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選挙報道と結果がズレるのは「支持している奴がバカ」スタンスだから

国民民主党が存在感を発揮し、トランプ氏が大統領に返り咲き、兵庫県知事選を齋藤元彦氏が勝ち抜きました。

それらはメディアによって驚きをもって報じられています。

まぁ当たり前と言えば当たり前かもしれません。

メディアのスタンスとしては彼らに懐疑的、というよりも批判的な論調の方が多かったですからね。

対抗馬となり得る人たちの優勢を取り上げていながらも予測の通りにいかないことに対して理由を検証する特集や記事が踊っています。

ただ、このメディアによる分析ってどうにも刺さらないことが多くて。

だって、その論調にはどうしても「支持している奴がバカだから」というニュアンスを含んじゃっているんですよね。

バカの考えはよくわかんないけど、そのバカの思考を様々な側面から考えてみた、なんてやり方で伝えられたってどうしたって曲がっちゃうわけです。

まずね。

「支持している奴がバカだから」

ってのを止めないといかんのですよ。

私たちはこういう風に報じていて、これが正しいと思っているんだけど、この人たちは彼らに投票した。

どうしても「私たちはこういう風に考えていて」っていうスタンスがあって、その位置から評論してしまっているからズレてしまう。

別に同化しなくていいんですよ。

会社でも人を評価したり面談する時、相手の側に立ち過ぎるとぶっ壊れちゃうし、自分の立ち位置を見失っちゃうからそれはやめた方がいいと管理職になりたてのころに聞かされましたが、同じことが言えると思うんです。

ただ。
相手を理解するのであれば相手の目線に立つ。
これは基本です。

平たく言うと「支持している奴がバカだから」っていうのが根っこにあると相互理解なんてたどり着くことが出来ないってことです。

そりゃバカにされたらそんな番組も記事も読まないですよ。「オールドメディア」なんて言われて当然です。

報じる側のスタンスが見えてしまうと、異なる意見を持っている時はなかなか受け入れられないのは仕方ないことです。

だって、子供の頃に大人からやれって言われたことって反発したくなっていたと思うんですよ。

それは口では立派なことを言っているけど、結局自分の思い通りにしたいっていう意図が透けて見えるから頭に来ていたわけで。

単純な話なんですよね。

そしてメディアによる「頭隠して尻隠さず」が見えるとどうなるかと言えば、別のルートを模索するわけです。

つまり、メディアではなく情報をSNSに頼ると。

そしてSNSを見ると、実は彼らがやろうとしていることは自分たちのためになる、もしくはなってきていた、ということが書かれているわけです。

その中には事実もあれば誇張されたこともあるでしょう。

ただはっきりしているのは、彼らを支持することによって自分たちにメリットがあればそれでいいってことなんですよ。

特に最近ネットで支持された人たちは明確にメリットを提示していたし、享受もしてきていた。(「とされていた」と言うべきでしょうかね)

いやむしろ、メディアが否定すれば否定した分だけ彼らを支持する思いは強くなる。

だって、信用ならないメディアが否定しているってことは、それだけその人や団体に価値があるように見えちゃうんですよね。

不倫をしたりハラスメント疑惑があるっていうのは承知していても、メディアへの反発と自分たちへのメリットがあればそのあたりが解消していなくても気にならなくなっちゃう。

支持する人が増えるとメディアは段々焦り始めます。

そうなると今度はその政治家はおろか、それを支持するという行為そのものを否定し始めます。

否定ではなく中立のように報道していたとしてもその意図を人はかぎ分けてしまいますし、一度中立ではないというレッテルを張られてしまうと中立に報道をしたとしても曲がって受け止められてしまいます。

そして更に支持を深め、人々はSNSに情報を求め、自ら発信を行う。

ネットに親しい世代から順にこの25年くらいでメディア離れをしてきました。最初はネットが若者のものでしたが、スマホの普及により特にこの10年でリタイアした層にさえこの動きが広がりました。

でも、メディアはその現実を受け止めず、今でも同じようなことをしています。

ひょっとしたらもう気づいているのかもしれません。しかし、自己反省をしてしまうとまだメディアに依存する層さえ離れてしまう可能性があります。

自分たちの権威を保つためにはどうしても「支持している奴がバカだから」にならざるを得ないんですよね。この辺りはマジでやっているのか、意図的にやっているのかは分からないですが。

誰を支持するか?っていうのはその人の考え方に依るところなので、メディアが支持する人に共感する方も大勢いることでしょう。敗れた人たちだって多くの支持を集めていますから。

だから別に私は彼らを支持することは否定しないし、むしろ「ネットで真実」的な視点で選ぶよりメディアが肩入れする人の方が良い候補者であることもあると思っています。

ポイントはあくまでも、メディアが否定する人を支持することへの向き合い方なんですよね。

メディア側の考えと逆に居る人にも理解してほしいけど、それをやらないからネットに信頼性を求めに行くことになった。

反対側に居る人たちを否定し続けてきた結果、テレビや新聞しか手段が無い人とメディアの指示に乗っかれる人を除いて皆離れてしまった。

自分たちで情報がつかめる人は勿論、自分が好む情報だけを選別する層もネットに流れた。

正しい情報を選別しようとする人ですら、情報源に使うことはあってもオールドメディアに距離を置いている人が殆どです。少なくとも私の周りでは余程高齢でなければそのようなスタンスの方ばかりです。

まぁもう世界的にオールドメディアの限界に来ているのは間違いないです。彼らが言えば言うほど逆に向かっていく時代になっている。

綺麗事じゃ懐は潤わないんですよ。少数派に優しくても自分たちに優しくなかったらダメなんです。

そこが分からないと、分かっていたとしても報道に反映させないと信頼は回復しないことでしょう。

一番痛いのは、仮にメディアが自己反省して反対側の人たちにも寄り添った報道をしたとしてもSNSからメディア側に回帰することは無いということです。

信頼を失ったものに対してもう一度寄り添おうと思うほど人って優しくないんですよ。

だって、情報なんてメディアから距離を置いても得られるし、一度距離を置いてしまうとメディア一辺倒の時代になんて戻れないですから。

だからね。

人を繋ぎ止められた時に自己反省していればここまで人は離れなかったし、選挙の結果も違ったと思うんです。

変な話ですけど、これから先メディアが好むような人を当選させたいんだとしたら方法はただ一つです。

メディアがその人を叩けばいいんですよ。

人々はメディアの逆を行こうとしますからね。その人の良い部分を探したら、SNSで勝手に拡散することになるでしょう。

そうなったらしめたもんです。

ただ。

間違ってもそんなことは出来ないでしょうけどね。だって、それをするにはプライドをかなぐり捨てる必要がありますから。

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西尾克洋/相撲ライターの相撲関係ないnote
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