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言葉っておもしろいなあ

先日のマレー系の女性の生徒さんとの日本語クラスで、「王族言葉」があることを聞き、そのことをこの note でもお伝えしました。
そのクラスでは、日本語とマレー語では、同じ言葉なのに語順が逆になっている言葉についても知ることができました。

左右

クラスの中で、方向や位置の勉強をしているとき、「左右」という言葉は、英語では「left & right 」だし、中国語でも「左右(zuǒyòu)」だし、マレー語でも「kiri-kanan キリ(左)・カナン(右)」と同じ語順であることにあらためて気づき、非常に興味を覚えました。
その後、韓国人の生徒さんとのクラスでも、韓国語でも「좌우(jwau)左右」となっている事実を知り、ますます興味が深まりました。

「文明も文化も、言語体系も違うのに、世界の言葉で共通している部分があるのはなぜだろう?」

母父

そのクラスでは話が弾んでしまい、脱線して、「語順が違う」言葉はあるだろうか?という探求が始まりました。
そこで気づいたのは、日本語では「父母」というけれど、マレー語では「Ibu bapa」(母父)と 母が先になっていることです。
日本は、天照大神が最高神として崇拝されているように、古来から母系的要素が強かったと言われてます。ただ、その後の中国の儒教思想の影響もあり、「男尊女卑」的な思想が入ってきて影響を受け、言葉の並びも、「父母」や「男女」と言うように、男性が先に来るようになったと考えられています。
マレー系の社会では、マレー文化は母系的な要素をまだ多く残していることや、女性の役割を重視する文化的背景もあり、語順にも影響をしているようです。
また日本語では、言葉の美学と語呂の良さやリズム感も影響を与えていると考えられます。

子親

日本ではもちろん「親子」で、英語でも「Parent and child」、中国語では「父子(fùzǐ)」=父親と息子(男性の子ども)あるいは「母子(mǔzǐ)」=母親と息子になると思います。
これがマレー語だと「anak-bapa(アナッ・バパ)(子親)」となり子が先に来ます。
これは、マレー語では子供が中心の「子供ファースト」の考え方が根付いていると言われていて、イスラム文化でも子供を「祝福」として非常に大切にする価値観があるからのようです。

言語が生活や思考に与える影響

このように、表現の違いや言葉の順番の違いは、単なる言語の特徴ではなく、文化的な背景や社会の構造が反映されています。
言葉は、思考や生活のスタイルに影響を与え、さらには無意識の思考にまで影響を与えていて、時にはその国や地域の人々の「無意識の価値観」の基準の重要な要素にもなっています。
言語を学び、教えることは、背後にある文化や価値観を理解し、尊重し、伝えることでもあり、世界の見方を広げるきっかけにもなる、非常に楽しいものなのです。

生徒さんたちに、そんな言葉を学ぶ楽しさを少しでも伝えられたらと思います。


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