。
・配管やガス機器の設置にかかる初期費用がなくなるため、その分の費用を別の用途に使用できる。

デメリット

無償貸与を受ける際、プロパンガス利用者には以下のようなデメリットがあります。
・自由にプロパンガス会社を切り替えられない
・契約期間中に不当な値上げをされる可能性がある
・最低契約期間が過ぎたあともプロパンガス料金が下がらない可能性がある
前述のように、無償貸与を受ける際には最低契約期間が置かれ、期間内の解約には違約金(解約金)が発生します。
そのため最低契約期間中は同じガス会社で契約を続けるのが普通ですが、この仕組みを悪用し、不当なガス料金の値上げを行うガス会社も存在します。
また、最低契約期間がすぎ、無償貸与の償却が終わった後もガス料金を下げてくれないガス会社もいます。
これらのデメリットは、ガス料金の変動をしっかりと把握し、必要であればガス会社と料金の交渉を行うことで最小限にすることができます。

給湯器の取り付け・交換には無償貸与をうまく利用しよう

給湯器の種類にもよりますが、給湯器の取り付け・交換にはおおよそ100,000円〜150,000円ほどの費用がかかります。
もし給湯器の費用を払うのが苦しいと感じたら、給湯器の無償貸与を受けることを視野に入れても良いかもしれません。
ここまでにご説明したとおり、確かに無償貸与にはデメリット・トラブルなども多いです。
しかし、消費者がそれらによって被る損害を防ぐための知識を持っていれば、無償貸与は一概に損をするだけの悪習ではなく、有用な契約の一つになり得ます。


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