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辛さを笑い話にできたから。

いつだか、スマホを隠れてみてたことがあったよね。


彼は食器を洗う私にそう言った。
心の底からゾッとして、持っていたコップを落とした。
黒歴史と言ってもいい。私がどうしようもなかった頃。
彼のスマホを見ようと躍起になっていたことがある。


「そんなことあったっけ?」
動揺を明らかに隠せていないにも関わらず、支離滅裂なごまかし方をした。

「あったよ、結局未遂だったからもう全然気にしてないけど(笑)」
「こわ、確かにあった気がする。やばいね私」
「そうだね(笑)そんなこともあったよね」


なぜだか彼は楽しそうだった。末恐ろしいが、怒りを笑顔でごまかすような男じゃないのはよく知っている。素直に昔話に花を咲かせていることを楽しんでいるのだ。(動揺する私をみて笑っているのかもしれないが)


懐かしいね、君の前の家の頃だっけ。
あの頃はよく遊びに行ったっけ。
そうそう、そうだったね。
あの家の近くのデニーズにはよくお世話になったなあ。


彼の前の家にも、遊びに行ったときのことも、
デニーズにお世話になっていたことも、
当時の君をずっと苦しめていたと思っていた。


「懐かしいね」

そういう君が笑っていた。
思い出すだけでどれだけ苦しくなるだろうか。


いつか、「君のことが好きな今」を、

君と笑いあえる日が来るのかな。

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