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読書バリアフリー講演会を聴いて 伊藤忠の読書困難を抱える子どもたちへの支援事業とイスラエル軍需企業との提携の矛盾の解消

◆読書バリアフリー講演会 野口武悟さん(専修大学文学部教授)『読書困難をかかえる人々』

今年の1月に沖縄県立図書館の読書バリアフリーに関する野口武悟さん(専修大学文学部教授)の講演会のオンデマンド配信を視聴した。タイムコード43:58辺りで、知的障害等により本を読んでも「分かりづらい」という困難を抱える子どもたちにとって「分かりやすく読める本」のニーズが高いという話がされていて、具体的な支援策の一つとしてマルチメディアデイジー(音声による読み上げ機能だけでなく、読んでいる箇所を色付きでハイライトする機能も備えたデジタル図書のこと)が紹介されていたが、それについて伊藤忠商事の非営利部門である「伊藤忠記念財団」が学校や公共図書館にマルチメディアデイジーの作品を無償で寄贈する事業を行っている(申し込むと無料で送ってくれる)ということも併せて紹介されていた。

昨今、イスラエルの軍需企業との提携を切れという抗議活動が盛んに行われて責任を問われてきた伊藤忠商事が他方でこうした事業を推進してきたというのは初めて知ったが、であるならば、このような読書バリアフリーの推進事業、とりわけ次世代の育成のために読書困難を抱える子どもたちの支援事業を行いながら、一方でパレスチナの学校を破壊したり子どもを虐殺するために使われる兵器開発にいそしむ企業と協力関係を結ぶという矛盾は当然解消されるべきであったが、市民の抗議活動に押されてひとまずイスラエル企業との提携は解消されたようだ。しかし本来はより積極的なステイトメントとして、イスラエルによるeducaricideとも呼ばれている、次世代への迫害を企図した虐殺行為に明確なノーを突き付けるべきだろう。

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