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「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第94回 地球最後のフロンティア・アフリカの未来は明るいのか?
2025年1月5日、中国の王毅外務大臣はアフリカ4カ国の歴訪を開始しました。訪れた国はナミビア・コンゴ共和国・チャド・ナイジェリアで、中国外相が年始の最初の外遊先としてアフリカを選ぶのは、これまで35年も続いており、毎年の定例行事になっています。
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一方で現在もアフリカでは、世界の言わば列強により激しい覇権争いが繰り広げられています。もともとアフリカは欧州の植民地であり、今も欧州とは経済的な繋がりが強く、安全保障の面でも依存している側面があります。しかし2022年以降は、フランス軍がサハラ砂漠以南の国々から相次いで撤退を表明しており、勢力図が大きく変わる過渡期に入っています。
確かにアフリカは「地球最後のフロンティア」と呼ばれ、今も人口が増え続けています。また天然資源の宝庫でもあり、世界でIT化・機械化が進む中で、アフリカに埋蔵される鉱物資源の数々は存在感を増しています。こういった天然資源は、これまでは一部の欧米企業によって利権が独占される傾向にありましたが、今ではそこに中国企業も絡むようになっており、経済代理戦争が行われているような状態です。
では今後、アフリカの未来は明るいのでしょうか?この点で統計は有用です。統計を調べれば、アフリカの人口がどのように増えてきたのか、GDPはどのように伸長してきたのか、さらには広いアフリカの中で地域ごとにどのような差異が生じているのか、これらの質問について正しい理解を得ることができます。それはアフリカの過去の歩みを振り返ると同時に、現在の構造的な問題も明らかにしてくれるでしょう。ですから統計は大切です。
また日本の統計にも注目する必要があります。日本とアフリカは立地的に遠く離れているものの、これまで日本政府は国際機関を通じて多大な支援を実行してきました。ただその中には実を結んでいるものもあれば、必ずしもそうとは言えないものも含まれます。これらの統計を調べることで、日本とアフリカの関係性および将来性について、より深い理解を得られるでしょう。
しかしながら、統計からは見えて来ない分野もあります。それは人々の「生の声」です。ご承知の通り、アフリカには途上国が多く、今も貧困に喘ぐ人が大勢います。子どもの中には栄養失調で餓死者が出ると同時に、突き抜ける富裕層も生まれており、非常に大きな格差が社会問題になっています。特に中央アフリカ諸国では今も専制主義が見られ、富が一部の国有企業に集中する傾向が見られます。こういった中で生活する人々の暮らしぶりは、統計からは見えて来ず、彼らの話に耳を傾けて初めて理解できるものです。それゆえに「生の声」は大切です。
この点で私はマレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営していますが、ポートクランはアジアとそれ以西の国を結ぶハブ港として機能しており、アフリカに向かう船も多く寄港しています。弊社もケニアとタンザニアには取引先がおり、私自身も実際に足を運んでいます。彼らとは日ごろから意見交換をしており、最新の貿易の潮流も知ることができることから、「生の声」を聴くという点でも、私は確かに有利な立場にいます。
それで今日は「地球最後のフロンティア・アフリカの未来は明るいのか?」というテーマでコラムを書きます。最初に海外の統計を通して、アフリカ経済の現在と将来について考えます。次に日本の統計を通して、日本とアフリカの関係性を考察します。最後に私自身の海外における会社経営の経験も踏まえながら、アフリカの未来について予見すると共に、個人投資家がアフリカの成長から益を受けるにはどうすれば良いのか、具体的な提言を述べたいと思います。国際貿易や商社関連株の投資に関心のある方には、特にお読みいただきたい内容です。長文になりますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
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ちゃん社長のコンテナ・海運業界・マレーシアの裏話。
香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計…
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