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ラマダン (Ramadan)とは?

国教がイスラム教であるマレーシアでは、毎年「ラマダン Ramadan (断食)」と呼ばれる、イスラム教徒にとっては最も重要なイベントがあります。
今年は3月12日から4月9日までの期間ですが、「新月の観測」によって開始日も終了日も決まるため、ずれることもあります。
宗教になじみの薄い日本人にとっては、特定の教祖がいて、明確な教義を持っている宗教を実感することができ、学べる機会です。

イスラム暦の第9の月

ラマダンとは、イスラム暦の第9の月であり、預言者ムハンマドにコーランが啓示された月で、イスラム教徒にとっては「聖なる月」です。今日では、「断食」を意味することも増えています。

実は、ラマダンの期間は毎年変わります。
イスラム暦は、季節のずれを調整しない純粋な太陰暦で、1年を354日で計算します。
季節のずれを、閏月を設けて調整する太陰太陽暦とは異なりため、比較すると、毎年11日ずつ早まっていきます。
そのため、ラマダンの時期は毎年同じではなくなり、30年ちょっとで、カレンダーを一周して、同じ時期ラマダンが戻ってくるということになります。

五つの義務のひとつ

イスラム教徒には、「アッラー・天使・啓典・預言者・来世・予定」という信ずべき六つの信条と、実行すべき五つの義務「信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼」があり、「五行六信」と呼ばれています。
ラマダンは、この五つの義務「五行」のひとつです。

ラマダンの期間は約1カ月ほどで、イスラム教徒は、ラマダン期間中は、日の出から日の入りまで飲食できません。ただし、病人、妊婦や生理中の女性、10歳以下の子供、高齢者などは、断食を行わなくてもかまいません。
敬虔な人は唾液も飲まないと言われ、たばこも吸わない、目薬も指さない、耳掃除をしないという戒律を守っています。
日が出ている間は水を飲むことさえもできないので、気温の高いマレーシアではかなりの苦行でしょう。

ラマダンの意味

では、なぜ、そんな大変な思いをしてまで、この苦行をするのでしょうか?それは、飲食を断ち、空腹や自己犠牲を体験することで、飢えた人を思い、平等に対する共感を育むことができると考えられているためです。
また、親族や友人たちと、同じ時に苦しい体験をして、その苦しさを分かち合うことで、イスラム教徒同士の連帯感が強まると考えられているからです。
さらに、飢えの体験をすることで、食べ物や飲み物の大切さを知り、それを与えてくれているアッラー(神)に感謝するのです。

一日の飲食を日の出から日没まで断つこの行為は、信者たちが自己犠牲を体験し、共感を深め、連帯感を高めるためのものです。また、飢えを経験することで、食べ物や飲み物への感謝を深めるとも考えられています。

いつ食事をするの?

日中に断食を行う代わりに、日の出前と日没後に1日分の食事をとります。
日没後にとる食事は「Iftar(イフタール)」と呼ばれます。
イフタールは、日中まったくものを口にしていないので、胃や体に負担がかからないように水やスープからスタートします。
そして次にデーツ(ナツメヤシ)やフルーツなどの甘いものを食べ、その後に普段と同じように食事をとります。
しかし、レストランなど見ていると、お皿いっぱいに食べ物を用意して、一気に食べる姿もよく見かけます。

日常生活に影響は?

ラマダン中は、マレーシアの街にも変化が現れます。
イスラム教は、ラマダンが日常生活の中心になるため、イスラム教徒が昼食をとれないため、勤務時間を1時間早める職場も多くなります。また、日中は、イスラム教徒の経営する飲食店が閉まったりします。
また、勤務時間のずれが生じることから、通勤時の渋滞が若干減ったり、イスラム教徒はこの期間体力が落ちるのでお出かけを減らすため、週末のショッピングモールの人出が減ったりします。
しかし、夕方になると、住宅地にはラマダンバザールと呼ばれる屋台が立ちならび、デーツを中心に食べ物屋が並び、多くの人が、日没を知らせるアラーの神への祈りである「アザーン」が、モスクから聞こえてくるのを待っている光景が見られます。

大祝日 ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)

マレーシアでは、ラマダーン明けの2日間が、断食明けの祝日 (Hari Raya Puasa: ハリラヤ・プアサ) となります。
マレーシアには、イスラム教の祝日が数多くあるますが、中でも、この「ハリラヤ・プアサ」は最大で最も重要な祝日です。
マレーシア中がお祭りムードに包まれ、多くのイスラム教徒が帰郷(「バリ・カンポン」)し、家族とのだんらんを楽しみ、まるで日本の正月のようです。(イスラム教の正月とも言われます)

ぜひ経験してみてください!

ラマダンは、多民族国家であるマレーシアをより深く知ることができる絶好の機会です。
マレーシアでは、イスラム教徒以外が公共の場で飲食を禁止されたりするほどは、規則が厳しくはありません。
ただ、異教徒である私たちは、断食を行っているムスリムに対して、信仰に敬意を払ったり、一定の配慮を示すべきです。
ムスリムの方に気を配りながら、ラマダンバザールやモスクの雰囲気を楽しみましょう。


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