🧮数学・数学者🔢に関する記事・書籍紹介のリンク集(随時更新)
・「微分方程式」を「図形」に変換する!?~数式と幾何をつなぎ、新たな世界のマッピングに挑む
千葉大学 大学院理学研究院 准教授
廣惠 一希[ Kazuki HIROE ]インタビュー記事
・【新刊】小林俊行著『地力をつける微分と積分』(岩波書店) 東京大学の前期課程講義がもとになったもの。定理・公式やその証明や計算よりも「そもそも微分や積分は何をとらえているのか」という芯の部分を大事にし、数学者の思考の過程を見せるように書かれたそうです。
・原作 光城ノマメ 漫画 しまな央『天球のハルモニア』全2巻(2022-23)
漫画『天球のハルモニア』は、18世紀末のパリを舞台に、実在した女性数学者であり物理学者であり哲学者のソフィ・ジェルマン(1776〜1831)を描いた作品。意欲的な作品だったが、残念ながら2巻で打ち切り。
・サイエンスチャンネル 科学の殿堂 (5)数学の巨人 永田雅宜 〜ひたむきに歩き続けた人生〜
・永田雅宜氏の伝記本『博士のポケット』2023年4月刊行
・放浪の天才 ポール・エルデシュ NHK1997
・フェルマーの最終定理
・アメリカの10名の数学者が連名で、数学者は警察との協力を打ち切るべきと訴える公開書簡を発表し、これに対して全米の1,500人以上の数学者の賛同の署名が集まっている。アメリカでは数学を利用したアルゴリズムによる「予測的取締り(predictive policing)」が盛んだそうだが、これが結局のところ、偏見に基づいたデータを収集・分析することで偏見、つまり白人至上主義的暴力の再生産を正当化することにしかなっていないという問題が指摘されてきた。公開書簡の著者たちは、アルゴリズムとは政治的なものであるという現実を見据えること、それゆえに数学者はアルゴリズムが現実社会でいかなる偏見に基づいて運用され、いかなる偏見に満ちた結果を生み出しているのかを見張ることもその使命の内なのだ、と主張している。実際にアメリカには、アルゴリズムがアフリカ系アメリカ人の生活にいかなる影響を及ぼしているのかをチェックする"Data 4 Black Lives"のような数学者の運動もあるようだ。日本では、アルゴリズムやコンピュータによるシミュレーションは政治的に中立だと思われ過ぎているような気がしてならない。
・数学博士が語るAIの正体 仕組まれたアルゴリズムの罠:朝日新聞
・AIのジェンダー問題 バイアスを壊すには?|AIによって強化されうるジェンダー規範。インクルーシブな設計態度を探る。|ゲスト:西條玲奈(2024/6/30)#ポリタスTV
・【望月新一による「ABC予想」の証明と、数学界の戦い】 2012年、数学界に激震が走った。30年近くだれも解けなかった「ABC予想」を京都大学教授の望月新一が証明したというのだ。(2016)
・山本義隆氏著「重力と力学的世界」上・下
文庫本になりました。1977年から78年にかけて雑誌「現代数学」(途中で「Basic数学」に改名)に連載された記事に加筆、1981年に単行本として現代数学社から出版されました。山本科学史の原点です。これが,後の『磁力と重力の発見』をはじめとする科学史三部作につながっていきます。今回の文庫本化で,誰にも手に入りやすく、読みやすくなりました。多くの人に手に取ってほしい名著です。
・19世紀英国の作家チャールズ・キングズリーのヒュパティアを主人公とした長篇小説『ハイペシア 古い相貌の新たなる論敵』(ハイペシアはヒュパティアの英語読み) Charles Kingsley, Hypatia, London: Everyman's Library, 1907.(初版は1852年) の新訳。
・「ケーニヒスベルクの橋」については数学者オイラーに関する記述で必ず出てくる。また哲学者カントは生涯をケーニヒスベルクで過ごし、いつも決まった時間に決まった場所に現れる散歩をした。E.T.A.ホフマン、ヒルベルトの生地でもあった。
神戸新聞の21日付書評欄に『創造された「故郷」』ユーリー・コスチャショーフ著/橋本信也、立石洋子訳(岩波書店)の、松永美穂氏による紹介があった。
旧プロイセンのケーニヒスベルクは、現在はロシア領のカリーニングラードにかわった。第二次大戦末期、スターリンはドイツ人を追放し民族浄化をはかるためロシア人を入植させた。紙面にはこう書かれる。「新しい入植者の『故郷』を正当化するために、それ以前の歴史や文化は否定され、遺跡は破壊されていく」。
