「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第17回 インドは世界を席巻するのか?
現在インド経済が熱いと言われています。確かにインドは中国と並び世界最大の人口を抱えており、GDPも伸長の一途を辿っています。この点で中国は一人っ子政策の影響もあり人口減少局面に入ろうとしていますが、インドの場合はまだまだ人口増加の伸び代も大きく、そのために更なる経済の拡大が期待できます。
加えて近年は世界の名だたる企業で、インド出身の経営者の名前を耳にする様になってきました。特にアメリカのテック企業でその傾向が強く見られ、マイクロソフトのサティア・ナデラ氏、アドビのシャンタヌ・ヌラヤン氏、IBMのアービンド・クリシュナ氏、グーグルの親会社のアルファベットのスンダル・ピチャイ氏、そして最近ではツイッターの元CEOのパラグ・アグラワル氏もインド人です。
確かに現在、世界にはインド旋風が見られます。そしてこれはビジネスの分野に限った話ではありません。地政学的にもインドの重要度は近年更に高まっています。例えば昨年には日米豪印戦略対話、通称クアッドが発足されました。これは日本、アメリカ、オーストラリアおよびインドの四カ国間における会談で、この枠組みを通じて、4か国で協働して中国の力を牽制しようとしています。確かに、世界におけるインドの重要性は増しています。
それに対して日本の現状を見ると、近年はインドとの関係を強化しようと努めています。それでも決して盤石なものとは言えません。特に日本の対インドの投資額のシェアは周辺国と比較しても決して高くなく、加えて近年は欧州諸国もインドへの投資額を積み上げています。もし日本がこの点で後れを取るならば、日本とインドの二国間のみならず、世界経済の中でも更なる後れを取る事になる可能性があります。
では日本はどうすれば良いのでしょうか?この点で統計は有用です。統計を調べれば、日本が過去にどれだけインドに対して投資を行ってきたか、その推移を知る事ができます。そしてそれを知る事によって、今後の方向性も見えてくるかもしれません。
しかし日本の統計だけを調べても余り意味がありません。インドは世界経済の中心になろうとしている訳ですから、世界各国がどれほどインドに対して投資をしているのか、その統計も調べる必要があります。そしてその数値と日本の数値を比較する時に、日本が抱えている本当の課題点も見えてくる事でしょう。
ただ一方で統計だけでは見えて来ない分野があります。それはインドの「実際の習慣」です。この点でインドほど、世論が真っ二つに分かれる国も多くはないでしょう。例えば一度でもインド旅行に行った事がある人なら分かると思いますが、インド旅行が「病みつきになる」と言う人もいれば、「もう2度と行きたくない」と言う人もいます。確かにインド人は独特の生活習慣を持っています。これはビジネスの面でも同様です。商習慣においてもインドは独特の習わしやしきたりがあり、外資がインドに投資した場合、その商習慣が上手く合致する場合とそうでない場合があります。こういった「実際の習慣」に関しては、統計からは見えて来ず、実際に行った事がある人、もしくは実際に彼らとビジネスを行った事がある人しか分からないでしょう。
この点で私は海外の港湾で会社を経営しており、複数の国々でビジネスを展開しています。その中には無論インドも含まれており、取引先を抱えています。特に弊社が拠点を置くマレーシアのポートクランは、インドを経由した船が数多く寄港しており、コンテナの中継ハブとなっています。こういった点を目の当たりにしていますので、私はインドとのビジネスを語る上で、私は有利な立場にいます。
それで今日は「インドは世界を席巻するのか?」というテーマでコラムを書きます。最初に日本の統計を調べる事で、日本とインドとの関係がどのように推移してきたかを考察します。次に世界の統計を調べる事で、世界の中でインドがどのように存在感を増してきたかを考えます。加えて私が海外で会社を経営する中で得た経験を通して、それらの統計を実際に裏打ちしていきたいと思います。長文になりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
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ちゃん社長のコンテナ・海運業界・マレーシアの裏話。
香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計…
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