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初めての学芸会で修羅場に巻き込まれたおはなし

久しぶりにnoteでもしょうもない話しますか。

今日の話はVoicyでも話していますので、こちらを聴くと全く印象が違いますよ。

なんか最近は音声配信のこととかパラスポーツとかプロレスとか、結構まじめな話ばかりしていたのでちょっと肩凝ってきたところもあったんで、やっぱこのスタイルも出さないとって思いましてね。

10月も終盤に差し掛かってきたので学芸会の思い出について語るとします。

もう40年近く前の話になるんですけど、小学校1年生の時のことです。

当時の学芸会って今と違ってセリフがたくさんあったり出番の長い役って本当に限られていたんですよね。

そのほかの子たちって賑やかしだったり、セリフが数えるほどしかなかったり。

まぁ演劇ってそんなもんなんですよ。
登場人物が全員美味しいことには出来ないですからね。

で、私のクラスがやるのが「人魚姫」だったわけです。

となるとね、
困ったことになりまして。

男の子って基本端役なんですよ。

唯一出番が多いのが王子様って役柄で、さぁどうしたもんかと。先生が黒板に役を全部書いて、挙手で決める流れになりまして。

大きな役ですから、最初に聞かれたと思います。
王子様の役をやりたい人ー

緊張する少年だったので、ちょっと勇気出して手を挙げました。軽い気持ちと、端役よりはそっちがいい、っていうくらいの感覚で。

そしたら、私しか挙げてないんですよ。

この時私は初めて知りました。
目立つ役割は避けたがる人が大多数だと。

子供社会の中でもちょっとしたことに対して自主性が問われる局面って結構あると思います。

授業中に質問したり
学級委員を選んだり
元木大介が野球教室に来たり

元木大介の話はちょっと違うか
いや
違わないか

あの時大人たちすら19歳の元木に緊張して誰も質問できなかったですからね。12歳の西尾少年を除いて

少なくとも登戸界隈では自分から何かを積極的にする、っていう子は超がつくほど特殊だったわけです。

なんだろう
土地柄ですかね

でもそんなことわからないですからね。

私の感覚的にはなんか楽しそうだからやってみようくらいのものだったように記憶しています。

だから困ったことに一歩引いてみると「王子様の役を超やりたい目立ちたがりの子供」っていう位置づけになっちゃったんです。

手を挙げた時に一人だった、っていうあの気まずさと、え?お前やりたいの?みたいなあの空気は忘れがたいものです。

まぁその後も凄く緊張するけどいろんなことを自分からやる少年っていう位置づけは大人になるまで続くことになります。

で。

なんか王子様になっちゃった西尾少年なんですけど、この劇って王子と人魚姫が結構出ずっぱりだったと記憶しています。

となるとですよ、
人魚姫が誰かが大事なわけです。

正直王子に挙手が一人だったことがビックリ過ぎて人魚姫に立候補した子がどれくらい居たかを全く覚えていないんですけど、

一つだけはっきり覚えていることがあります。

人魚姫役が同じマンションのなほちゃん(仮名)だったことです。

なほちゃんとは仲が良くて、活発な子で、鼻炎持ちだったことはよく覚えています。

私の負けず嫌いなところを諫めてくれるような優しさを持っていたことも印象深いです。

幼馴染で超近いところに居る子とかたや人魚姫、かたや王子様っていう役柄になって向き合うのは妙に照れくさい感じがしました。

そらそうですよね。

周りからしたら同じマンションに住む仲の良い子たちが主役やるわけですから、当然そういう目で見てくる。

あとは多分、主役を自分からやるような部分に対するやっかみなんかもあったんでしょうね。

学芸会の練習(稽古っていうべきなのかな)自体は楽しくやっていたんですけど、周りの目線とか結構面倒な部分もありました。

楽しいけど、めんどくせえな

そんな風に思いながら確か学芸会を2週間くらい前に控えた段階で事件が起きます。

なほちゃんが確か泣き始めてしまったのか、私とのシーンの練習が進まなくなってしまったのです。

上手くできないことに対する苛立ちだったのか、周囲からの好奇のまなざしに対するストレスだったのか、そこは聞けなかったのでわからないのですが、とりあえずなほちゃん待ちになりまして。

