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プロレスリングノアとOZAWAを観よう。今すぐに

1月1日、2日のプロレスリングノアの興行がとにかくすごかった

まぁもう素晴らしかったんですよ
去年の1月2日にあんなことがあったので、なおさらそう感じたのかもしれません。

素晴らしかった要因は色々あるんですけど、とにかくね
OZAWA選手がその大半を持って行ったんですよ

彼が如何にすごいか?というのは試合を観てもらえたら一目瞭然です

はい
モノが違います

ただ、1月1日までその全容は分からなかったんです
何しろ今年の後半に帰国してから一度も試合していないのですから

ただ、その期待を試合をせずに上げていったんです
つまり
試合以外でも魅せられる逸材だということなんです

清宮海斗選手を11月に裏切った後で、OZAWA選手は清宮選手に対するネガティブな発信をするという「暴露系レスラー」という新たな軸を打ち出しました。

清宮選手が喫煙者であることや、キャバクラで戯れる様子、骨折の原因が清宮選手にあることなどを次々に発信しました。

普通こんなことをしたら、OZAWA選手への嫌悪感とか清宮選手へのネガティブイメージが出来ちゃうと思うのですが、程よいラインで留めたんですよ。

そもそも喫煙者であることも、キャバクラで戯れていることも、事実かどうかなんてわからないものでしたから。

本当だったらそんな程度のものだったらくだらないことしてるなぁって所感で終わるんですけど妙に笑えたのはOZAWA選手に発信力があるからだと思います

付け加えるとそれらの暴露によってイメージが損なわれないほど、ファンの清宮選手への信頼があった

つまり

暴露系をすることによってOZAWA選手に対して興味を抱かせることに成功したということです。

この時の感想って大体「OZAWA面白い もっとやれ」っていうのと「実績もない奴がリング外で目立ってんじゃねえよ」という感じだったと思います

既に結構な割合で支持されていたのですが、そこに乗っていけない人も一定の割合で居まして、その理由は実力がまるで見えないことだったんです

そして次は12月のことなのですが

OZAWA選手は清宮選手をリング上で襲い、超高難度のフェニックススプラッシュを完璧な形で決めてみせました

ここで批判的だった声もかなりの割合で期待へと変わっていったんです

まぁ誰が見ても凄いんですよ
この技は

技そのものは学生プロレスでも最近は行う選手が居るようなのですが、ヘビー級の選手が、本来トップロープからある程度時間を掛けて繰り出すものをワンステップでやってのけた

こうなるとね
プロレスファンや同業者、関係者がビックリするわけです

そうしたら実力を疑問視したらバカみたいじゃないですか

分かっている人すら驚いているものを否定するっていうのは度胸が要るし、一定の根拠が求められますからね

ただ、ノアは結局OZAWA選手に1月1日まで試合させなかったんですよ
骨折しているという体裁で

まぁそれが事実かなんてわからないですし、フェニックススプラッシュ決めている時点で動けていることなんて明白ではありますが、

OZAWAっていうのは面白いキャラだし、なんかすごい技も決められる
でも実際の試合は見たことが無い

っていうことで更に期待値を高めに高めてビッグマッチの日を迎えまして

どうなるんだろうっていう想いもありました

2022年デビューの選手がビッグマッチのメインイベントで、しかもWWEスーパースターの中邑真輔選手が前に控えている状態で、ちょっとでもしょっぱいところがあったら全部ぶち壊しになる危険性がありましたからね

中邑選手の試合のクオリティと比較されるわけですから、いい試合をしても相対的に足りないという評価にもなりかねないですし、実績のないOZAWA選手と他団体のファンから何かと目の敵にされがちな清宮選手との試合ですからいちゃもんなんていくらでも付けようがあります

そう考えると、本当にこれは賭けだったんですよ

OZAWA選手の評価が1試合で概ね決まってしまうような、そういう大博打でした

でも、全部ひっくり返しちゃったんですよ

ぶったまげました

フルの映像はPPVを観ていだだければと思いますが、一部はこちらをどうぞ

OZAWA選手がやっていることって全部正攻法からは程遠いですから、本来だったらブーイングを受ける動きをやっているんですよ

で、正しい道を進んでいる清宮選手が狡くてダーティな攻めを理不尽に受ける中で反撃をして歓声が上がる

っていう構図のはずなんですけど、真逆になってしまった

ダーティに清宮選手を翻弄するほどに歓声が上がり、激高した清宮選手が攻めに転じるとブーイングが起きる

それくらい、OZAWA選手の動きって魅力的で、見たことが無いもので、何が出てくるかワクワクするようなものだったんですね

そのワクワク感は、極めてオーソドックスに対応することによって強化されるわけです。つまりこれは清宮選手がOZAWA選手を際立たせる役割を果たしていたんです

OZAWA選手の最初の相手は清宮選手だからこそ、その衝撃は広く伝わるものになりました。ゆえにブーイングは気の毒でしたけど、誇っていいと私は思います


とても興味深いことにノアは翌日も様々な動きを仕掛けました

若手有望株の大和田選手がOZAWA選手と共闘姿勢を打ち出したこと

拳王選手が試合終了後にOZAWA選手たちから襲撃された後で救出に入ったのがかつてノアでエースだったKENTA選手だったこと

本当に盛り上がったんですよ
1月2日も

ただね
よく考えるとこれってとんでもないことなんですよ

これらは1月1日にOZAWA選手がファンの心をぐっと掴んだからこそのことなんです

もし清宮選手との試合が微妙だったとしたら、OZAWA選手のユニット(Team 2000X)っていうのはそもそも歪な構造になっていたからです

外国人エース格のモリス選手にWWEからやってきた221センチのオモス選手っていうすごい選手がいる中で、微妙な試合をしたOZAWA選手が引っ張る立場だとしたら

だったらオモスがリーダーでいいじゃん
とか
大和田が入る意味が分からない

って感じになると思いますし、拳王選手が襲撃されていることも、それを救出に来たKENTA選手にもカタルシスを覚えることはあまり無いと思うんですね

つまり、OZAWA選手がファンの予想を超える試合をしてくれるという大前提の元にその後のストーリーが進行しているということなんです

1月に発表になったスケジュールは基本的にOZAWA選手を見せるような形で組まれていますからね

例えば去年、丸藤選手に勝った飯伏選手があの後ノアの中心に立っていたとしたら、私たちは乗れなかったと思うんです(飯伏選手はその後ノアの試合には出ていないのですが)

OZAWA選手に対するノアの期待が大きかったことは間違いないですが、別にこれは大博打でも何でもなくて、実績は無いながらもその可能性に見合った舞台を会社として作れたということです

とはいえ、いくら能力があっても実際に大きな会場のメインイベントでその全てを発揮できるかというとそうではない

ましてやノアはアンチが腐るほど居ますし、慎重になる理由なんて腐るほどあるはずなんです

でも、OZAWA選手の期待値を小出しにすることで高めて、全容をビッグマッチでいきなり見せることによって人々の度肝を抜いた

したたかに計算して、見事に成功したのだと思うんですよ

流石に正月なので足は運べませんでしたが、この興奮も手伝って1月11日の後楽園ホールのチケットを入手しました

ずっと「ノアはいずれチケットが入手しづらくなる」という話をしてきましたが、それはもうすぐかもしれません


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西尾克洋/相撲ライターの相撲関係ないnote
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