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カーボベルデ共和国のモルナの歌手セザリア・エヴォラ Cesária Évora(1941-2011)

カーボベルデ共和国🇨🇻は、アフリカ大陸西端のさらに西の沖合に浮かぶ火山群島の(火山列島の島嶼郡からなる)共和国である。10の主要な島から構成されており、国旗にも星が10個描かれている。

15世紀頃にポルトガル船が来航するまでは無人であったとされ、16世紀に入るとポルトガル🇵🇹の植民地となり、奴隷貿易の中継地となった。地理的に、アフリカから南北アメリカにアフリカ人奴隷を輸送する中継地点として最適だったのである。そのため、カーボベルデではポルトガル人とアフリカ人の混血が進んだ。現在では混血が約70%を占める。1879年に奴隷制度の廃止や飢餓などを受けて、カーボベルデの繁栄は徐々に失われるようになったが、貿易に向いた立地条件を存分に発揮して、商業港として発達していった。その後ポルトガルのカーボベルデに対する扱いに不満を感じていたカーボベルデ人とギニア人により結成されたPAIGC(ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党)により独立に導かれた。独立までにはポルトガル軍との戦争をしており、1975年にようやくカーボベルデ共和国として独立が叶った。

カーボベルデで一番有名な音楽にMorna(モルナ)というジャンルがある。これはフォークミュージックに分類される音楽であり、故郷や家族に対する想いから歌われることが多い。Mornaは英語で言う「To Mourn(深く悲しむ)」と同じ語源から来ているという説がある。奴隷貿易や植民地時代に経験してきた過酷な環境や、抑圧された経験から生まれたと思われる音楽である。音楽的にはヨーロッパから来た楽器を使用しているものが多く、アルゼンチンタンゴのようにも聴こえる。ポルトガルの民族歌謡ファドに似た雰囲気も感じられる。

そのモルナを代表する歌手がセザリア・エヴォラである。彼女は1941年、カーボベルデ出身で2003年に米国グラミー賞も受賞している。その歌はスケールが大きく開放感が感じられる。

Cesaria Evora - Angola (Official Video)

Cesária Évora - Sodade (Official Video)

Cesária Évora, Petit Pays


追記)セザリア・エヴォラの頬杖をついた写真を見て、川端康成の頬杖の写真なども想起したが、この頬杖という仕草をめぐる報告を永井久美子さんがされていた以下のセミナーを思い出した。参加できなかったが。
2022年7月29日(金)東京大学ヒューマニティーズセンター第74回オープンセミナー 「作家イメージの類型論――頬杖、たばこ、筆記具」 報告者:永井 久美子(東京大学大学院総合文化研究科)ディスカッサント:李碩(仁川大学校)
概要:夏目漱石や芥川龍之介、太宰治など、頬杖をつく姿を写した写真が広く知られる作家は少なくない。紫式部や兼好法師なども、文机に頬杖をつく姿で描かれることで、顔は分からずとも文筆家であることが示されてきた。ものを考えるしぐさとして、時代や地域を問わず捉えられてきた頬杖は、日本では、絵画や写真にどのように取り上げられてきたのか。たばこや筆記具といった持物との組み合わせにも注目しつつ、例を集め考察する。

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