香坂まくりの見たVSCC卵 (VtuberShogiChallengeCup)
Vtuberの初心者将棋大会「VSCC卵」が無事終了しました
参加者の皆さん運営の皆さんお疲れ様でした
全てはこの投稿から始まった
☗理想的な企画
Vtuber活動を始めて3年
今年に入ってからは将棋講師としての活動色を強めながら試行錯誤を繰り返していて何かいい企画はないかと考えていたところでした
上記の投稿が私の目に飛び込んできたのは…
Vtuberの大会に将棋ウォーズが特別協力!?
しかも決勝の解説は佐藤天彦先生!!
初心者向けの大会ではあるが指導役として"アニキ"をつけるという試みも非常に面白い!これこそまさに私がやりたかった事!
と投稿を見てすぐに申し込みをしました。
正直に言うと自分がこのイベントを企画をできなかったことが悔しかったです。
☗彷徨える野良アニキの魂になりかける
他のVtuberさん達が早々にアニキとセイトで申し込んだという投稿を見て少し焦りだす。
VSCC卵にアニキ枠で応募をしてみたは良いものの私の周りには肝心のセイトさんが居なかった…このまま誰もセイトが見つからなかったら大阪梅田の地下ダンジョンあたりで彷徨える野良アニキの魂になってしまうのではないかと不安な夜を過ごした。
しかしここで運命の出会いを果たす。
9/3
月音ゆきさんからアニキになって欲しいとDMを頂けた。
お互い面識のない中、かなりの勇気を振り絞って連絡を頂けたことと思う。
まずはスタートラインに立てた気持ちになりました。
声を掛けてくださってありがとうございました🤗
9/5
淡雪花奏さんからも連絡を頂く
月音ゆきさんとは麻雀リーグの∑リーグ(シグマリーグ)でのチームメイトという関係で私がもう一人セイトを募集していたというところから連絡をいただきました。ありがとうございます🤗
あとはVSCC卵の抽選に通るかどうかというところでしたがそこを心配していても仕方がないのでとにかく色々動かなきゃ!
と得意の情報収集を開始。
コラボや情報共有用にDiscordサーバーを作ってそこに色々貼っていきました
9/17に抽選結果発表があり無事2人とも出場決定となりました。
とりあえずホッと一息
☗戦法選択は棒銀
四間飛車をメインにしている私の指導としては意外と思った方も多かったと思いますが初心者の2人には棒銀を教えました。
将棋の基本である
・数の攻め
・飛車先突破
がわかりやすく覚えられること
棒銀か早繰り銀での速攻作戦
対振り飛車には斜め棒銀+エルモ囲い
としました。
これは攻めの手筋を流用しながら教えることが出来るので効率が良いかと思ったからです。
期間が短いので奇襲系を教える選択肢もありましたが
「せっかく取り組むなら正統派な将棋を楽しんで欲しい」
と思い、ゼロから初歩、そして基本へとステップアップしていくような形での指導を計画しました。
2人にとってはなかなか大変な道のりだったと思います。
本当によく頑張ってくれました。
☗時間が無いならなんとかする
初心者に将棋を教えて形にするというのはすごく時間がかかることです。
しかも2人とも普段の配信もあれば記念配信や大きなイベントが控えている中での参加ということもありなかなか練習の機会を設けることが出来ませんでした。
そこで出来るだけ自学自習できるコンテンツをと考え質問コーナーを設置したり、勉強用資料を充実させていきました。
時間がないなら効率良くすればいいのです🤗
私自身は空き時間を全部突っ込んで教える体制で挑んでいました。
2人が将棋配信をすれば見に行き、他のセイトさんが配信をしていればそれをチェックしてどんなことを学んでいるのかどんな特徴を持っているのかを調査していく日々でした。
どこにいても居るので「いつ寝てるの?」って言われたことも多数(寝れる時に寝てました)
☗あっという間に本番へ
10/6 月音ゆきさんがいよいよVSCC予選に挑む
当日の模様は大会運営の配信を御覧いただきたい
https://www.youtube.com/live/8iEeweMKAX8?si=-vjXpajweG2zQgrC
初戦はゆめ心中さんとの対局
端棒銀が上手く刺さって優勢を築いて押し切ってくれた
対局観戦中は「よしよしよしよしっ!」「いけるいけるいける!」「ダメダメダメ」などとひたすら叫び続けていた。
まるで馬券を握りしめるおじさんと化していました(競馬未経験)
2局目は悪使天魔さん
角交換振り飛車対策として角道を空けない作戦を推奨していたが角道を空けたため月音ゆきさんには未知の展開となった。
そんな中でもしっかりと考えて指せていて良い指し回しだった。
途中危ない局面もあったが最後はしっかり詰まして勝ち切りました。
これで2勝!次に勝てば本戦進出が決定する
3局目は爆冥アインさん
一番警戒していた相手でエルモ急戦にて対応するように指導をしていました。エルモ+棒銀の形で序盤戦が進行し中盤うまく切り返され苦しくなっていました。
しかしそこから粘って逆転模様となりいよいよ反撃…といったところで
「あーーーっ!」痛恨の飛車ただやんが出てしまった。相手も見逃さずに飛車を取られてしまう。しかし再び粘って一時かなり迫ったものの最後は即詰みに討ち取られました。
こればかりは指運もあったので仕方なかったところ。
立派な将棋でした!
