1.『たそがれ清兵衛』(2002年)
山田洋次監督の映画『たそがれ清兵衛』を観た。とても良い映画だった。真田広之と宮沢りえの主演した映画のなかでも随一の傑作ではないだろうか。清貧に甘んじる生活をしながら、とある藩士を藩命により討たなければならなくなった下級武士と、その幼馴染の女性の行く末を静かに描いている。前半の静(日常生活)と後半の動(一対一の決闘)の対比が素晴らしい。清兵衛に討たれる藩士(余吾善右衛門)役のダンサー田中泯の最後の立ち回りや息絶えるところも鬼気迫るものがあり、見事だった。他の出演者も良いし、子役も可愛かった。
原作は藤沢周平の小説で、藤沢周平ファンには「海坂藩」という名前だけで、ぐっとくるものがあることだろう。
ちょうど今朝の朝日新聞(2024年10月19日)に山田洋次監督の寄稿が載っていたので、以下に転載する。
2.『隠し剣 鬼の爪』(2004年)
山田洋次監督の時代劇三部作の2作目。謀叛の罪で極刑に処せられるも山奥の牢を破って脱走し、ある民家に人質をとって立て篭もり、家老の命により主人公の平侍・片桐宗蔵(永瀬正敏)に果たし合いで斬られることになる狭間弥市郎という男(小澤征悦)の妻を弄んだ家老の心臓を主人公が「隠し剣 鬼の爪」で一刺しするというのは良かったけど、松たか子の出番も『たそがれ清兵衛』で宮沢りえが物語上なくてはならない役だったのと比べるとそれほどでなく、ラストシーンで「ご主人の命令なら」と一緒に蝦夷行きの意思を表明する仕方も、封建的な男女の関係性を背景にした台詞で、全体として『たそがれ清兵衛』の方が良かったかなと思う。
3.『武士の一分』
高校生のとき、遠足で徳島行きのバスの中で観た作品。ストーリーは忘れてしまったが、とにかくキムタクの演技が素晴らしかった。