「不可思議」とは数を表す言葉なんですね
ボランティアの日本語講師と、自宅での日本語講師をしていますが、「みんなの日本語」を基本のテキストとして活用しています。
「みんなの日本語」の第1課では、『自己紹介』をおもに学習しますが、年齢の言い方で、日本語の数詞について教えます。
日本語の数詞は中国語と同じ
先日生徒から
「なぜ、日本語の数詞は中国語の数詞と同じなの?」
との質問を受けました。
「日本語の数詞は、ひらがなやカタカナと同じように、中国に由来しているから」と答えましたが、その時、疑問を抱きました。
たしかに、「兆」までは同じ数詞を使っているけど、
「普段使うことがない、それ以上の数詞もやはり同じなのだろうか?」と。
それ以上に、普段使うことがない、また知識としてもない
「『垓(がい)』以上の数詞って何なの?」と思い、調べてみました。
その多くは仏教由来
「垓(がい)」以上の数詞は、以下のようになっています。
兆(ちょう)
京(けい)
垓(がい)
秭(し)
穣(じょう)
溝(こう)
澗(かん)
正(せい)
載(さい)
極(ごく)
恒河沙(こうがしゃ)
阿僧祇(あそうぎ)
那由他(なゆた)
不可思議(ふかしぎ)
無量大数(むりょうたいすう)
一、十と数えて20番目が「不可思議」で最大の数詞が「無量大数」なんですね!
日本語の多くの大数の数詞、例えば「恒河沙(こうがしゃ)」「阿僧祇(あそうぎ)」、「那由他(なゆた)」、「不可思議(ふかしぎ)」などは仏教由来のもので、仏教の影響を受けています。
ただ、日本語における大数の数詞は、実用的な大きな数を表現するために使われることが多いのに対して、仏教における数詞は、単に数を表すだけではなく、経典や教えの中で、宇宙の広大さや、仏様の智慧の深さを象徴するために使われていて、宗教的というより、哲学的な意味を含んでいます。
「不可思議」も数を表す言葉
日常生活で使われることもある(最近ではあまりないですね…)「不可思議」と言う言葉は、もともとは「考えられないほど大きな数」を意味し、理解を超えた数を示しているんですね。
そして、仏教由来の用法以外にも、日常生活や、特に科学や心理、宗教など、さまざまな場面で使われ、驚きや理解し難さを表現するために使われますよね。
「不思議」とは意味が違うの?
「不可思議」も「不思議」も、いずれも「説明ができない」「驚くべき」という意味を持っていますが、「不可思議」の方が「不思議」よりも強い意味合いを持っています。
「不思議」は、より日常的な驚きを表現するときに広く使われ、「不可思議」の場合には、人の理解を超えた現象などを表現する際に使われます。
日本語講師をしていると、まだまだ日本語やその背景について知らないことが多いと実感します。
しっかりと理解を深めていきたいと思います。
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