☗もう一人のセイト
月音ゆきさんは残念ながら予選敗退となってしまったがまだ淡雪花奏さんの予選が残っている。私のセイトは2人いるのである。
気持ちを切り替えて教えていかねばと気合を入れ直しました。
本番は10/13と残り1週間と残された時間はそう多くありませんでした。
正直にいうと、淡雪さんに関してはかなり心配をしていた。
毎日長時間配信の配信スタイルにの上に記念配信もあり(ここは月音さんも同様だったが)、特に実戦数の不足が顕著だった。
そこは本人も気にされており、荒療治ではあるが10/8-12までの5日間毎晩24時からひたすら特訓しました。
野良対局をしては即振り返り、終わればまた対局という実戦重視の練習を行いました。対局数をこなして実戦に慣れて欲しかった。
「本番で勝って欲しい!後悔してほしくない!」という気持ちが先走ってちょっと厳しめの指導になってしまっていたのは少し申し訳なく思います。
そして迎えた10/13の本番
当日の模様は運営の配信を御覧ください
https://www.youtube.com/live/Ocg_rsUWumM?si=gR7q3p2t9v4hwHtQ
初戦はみーしゃんさんとの対局
端角中飛車対策をしっかりしていて組めていたものの序盤に"飛車をただやん"してしまう
思わず叫び声が出た「どうして!?」と
これは淡雪さんへ向けた言葉ではなく自分へと向けた言葉でした。
「どうしてもっとうまく教えられなかったんだろう?こう教えていれば…」といったことが頭の中をグルグルと回っていました
しかしそこから諦めずに指し続ける姿を見るとそんな気持ちを吹き飛ばされました。ありがとう。
2局目はアイシア=ソリッドさんとの対局
矢倉に一目散に組みに来るのを狙い撃ちするために端棒銀での速攻策を教えていました。銀をただやんする攻撃になってしまうものの気づかれず端を破ることに成功しました。ちゃんと教えた形になってる!
しかし端を破った直後にミスが出てしまいそこから粘るものの負け。
後にVSCC卵を優勝することになるアイシアさんをかなり追い詰めることが出来ていました。
予選突破の目は潰えてしまいましたがなんとか1勝して欲しい所、応援にもより力が入ります。
3局目の対局相手は神野莉子さん
右四間飛車オンリーだったので角道を閉じない6筋(後手なら4筋)の歩を突かない作戦を教えました。右四間飛車ではなく居飛車!
神野莉子さんを見て、何か本番に向けて用意している気はしていましたが「囲いの選択はおそらく変わらない」と踏んで飛車先の突破方法を中心に教えました。
本局の角交換して同桂と取った形に対する筋違い角の攻めがそれでした。
結果はしっかり勝ち切って大きな1勝をもぎ取ってくれました。偉い!
☗VSCC卵を終えて
私のVSCC卵は終わりとなったのですが決勝までしっかり観戦させていただきました。(もちろん2人の出場日ではなかったDay1、Day3も)
様々なドラマを産んだVSCC卵には毎回感動させられ涙させられていました。
改めて参加者の皆様、運営の皆様、そしてセイトになってくれた月音ゆきさんと淡雪花奏さん、楽しい大会をありがとうございました!
また絡んでいただけるととても嬉しいです🤗
☖ここからは暗い話
ここからは暗い話になります(ついでにちょっと重い)
暗い話が苦手な方は飛ばしてね
※香坂まくりのイメージが崩れる可能性があります
ちゃらんぽらん?で見た目が可愛くて、声がおじさんなVtuberと思い続けたい方は見ないでください(一応最後に救いはあります)
言ったよ?
