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精神医療関係のドキュメンタリー映画(随時更新)

・ドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』
劇場公開日:2024年12月7日 101分
分かりあえなさとともに生きる、すべての人へ向けた破格のドキュメンタリー
藤野知明 監督
淺野由美子 プロデューサー

医者を目指していた優秀な姉がある日突然叫び出して、だけど医師で研究者だった父と母は統合失調症の可能性を認めず受診と治療から本人を遠ざけて、そんな両親を説得できないまま実家を出て映像制作の道に進んだ監督が帰省の度に記録した、家族という名の他者との20年間のドキュメンタリー。食卓を囲み、会話して、日常を過ごし、だけど両親に伝わらず、あるいは受け入れてもらえず、だからその先に進めない。次の帰省時に実家の玄関に鎖と南京錠がかけられ姉が閉じ込められていた時の気持ち。カメラを回し始めたのが"発症"から18年後で、そこから20年。『どうすればよかったか?』というのがこの映画のタイトルです。

毎日新聞より、「両親は統合失調症の姉を自宅に閉じ込めた 映画監督と家族の40年」 2024/12/7 12:00

藤野知明監督インタビュー(集英社オンライン)“統合失調症の姉を南京錠で監禁”…20年間家族を記録した弟が伝えたかったこと「姉さんの人生はなんだったんだろう」 2024.12.07

「この作品が受け入れてもらえるかどうか、という疑問は作品完成からずっとあります。(略)ただ、自分ではこれを作らないで死んだら無念だったろうと思うし、姉さんの人生はなんだったんだろうとも思う」

スローニュースの記事「統合失調症の姉を家に閉じ込めて20年以上 治療を拒んだ高学歴両親、説得し続けた弟がカメラでありのままを記録」(2024/12/12)

文春オンラインの相澤冬樹氏の記事(2024/12/19)

柿沼キヨシさんによる『どうすればよかったか?』のレビュー。38分弱あるけど視聴して良かった。

尾形修一の紫陽花(あじさい)通信「映画『どうすればよかったか?』、姉が統合失調症になって家族はどうしたか」(2024/12/26 22:02):話題の記録映画『どうすればよかったか?』。上映会場が広がり、僕はわざわざ大森まで見に行った。年末平日の真昼にしては観客は多かった。これは北海道に住んでいた医学者夫婦の姉が統合失調症になり、両親はどうしたかの記録である。8歳下の弟が長年撮りためた映像を編集した映画。医学者の夫婦が姉を病院に連れて行かず、まるで「私宅監置」のように家に鍵を掛けて20年以上も過ぎていく。監督は何も出来ず、将来まとめるつもりを秘めて、映像の勉強のように取り繕って撮影してきた。まさに「どうすればよかったか?」。普通の意味での映画と違って、映像は粗いし、映画的な完成度にも問題がある。だがそれを超えた強い緊迫感がずっと続いて、どうなるんだろうと見続けてしまう。映画ファンというより、精神疾患に関心が深い人向けだろう。」

ネタばれ注意どころか、本文の後の客観データの後に、ようやく本筋を書くという周到さというか緊張感で記したブログ。公開後の映画の評判が良いということが、嬉しいというか、「表現」の力、観客の受け止める力、を、あらためて信じられる気がした。このような映画が可能になったことは、デジタルの力もあるが、ドキュメンタリー映画を映画館で日常的に観ることができるという状態がこの二十年の間に進んだということが大きいだろう。『どうすればよかったか?』のヒットは、素晴らしいことだ。

・▰▰お知らせ▰▰🆕「東風のポッドキャスト」スタート💫初回ゲストは『どうすればよかったか?』の藤野知明監督&淺野由美子プロデューサー。
東風スタッフはかなり緊張気味でしたが、募集していた観客のみなさんの質問にお答えしたり感想を聴いたりしながら、おふたりにi映画について語ってもらいました!
Spotify、Apple Podcast、YouTubeの下記リンクよりお聴きいただけます🚀
藤野監督&淺野Pゲスト回は、複数回に分けて順次配信していきますのでぜひお聴きください🙇‍♀️
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❖配信先リストはこちら▼

なお、同監督の他の作品に『カムイチェプ サケ漁と先住権』がある。

・精神医療国賠訴訟裁判が、2025年2月3日(月)に東京高裁で控訴審を迎えます。
ドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』では、藤野知明 監督のお姉さんは統合失調症が疑われたものの、ご両親の判断で自宅に囲われました。
他方、伊藤時男さんは家族に精神病院に入院させられ、40年以上も社会的入院を強いられました。ぜひ控訴審の傍聴・応援をお願いします。

1.東京高裁控訴審
2025年2月3日(月)14時開廷
場所:東京高裁101号法廷
※今回、原告および弁護団による意見陳述が行われます。
2.控訴審裁判報告会
2025年2月3日(月)15時~(予定)
会場:日比谷コンベンションホール(裁判所より徒歩5分程度)

・日仏共同製作 ドキュメンタリー映画『アダマン号に乗って』

・精神病者のドキュメンタリー映画2本『かけがえの前進』と山本明子監督『キチガイの一日』

『キチガイの一日』の監督の山本明子さんは、想田和弘監督の観察映画『精神』で描かれた診療所「こらーる岡山」の事務員の方だとのこと。映画のラスト、吉沢毅さんの生歌とバックに流れるサックス🎷生演奏のシーンでは、なんとも「どうしようもなさ」が滲み出ていて自然と込み上げてくるものがあった。

・1964年、東京オリンピックの年に沖縄への最初の派遣医として宮古島に赴任した岡庭武精神科医。原監督が岡庭の足跡を追う。精神医学的に注目すべきは、岡庭が報告した統合失調症の患者さんの発症年齢が常識よりも高いことだ。これは沖縄戦トラウマが誘因となって統合失調症が発症した説の根拠となっている。

・必見映画「生きて、生きて、生きろ。」/精神科医・蟻塚亮二さんと監督・島田陽磨さんの対談を公開/佐藤光展のメンタルヘルスあれこれ

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