最高の調味料「塩」について
今日は「塩」について書こうと思います。
なぜ、急に「塩」について書こうと思ったのか…
「先生のおにぎり、塩がおいしい!」
先日、すでに半年近く日本語を習っている生徒と、お昼を一緒に食べました。
彼女は、1週間に1回、2時間の授業ですが、授業の終わり時間が12時で、ちょうどランチタイムのため、何回かお昼をごちそうして、一緒に食べています。
先日のお昼ごはんは、家の奥さんの得意な「塩むすび」でした。
シンプルに「塩むすび」に、有明の海苔をまいたものです。
彼女はマレー系ですが、日本びいきで、家でもよくおにぎりをつくるそうです。でも、なかなか味と形が一定しないとそうです。
その日のおにぎりを食べると彼女は
「わー、すごくおいしい!お塩がおいしいです!」
と感嘆しました。
マレーの料理は味が濃くて、スパイシーなものが多いので、おにぎりのようなシンプルな日本料理が好きな彼女です。
20年以上使っています!
我が家では、もう20年以上同じ塩を使い続けています。
フランスの北西部に位置する、ブルターニュ半島の付け根にあるのが「ゲランド」です。
ゲランドは良質な粘土層に恵まれていて、大西洋の海水を塩田に引き入れ、塩田に微妙に高低差を付けてゆっくりと時間をかけて、太陽と風の力で水分を蒸発させて作った塩で有名です。
20年以上前に出会ってから、使い続けていますが、これを使うと、もうほかの塩は使えないくらい、自然の甘みや塩味、うま味がが抜群においしい塩です。
家康の寵愛を受けたお梶の方
なぜ、急に家康の側室の名前を出したかと言うと、彼女、塩に関して素晴らしい言葉を残しているのです。
ある日、家康が「この世で一番おいしいものは何か」と突然家臣たちに尋ねます。
家康と家臣たちがけんけんがくがくと盛り上がる中、家康は寵愛していた側室のお梶の方にも同じ質問をします。
突然のことにも関わらず、彼女は冷静に答えます。
「それは塩で、塩がなければどのような料理も、味を調えることができず、おいしくできません」と答えます。
家康はさらに尋ねます。
「では一番まずいものは何か」
彼女は、平然としてこう答えます。
「一番まずいものも塩で、塩を入れ過ぎたら、どんなに美味しいものも食べることができません」
家康はこの返答を聞いて
「男子であれば、さぞや良い大将として活躍するであろうに。惜しいことだ」と嘆いたと言われます。
彼女は関ヶ原の戦いにも同行したと言われていて、36歳も年下の側室であったけれど、家康の寵愛を受けていたことがわかります。
自然の恵みの偉大さ
塩、それは自然が生んだ最高の調味料です。
ひとつまみの塩が、料理に深みや輝きを与えてくれ、素材がもっている本来のおいしさを引き出してくれます。
海と太陽と風の恵みが詰まったその小さな結晶は、ただ調味料であるだけではなく、私たちの食卓に、心に響く、心に残るおいしさを届けてくれます。
私も、生徒の皆さんの生活に、輝きや深みを加えることができれば、と思います。