言ったからね?
本当に大丈夫??
じゃあ始めるよ…
VSCC卵に参加してからまたよく「悪夢」を見るようになった。
具体的には奨励会に居た頃の夢やそのifのような夢を…もう過去には戻れないのに延々とそれを見せられるのは私にとって本当に「悪夢」だった。
あの時、もっと頑張っていればもしかしたら…
あの時、諦めなかったら…
あの時、あの対局に勝っていれば…
なんであの時…どうしてあの時…
奨励会を退会した時、
私の中の時間は止まりました。
子供の頃から将棋一筋でそれしかやってこなくて他の子ほど器用に何かをこなすことも出来なかった。だからより将棋に打ち込んできた。
そんな私が奨励会を退会したのです。
プロ棋士になることが出来なくなった私はこれから何をやっていけばいいのか…
奨励会退会後、大会に出たりしたこともあったが気持ちは満たされなかった。
※アマ復帰規定を守っての参加です。念の為
ここから昔話をします。
奨励会を退会後はなかなか荒れた生活をしていたと思う。(とは言っても気弱な性分なので悪いことはしていなかったし、今もお酒は飲めないしギャンブルもしないし夜遊びもしない)
色んな事がどうでもよくなり色んなことから逃げ続けていました。
ある日、親から一人暮らしを勧められ(半ば強制だったがこれにはとても感謝している。あのままでは本当にダメになっていたと思う。)自分でアルバイトなどをしながら生計を立てる日々を送った。
その後、零細ブラック企業に就職して(何も知らなかった当時の自分の愚かさよ…)バタバタと時を過ごしている間は嫌な事を忘れることが出来たような気がする。
将棋を指すと色々思い出すのが嫌だったので次第に離れた。
師匠とも連絡を取らなくなった(といっても退会後は大会でお見かけした時の挨拶や年賀状くらいでしたが…不義理な弟子で申し訳ありません)
一応、自立してからは将棋のかわりにゲームやロードバイクに打ち込んだ。
やはり何かしていないと落ち着かない性分だったのでしょう。
自転車もゲームも競技勢というには中途半端な実力でしかありませんでしたが…
昼夜逆転するくらい打ち込むこともあり、そうしている間は色んな事を忘れることが出来ました。
そんな生活を職を転々としながら何年もダラダラと続けていたのですが、
ある時
「このままじゃダメだ。何か新しいことを始めよう。」
と思い立ちました。
なにがきっかけだったのかはよく覚えていません。
思い立ったが吉日と色んな新しい事に挑戦しました。
貯金を頑張ってみたり(お恥ずかしながら当時は貯金が全然なかったです)、趣味を増やしたり、交流を増やしてみたり、旅行してみたり、新しいことを勉強したりなど(プログラミングや英会話はさっぱり続かなかったけれど)
バーチャルサイクリングの「Zwift」で今もお世話になっているチームJETTに参加することになったのもそんな流れの中の一つだったし、Youtubeで動画投稿を始めたのもその流れだったりします。(当初はZwiftの動画をアップしていました。現在はほとんど非公開です。垂れ流しの動画なので)
そしてある日、同じ会社で将棋のスマホゲームをしている人を見かける。
聞いてみると「将棋ウォーズ」というらしい
「スマホで対局できるとかいい時代だなぁ」などと思う程度だったのですが当時よく見るようになったYoutubeで将棋の実況動画がたくさんアップされていたのを見つける。
そして見ていくとこれがなかなか面白い。
将棋からは離れていたのだが(新聞の将棋欄をチラ見する程度)色々な実況を見ているとやはり指したくなってくる。
ああ、やはり私は将棋が好きなんだな
と再認識させられた。
とはいうものの私には将棋を指すための目標がなかった。
将棋動画を出して何が出来るか…そこで思ったのが
「誰かを強くしたい」
という事だった。
奨励会での修行時代には将棋教室での指導もたくさんやった。
師匠や今まで教えてもらった先生方は普及指導に熱心な方ばかりでした。
私自身も教室で初心者から奨励会を目指す子まで教えていました。(大人の方も)
また社会人になってからは営業職として色んな方に自社製品・サービスを勧めたり、簡単な勉強会での講師やプレゼンをすることも多かった。
この経験はきっと活きるに違いない。
物事を教えるのは結構好きな性分だったのできっと向いているはず。
芽が出なければやめればいい、気楽にやってみよう
そう思って将棋動画の投稿を始めた。
これが2021年6月1日のこと
見様見真似で編集して作った動画はさっぱり伸びずでしたが(これは今も変わらないけど)不思議と「悪夢」を見ることは減っていった。
そんな中、将棋とVtuberという見たこともない組み合わせのカルチャーに出会う
※この当時はまだ「香坂まくり」ではなかった点ご留意ください
香坂まくり名義となったのは2022年1月から
当時、(下手くそな自分で描いた一枚絵はあったが)Vtuberではなかった動画投稿者の私にも声を掛けていただきVtuberになることをその場で決心!
