ショーロク!! 6月後半-1
6月後編
銭湯事変と夜明けの変態、
さらに男が甘えん坊だった件
1.いざ銭湯!
清川はモリの家を知らないので、オレはまず清川を迎えに行ってからモリの家に行くことになった。
清川宅へ行ってみると、たまたま遊びに来たというキタンが一緒になっていた。
もちろんキタンは銭湯の用意はしてなかったが、清川のお母さんが銭湯代をくれたりタオル類も用意してくれたので、キタンも銭湯行きに加わることになった。
モリの家につくと、奴は上機嫌でまたまたオレたちに氷をくれた。
キタンは喜んで食べたが、清川はきっと初めての体験だったのだろう。えらくひきつった顔をしていた。
最後にサトチンがやってきたが、心なしか表情が暗かった。
家で何かあったのだろうか。
「ほな行こか」
年季の入った24インチの赤いママチャリに颯爽とまたがって、タオルだけを首にかけたモリがペダルをこぎ出した。
キタンのマウンテンバイク、サトチンのスポーツタイプがそれに続き、オレのカマキリスタイルのチャリンコが清川を後ろに乗せて最後尾からよたよたとついていった。
どうやらモリとキタンはもともと仲がよかったらしく、二人の会話はよく弾んでいた。
おまけにキタンはシコシコのやり方を知っており、オレとサトチンは度肝を抜かれた。
清川はその話の最中会話に入ってこれずひたすら首をかしげていた。
「ねえ、モリ君ってちょっと変わってる子なの?」
清川がオレにしがみついてボソッと言った。
その声は風に流れてしまいそうだったが、オレは雰囲気で何を清川が言ったのかを感じとって「だいたいオレらと似たようなもんやで」と叫ぶように答えた。
「・・・じゃあかなり変じゃん・・・」
さらに小さな声で清川が言った。
オレは聞こえないふりをしてやったが、とりあえず風呂に着いたら一発どつこうと思った。
そして自転車を走らせること数分後。
ボカッ。
「あいた!何だよ、もう・・・」
風呂に着いて、チャリをとめるやいなやオレが清川の頭をしばいたもんだから、皆は不思議そうな顔をしていた。さっきの発言の制裁である。
オレはスッキリして笑いながら、風呂の用意を振り回して中へ入った。
清川もいきなりどつかれるというこの町の文化にどんどん馴染んできたようで、別段気にするでもなく後をついてきた。
しっかりと自分専用のお風呂セットを抱えた清川をモリは笑った。
モリに言わせると、銭湯に自分用のタライやシャンプーを持ってくるのはど素人ということらしい。後で説明を聞くと、タライは普通に備え付けがあるし、シャンプーは使い捨てがあちこちに残ったまま捨てられていて、それを使えるというのだ。
オレとサトチンは感心し、使い古されたシャンプーを探して使う気になっていたが、清川はまたまた顔をしかめて嫌がった。
そんなこんなで、オレたちは脱衣所に入った。
そこで自分のロッカーの番号を何番にするかさんざん悩んだ挙句、全員が横並びで着替えることにした。
清川は案の定ヘソのあたりからバスタオルをまいて、さらに丁寧に腰回りにスポーツタオルを巻いてからズボンを脱ぎ出した。
一番最初にすっぽんぽんになっていたキタンが清川の背後に忍び寄り、奴がパンツをおろした瞬間にタオルをはぎ取った。
顔を真っ赤にして、股間を押さえながら清川がキタンを追いかけて脱衣所を走り回った。
疲れたサラリーマン風の男が舌打ちし、風呂上りの爺さんが「コラ」なんて言っていたが、オレたちはテンションが上がりきって全員で爆笑していた。といっても、このときもサトチンの表情はどことなく暗いような気がしたが・・・
一方、散々いじられた清川も肩を落として呟いていた。
「来るんじゃなかった・・・」
そんな清川を引きずるようにして、オレたちはいよいよ浴場に入った。
いつか投稿がたまったら電子書籍化したいなあ。どなたかにイラストか題字など提供していただけたら、めちゃくちゃ嬉しいな。note始めてよかったって思いたい!!