ショーロク!! 6月前半ー3
3.若気の至りというもので・・・
クリちゃん宅には誰もいなかった。
だが、その近くの公園に清川とテッつんがいた。
この二人の組み合わせは意外だったが、駄菓子屋で偶然会ったとのことだった。
二人にも聞いてみたが、やはりオレの家には来ていないと言う。
ただ、二人とも事件の内容には非常に興味をもったらしく、めでたく探偵団が6名になった。
何がめでたいのやら。
「残るはクリちゃんやけど・・・」
とキタンが言った。
「うーん、クリちゃんは違うやろうなぁ」
とオレが答える。
そう、クリちゃんとオレはキシモト組で5年の付き合いだ。奴はウチの親父が暴れゴリラ化することを知っている。
何を隠そう『歯磨き事件』後にオレの家に遊びに来なくなった友達というのがまさにクリちゃんなのだ。
「でも、クリちゃんやとしたら、横っちは鍵壊されても文句言われへんで」
と、滅茶苦茶なことテッつんが言ったので、オレは不服げに「何で!?」と聞いた。
「いや、だって横っち、一時期クリちゃんに無茶苦茶してたやん!」
テッつんに言われた。何だそれ?
「え?そんなことしてたっけ?」
とオレは本気で聞き返した。
「覚えてないん?マジか、お前・・・」
テッつんは呆れたように話し始めた。
・・・オレの呆れるほどの悪行を・・・
悪行その一
通行人が多くいる場所で「おい!」と言って、何人振り返るかを競い合うという遊びが流行ったとき、怖いおっさんに怒られそうになったことがあった。
どうやらそのときにオレがクリちゃんの背中を蹴飛ばして真っ先に逃げたらしい。小学校3年生の頃の話だ。
悪行その二
呼び鈴ロシアンルーレット(見ず知らずの家の呼び鈴を押して誰がギリギリまで玄関先に残っていられるかを競い合うゲーム)が流行ったとき、ヤバ目のおばさんが出てきたことがあった。
オレがクリちゃんを後ろから羽交い締めにして逃げられないようにして、オバちゃんが目前まで来て出てくるまで待ってから、これまたクリちゃんを放り投げてオレだけ逃げた・・・らしい。小3の冬とのことだ。
悪行その三
小学校1年のときに『肛門見せあい大会』が流行ったのだが(もうこの際、何それ?というツッコミは無視する。そういう特殊な文化圏の街だったと思ってください。やっていることは名称通りです。)、これを4年生でももう一度流行らせようとオレが言い出した。ここまでは覚えている。
ただ皆が言うには、まずはクリちゃんからとオレが勝手に決めたらしい。
奴が四つん這いになってお尻を開いて皆に肛門を見せているときに、オレは鉛筆を差し込んだというのだ。
そんなの記憶にない。本当なら非常にひどいことをする奴だ。
あ、それがオレか。
鉛筆がとがっていない方だったのがなけなしの優しさだったらしい。
うーん、確かにひどい。
結局、クリちゃんがその後号泣して、大会はお開きとなり、肛門見せあい大会が再興することはなかった。
流行らんかったなあと思っていたが、原因はオレだったのか!
あのう・・・そろそろ思い出すのやめない?