さすがに一枚絵だけはまずいでしょ!とLive2Dで身体を作ろうとするも難しすぎて大苦戦。なんとかまばたきと口パクと首(というか顔)が動くようにして(かなり怪しいが)Vtuberと言い張れるようになりV名人戦に出場することに
あの時、声を掛けてくださった皆さんありがとうございます。
そこからVSCC卵までの事を書くのは長いので省略させていただきます。
時は進んでVSCC卵の開催が発表されエントリー受付が始まる
(まくり~ずブートキャンプ等の企画はあったものの)基本的に一匹狼スタイルで活動をしてきた私にとって一番のネックは「セイトとどうやって出会うか」という点だった。
大きな企画だし是非出たい!
でもこんな活動スタイルだしセイト候補が周りにいない(わけではなかったが皆さん既に他のアニキとエントリーされていました。自分の交友関係の狭さに苦笑しました。)
見つからなかったら仕方ない。でも取り敢えず行動あるのみ!
とアニキアピールを実行。
そんな中、声を掛けていただいたのが冒頭でも紹介していた月音ゆきさんと淡雪花奏さんのお二人でした。
「女神が舞い降りた!」(誇張なし)と本当に思いました。
是非そんな2人に報いるために私は
絶対に優勝して欲しい!是非2人の決勝戦を見たい!そのためならなんでもやろう!
そんな決意でVSCC卵に挑みました。
とりあえず自分に出来ることを一生懸命にやる。
それだけを考えて走り続けました。
逆に足を止めたらどうにかなってしまうんじゃないかという恐怖心もありました。
そんな日々を過ごしているうちにいよいよVSCC卵の予選が始まり……
予選はどの対局も心を動かされるものがありました。
悪くなっても決して諦めない、最後まで勝利を信じて戦い続ける参加者の姿がとても眩しかった。
自分もあんな風に一生懸命だった頃があったはず。
でも過去の自分はあそこまで頑張れていただろうか。
自分は諦めた…その後も色んなことから逃げてきた自分にはあまりにも眩しすぎる光景でした。
ここで再び「悪夢」を見るようになりました。
頑張りが足りなかった。もっとやっていれば今頃…と
VSCC卵の期間中、この「悪夢」を何度も見ましたがその度に
「今度は悔いの無いように」
という思いで指導に挑みました。
結果、指導に熱が入りすぎたのは少しだけ反省しています。
暑苦しくってごめんよ。
結果はご存知の通り、残念ながら私は2人を優勝に導くことができませんでした。でも2人は目一杯頑張ってくれました。
私はその点に全く不満はありません。
でも悔しかった…ただただ悔しかった…目一杯頑張ったはずだけど後悔はあった。
悔いが無かったなんていうのはただの強がりだ。
その夜は悔しくて一人泣きました。
自分以外の対局で悔しくて泣いたのはこれが生まれて初めての経験でした。
でもVSCC卵が終了したあと2人が
「これからも将棋を続けたい」
と言ってくれた事にはとても救われました。
本当にありがとう
それ以来また「悪夢」を見ることはなくなりました。
VSCC卵を通して(結果的に)かつての自分向き合うことが出来て吹っ切れたのかも知れません。
私の中の時間が再び動き出したような気がします
ずいぶん回り道しちゃったな…
これからは「出会ってくれた人を強くする」ということをより実現するためにVtuber活動を頑張っていきます。
ゆくゆくは香坂まくりの将棋コンテンツで育ってプロ棋士として活躍するような人を輩出するのが一つの夢です。師匠にはなれないけれど…
まくり~ずブートキャンプ5期生の募集をしたのもそういった決意の現れです。指導で熱くなりすぎないように気をつけます😇
過ぎてしまった時間は戻らないし、ゆっくりかもしれないけれどこれからは前に進んでいくよ。
こんな私ですがこれからも応援よろしくお願い致します。
文才がない故、読みにくく伝わりにくい文章を最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
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