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久保覚「中上健次は軽蔑に値する」(『水牛通信』1982年7月号)
現代思潮社、せりか書房の敏腕編集者としてほとんど伝説的に知られた久保覚さんの傾聴すべき記事。久保さんは『花田清輝全集』を事実上一人で完成させた名編集者で、御茶の水書房から出た広末保の名著『可能性としての芭蕉-完結拒否の発想』の仕掛け人でもある。また在日朝鮮人として朝鮮芸能史研究者でもあった。
久保覚「中上健次は軽蔑に値する」(『水牛通信』1982年7月号)
「有難そうにその名前をちらつかせている柳田国男が、法務局で「日韓併合」に関する法制の作成にあたったこと、その功で勲五等瑞宝章を授与されていることを知っているのだろうか。偉そうにその名前をちらつかせる前に、 柳田民俗学がそういう民俗学であったことを考えてみるべきなのではないのか」
野村伸一「久保覚の死後18年:借りを返すべきとき」
中上論としては、亀有碧「中上健次の〈アジア〉思想」(2023)が久保の議論を引き継ぐものと言えそうだった。
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/2007580/files/lis2108.pdf