ショーロク!! 6月前半ー4
4.子供のイタズラ小図鑑
ー続行
悪行その四
クリちゃん爆弾事件。
これはオレも覚えていた。今でも非常に悪いことをしたと思っている。
オレ以上に鮮明に覚えていたキタンの話で振り返ると・・・
小学校5年生になったオレは、現同じクラスのヤマンにケンカで3連敗した。当時は別クラスで対立していたのだ。
ケンカで負けた奴が腹いせに相手に爆竹を投げつける、または相手の家の前で爆竹を鳴らしまくる、というのは結構よくある話だったのだが・・・
連敗が続いてあまりに腹がたったオレはクリちゃんを自分の自転車にくくりつけ、カゴいっぱいに爆竹をつめて、火をつけてから
「クリちゃん爆弾じゃあ!」
と言って、ヤマンの家の玄関へ自転車ごと投げ込んだのだ。
キタンが言うには、玄関の中に入ってさらに居間までクリちゃんを自転車ごと押し込んでいたらしい。
友達ながら滅茶苦茶過ぎて怖かったと言われた。
そう言われると、ヤマンのじいちゃんが目を回して倒れてしまったのも思い出した。
・・・確かに怖い。どうしたんだ、昔のオレよ!もっとマジメに生きてくれ。
翌日、ヤマンにボコボコにされて、4回目の敗北を喫したことはなぜかちゃんと覚えている。
悪行その・・・
「も、もうやめてくれ~。いや、やめてください!」
オレは半泣きだった。
自分がやってきたことだけど、こんなにひどいとは思っていなかった。
子供の可愛いいたずらのつもりだったのだ。
許してください。いや、マジで。
「いや、横っち、ひくわぁ・・・」
清川がドン引きである。無理もない。
覚えたての下手くそな関西弁で言われたところでぐうの音も出ない。
「そういえば、俺も横っちに階段の一番上から突き落とされて骨折したことあったなあ」
と、ブーヤンがサラリと言ってのけた。いつの話だ。記憶にございません。
清川がますますオレから距離をとっている。
「あと、息をはあはあさせた後、無理やり気絶させる遊びって、横っちが考えたんじゃなかったっけ?」
何?その遊び?自分で自分が怖いです。
話を聞くと、中腰状態になって手を膝に置いて、思い切り息を吐ききらせて、その後息を止めた状態の被験者?を壁際に立たせ、思い切り胸を下から上に押し上げると、あら不思議!?簡単に気絶するというのだ。
「いや!知らん!さすがにそれはオレが考えたんちゃうわ!」
こんな危険なものを考案して忘れてしまってはますますサイコパスである。
「あ、それはたぶんオレが考えたヤツやわ」
と、サトチンが申し訳なさそうに手をあげた。お前やったんかい!
「で、クラスが違うから横っちが真似したのがオリジナルみたいになったんやな」
と、キタンが分析した。
「ほら見てみい!オレはそんなに悪ぅないやんけ!」
オレはドヤ顔で言ってみたがブーヤンが余計なことを思い出した。
「いや、それやられておっくんか誰かがぶっ倒れて口から泡吹いてるとき、横っちだけ爆笑してたよな。みんな、結構ガチで心配してたのに」
ぐむぅ。そうだったかも知れない。
「で、でも!」
オレは何とか自己弁護しようと他の友達の悪行に思いを巡らせた。
「クリって小3の時、ほぼ毎日大野のブルマとパンツずらしてたよな」
普通ならスカートめくりで終わるところを、クリちゃんはそれだけでは飽き足らず、体育の時間前に、学年一の美少女大野洵子の背後に忍び寄り、後ろからブルマとパンツを丸ごと膝までずらすという離れ業をやってのけていた。名付けて、クリちゃんの『必殺パンツ下ろし』である。
ゲリラ的に行うので、たまたま大野の前にいた連中は超ラッキーだった。考えたら後ろにいたクリちゃんはケツしか見てないのではないか。
これは1週間もすると女子の大半が大野の周りを取り囲むというガード方法を取り始めたので、短期間のブームで終わっていた。
オレは他にも色々思い出した。
「4年の脱がしあいのときは、キタンが一番鬼ってたよな!」
そこで清川がたまらないという感じで割って入った。
「ちょ、ちょっと待って!僕、大野さん知らないけど、パンツまで脱がされるとか大事件だよ!いや、その前の話もかなり事件だけど!」
全員が『そうなの?』と首を傾げた。
「さらに、今さらっと言ってのけた『脱がし合い』って何なのさ!怖すぎる予感しかしないよ!!」
と、清川が青ざめた顔をしているので、オレたちは丁寧に説明してやることにした。