長沼智恵子と高村光太郎
NHKBSプレミアム 偉人たちの健康診断 選「東京に空が無い “智恵子抄”心と体のSOS」(59分)視聴メモ📝:福島県の安達太良山の麓に造り酒屋の家に生まれた長沼智恵子。番組出演:詩人の郷原宏さん。智恵子はエメラルドグリーンを好んで使ったが、絵画塾の教師にエメラルドグリーンは不健康色と言われた。色盲だった。人とは違う色覚。普通は三色型色覚。二色型色覚(少数色覚)、この中で多いのが、緑は黄色っぽく赤が黒っぽく見えるタイプ。高村光太郎の評論「緑色の太陽」を読んだ智恵子。心を射抜かれた智恵子は当時珍しかった南米原産のグロキシニアの花をプレゼントするなど積極的に高村光太郎にアプローチをかける。智恵子が郷里の縁談で医者と結婚すると告げた後、しばらくして高村光太郎が雑誌に「N-女史に」という詩(いやなんです あなたの往ってしまうのが…)を掲載。それは光太郎から智恵子への激しいラブレター。しかし智恵子は色覚のコンプレックスのことを高村光太郎には生涯打ち明けられなかった。霊長類の色覚に詳しい東京大学教授の河村正二さん。人類の進化と深い関わりがある。赤い木の実を発見できる能力として三色型色覚を発達させた人類。一方、草原でカモフラージュされた動物をすぐに発見できる能力、色に惑わされず輪郭をはっきり捉えることができるのが二色型色覚。狩りをするときも二色型色覚の人がいると獲物や敵を早く発見できる。逆に三色型色覚は色に惑わされている。
生活費にも事欠く中で光太郎は真冬に工場(こうば)と呼ぶアトリエを石炭ストーブで一晩中暖め続けた、粘土で作った彫刻が凍って壊れるのを防ぐため。生活よりも芸術を優先した。
油絵を完成させることができない智恵子。東京には空が無い。それは痛切なSOS。ところが光太郎の詩のタイトルはなんと「あどけない話」。高村光太郎は智恵子の訴えをあどけない話と見過ごしてしまった。病弱で都会での暮らしにストレスを感じていた智恵子。東京に住んでいると自分の心に青空は訪れない、いつも曇り空だ。作家・田下(たおり)啓子、「天下の高村家」への引け目。切り絵。精神科医・池淵恵美さん。
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