ショーロク!! 7月前半ー12
あけましておめでとうございます!!(2025年初回の更新)
また作者がさぼって放置されていたオレたちだが、元気にトーナメントが続いている。
次の試合はオレ、カール・コッチと10代目タイガーマスクの一戦だ。
これに勝つとベスト4になる。
オレは先ほどの三沢の華麗な空中殺法を見て、できるだけ派手に負ける気満々でいた。
ただ、カール・コッチと名乗る以上、三沢(タイガー)が披露した(補助付きで)ジャーマンを掟破りで仕掛けたいという気持ちはあった。
とりあえず最初は受けるだけ受けよう。
と思ったオレはタイガーと組みあった瞬間、耳元で
ローリングソバット連続3回やって
とささやいた。以下、またテッつんの実況にまかせる。
「さあ、組み合った両選手!」
「二人ともちゃんとプロレス技を知っていますからねえ、見ごたえがありそうです」
「キシモトたちが来ない程度に盛り上がっていきましょう、、おおっとタイガーローリングソバットだ!
止まらないぞ、もう一回、もう一回!カール・コッチ、たまらず場外転落だ!!」
「布団リングから落ちましたね、コッチ選手頭を押さえてふらついていますね」
「そこへタイガーが走りこんでのトペスイシーダだ!!」
三沢(タイガー)ならちゃんとこの誘いを受けてくれると思っていた。大当たりだ。
危なくないようにオレは飛んできた三沢を全身で受け止め、サトッチがさりげなく二人のクッション役で後ろについていてくれた。
下は畳だし、誰にもダメージはなかった。観客(同級生)は派手な技が見れて大喜びだ。やってよかった。
「大技でしたね!でも、盛り上がるのは小声でお願いします!!」
と言ったのはマグロだ。ナイスアシスト。
オレはダメージ大、といった感じでタイガーより遅れてリング(布団の山)に戻った。
タイガーがそこへモンキーフリップを仕掛けてきた。
打ち合わせはしていなかったが、これは三沢からオレに反撃のチャンスをくれるムーブだと思った。
オレは自分の勢いもつけて三沢に投げられ、何とか一回転して着地することに成功した。再び沸く観客ども。
身軽さには自信があったが、正直ちゃんとできるとは思っていなかった。三沢の投げ方が上手だったのだ。
三沢はあえて(だと思う)モンキーフリップを打ったままのあおむけ状態でリングに横たわっている。
待たせてはいけないと感じたオレは着地とほぼ同時にジャンピングヘッドバットと肩口にお見舞いした。
「いてっ!」
え?痛くするつもりなかったんだけど・・・
「おおっと、コッチの攻撃でタイガーが左肩を押さえてもんどりうっていますね」
「実は彼は左肩に体操で大けがをした古傷があるんですねえ」
と、事情通のマグロの補足説明。ありがとう、しかしオレ、そんなん知らんかった。
「おっりゃああ!!」
と、大きな声で優しく、逆の方にコブラクローを決めつつ、三沢の耳元でささやく。
「ごめん、痛かった?大丈夫?」
「うん、もともと衝撃に弱なってるねん、オレも動きすぎた」
「この後、何か一つ技かけて勝ってくれる?」
「いや、オレもうあんまり飛んだり跳ねたりできんから、横っち勝ってくれへん?」
以上が、「おりゃあ」だの「うおお!」だの叫びつつ交わした小声の会話の内容である。
こいつは困った・・・
まさかのコブラクローでギブアップというわけにもいかないだろうから、何らかのフィニッシュホールドを考えないといけない。
とはいえ、手負いの三沢相手に自分がやりたいからという理由だけでジャーマンをさせてもらうのも忍びない。
観客が納得して、よい試合だったと思わせるには・・・
考えあぐねたオレは咄嗟に三沢に「一瞬、ごめん、ガチでタップしてな」と言って、奴を仰向けからうつぶせに寝かせた。
そして、テキパキと足を絡め折りたたんで・・・
「ぎゃああ!!ギブ、ギブアップ!!」と三沢を叫ばせた。
「おおっと、何だあの技は??」とテッつん
解説の二人も悩んでいるようだ。
「インディアンデスロックの改良版?ですかねえ・・・」
そこへ颯爽とサトッチが登場しマイクを(あるテイでやっているだけなのでエアーだが)奪って言った。
「今の技は巨人折りという足殺し技ですね。ケイブンシャのプロレス技大全集の隅っこに描かれているようなマイナー技です、私もかけられたことがありますが、地味な割に阿保ほど痛いです」
と、解説をしてくれて、一同もほうほうと納得してくれた。
とりあえず、皆が知らないような技を見せることで斬新な終わりを演出したのだった。
「ごめんやで」
と、布団リングを降りながらオレは三沢に言った。
「いやいや、横っち勝ってくれて良かったわ。最後の技、ガチで効くわ」
爽やかに笑う三沢を見て、こいついい奴だな、と思った。
違うクラスだけど、ちゃんと友達になれんもんかね。
ともあれ、オレは不本意にもベスト4に名を連ねることになってしまった。
次の相手は・・・・
げ。
ドスケベマスクやんけ・・・
(続く、早よ終われ)