先生はなほちゃんに色々と話しかけていたと思います。ただ、なかなかなほちゃんは練習再開出来ないようでした。

当然なほちゃんのことは心配なのですが、父兄も集まるわけですから私の中では劇に対して心配になってくるわけです。

ごめんねなほちゃん

普段は冷やかし半分に私たちを見ていた周囲も流石にちょっとやばくねえ?って感じの空気になっていました。

待機する西尾
なほちゃんを宥める先生
様子を見守る生徒たち

・・・
とそこでいきなり動いた子が居ました。

前澤(仮名)という女の子が、なほちゃんの人魚姫のパートをいきなり一人でやり始めたのです。

全員ポカーンとしていますが、なんとなく出来ています。すごく上手いわけじゃないけど、出来ているって感じだったんです。

個人的な気持ちとしては

へー前澤出来るんだ

それやったらなほちゃん可哀そうだろうよ

っていう二つの気持ちが同時進行でありました。

なほちゃんは練習を再開できません。前澤は一人で演技を続けます。なほちゃんがパートナーですから私は前澤には付き合えません。

凄い空気になっています

どうすんだよこれ
いやまじで

修羅場です

どういう形で収めたかは全く覚えていないのですが、一つはっきりしているのはなほちゃんとの練習は再開できなかったことでした。

そして翌日。
人魚姫は前澤に交代することになりました。

え?
それでいいの?
なほちゃん的にも前澤的にも。

いや・・・
西尾的にはNGなんだが・・・

なほちゃんが限界ってことであれば仕方ないけど、交代するにしてもなんかいきなり出てきてちょっと出来るところを見せた人にバトンタッチっていうのはいろいろヤバくねえか?

しかもあれの翌日だぜ
前澤もビックリだっただろうけど、私もビックリよ

これはアレかな

舞台の稽古中に主役が葉っぱとかやって降板になったあとに中止にもできないから代役立てたらこんな感じになるんかな

まぁもうこの後は厳戒態勢ですよね
子供的にも

もう誰も前澤と私の関係性とかいじれない訳ですよ

関係性近い女の子とは大概黒板に相相傘書かれまくるんですけど、唯一前澤とだけは書かれなかった記憶あります。

余談ですが相相傘に

西尾
畳屋

って書かれたことがあるのは恐らく地球規模でも私くらいだと思います。その話はまた今度します。

で、
2週間で急ピッチで仕上げるんです

たまたまなほちゃんが泣いてた時に適当に演技していただけで抜擢されちゃった代理の主役と顔の濃い王子様が

王子様頑張りましたよ
今にしてみるとすげえ体験ですよね

正直学芸会のことは何も覚えていません
母が得意の裁縫で衣装作ってくれた以外のことは

まぁそれくらいなほちゃんから前澤への交代の残したインパクトが強烈だったんですよ

っていうかね、本番のことを覚えていないっていうのは多分、前澤がそつなく終わらせたからだと思います。

あと私も。

今にして思うとすごく良かったと思うのが、端役になったなほちゃんはその瞬間から普通だったし、小3で転校するまで私とはずっと仲が良かったままだったことでした。

暗い影とか別になかったですからね

普通トラウマですよ
前日にホームラン打たれた中継ぎみたいな立ち直りの早さです

一方でこんな異常な経験したら前澤と仲良くなると思うじゃないですか?吊り橋効果界王拳20倍かめはめ波みたいな状況ですからね。

一度家に行ったことありますけど、ねこのふんが超臭かったことしか記憶にありません。まぁそれくらい印象に無いし、一緒に居た覚えもあまり無いんですよね。前澤。

多分あの主役交代っていうのは今の時代だったらもっと慎重に行われていたと思うし、この対応をやっちゃうと親にSNSで晒されたり色々大変だったでしょうけど、でも先生と子供の内内で済んだ。

いや、済んじゃった
という表現の方が適切ですね

完全に私は先生となほちゃんと前澤に振り回されてしまいましたけど、7歳という動物と人間の中間くらいの生物だったころにこういうわけわからん経験が出来て良かったと思います。

だって
生きているとこんな理不尽なんていくらでも起きますから


あと前澤は中学校の頃にヤンキーになったからその後のことはほとんど知りません

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西尾克洋/相撲ライターの相撲関係ないnote
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