現在のカリーニングラードの人々は歴史の連続性を認め、創設750年を祝ったという。もちろんそうであってほしい。
・『鳥のように / 志村五郎』
日本を代表する数学者でありプリンストン大学名誉教授だった志村五郎(1930-2019)の随筆集。著者は晩年に数学とは無関係の随筆集をふたつ残しており、これはそのうちのひとつ。美術や文学、そして出会った人々を軸に人生を振り返る。記憶の断片を拾い集めた良書です。絶版。
・髙田三郎に『ひとりの対話』という独唱曲がある。詩は6曲とも高野喜久雄の作品だ。「いのち」「縄」「鏡」「蝋燭」「遠くの空で」、そして「くちなし」。カトリックの典礼聖歌の「一般讃歌」にも高野喜久雄は詩を書いている。広い範囲に知られた合唱組曲『水のいのち』もすべてが高野喜久雄の作品だが、『ひとりの対話』には独唱にふさわしい作品が髙田三郎によって選ばれた。表現の厳しさ、激しさの頂点は「蝋燭」にある。
引用したのは独唱曲の歌詞だ。詩集に収められた元の詩「蝋燭」は以下の3行で結ばれる。
高野喜久雄は数学者でもあった。円周率を導く「高野喜久雄の公式」は1982年に発見された。
π/4=12arctan1/49+32arctan1/57−5arctan1/
239+12arctan1/ 110443
これは金田康正による円周率の記録: 1兆2411億7730万桁(2002/12/6)に用いられた。
・2020 年 11 月 19 日に93 歳で逝去された数学者・高橋礼司。『数学セミナー』2020 年 10 月号-12 月号に,3 回にわたって掲載された「高橋礼司氏ロングインタビュー」。著書に『線形代数講義 ――現代数学への誘い』
・2024年、旧制都立四中、都立戸山高校で長年、数学を教えていた武藤徹さんが亡くなられました。1950年代から80年代、戸山の生徒が社会と向き合い集会、デモに参加する様子をあたたかい目で見守っていた。1960年代、戸山は民青、反戦高連(革マル派)が強いなか、武藤さんは彼らに敬語、「さん」づけで大人扱いしていたと、OBが語っていました。「生徒の自主性を大切にしたかった」と振り返っています。「彼が早稲田で死んだ」で、樋田毅さんと対談した辻信一氏、この追悼記事を書いた朝日記者の近藤康太郎氏は、武藤さんの教え子。高校闘争当時を語れる教員はほとんどいなくなりました。享年99歳。
・素粒子物理の最先端をいく大栗博司さんのインタビュー「数学と物理学の融合で大きな成果」が日本経済新聞に掲載された。東京大学のカブリ数物連携宇宙研究機構の長として。
『大栗先生の 超弦理論入門』(ブルーバックス 講談社2013)を読み進めた時間は、つぎつぎと荒野を沃野にきりひらいていく喜びと興奮を覚えた。本の書き出しは「人類は古くから、『空間とは何か』『時間とは何か』と問いかけてきました」ではじまる。哲学者が『世界とは何か』『私とは何者か』と問いかけるのと同じように、科学者は空間と時間について考えてきた。
この本にはオイラーの公式がちょうど100頁に出てくる。小川洋子の小説『博士の愛した数式』の、あの公式だ。eiπ + 1 = 0。
そしてこれも歴史的な経緯からオイラーのもうひとつの公式とされる奇跡の数式、1 + 2 + 3 + 4 + … = −1/12 が登場する。
ここにはアインシュタインとニールス・ボーアの衝突以来、量子力学が抱えてきたさまざまな難関を数学の力で突破してきた物理学者の苦闘の歴史が語られていた。詳述はしません。興味ある人は読んでみてください。終わりの2章の題名は<空間は幻想である>と<時間は幻想か>。
・理研iTHEMS基礎科学特別研究員で数学者の森脇 湧登さんのインタビュー記事「数学と物理の横断から見える新たな視点」が理研iTHEMSの研究者紹介ページにアップされた。
・(CNN) 米ルイジアナ州の学生、ネキヤ・ジャクソンさんとカルセア・ジョンソンさんは2022年、高校の数学コンテストのボーナス問題で、2000年の歴史を持つピタゴラスの定理を証明する新しい方法を発見し、教師たちを驚かせた。しかし、それはほんの始まりにすぎなかった。
・イラン人数学者マリアム・ミルザハニ(1977〜2017)を特集したドキュメンタリー映画『曲面の秘密ーマリアムの魔法の杖』Secrets of the Surface: The Mathematical Vision of Maryam Mirzakhani(2020)
・研究者が薦める映画.6『曲面の秘密-マリアムの魔法の杖』/伊藤由佳理
・【10月6日 AFP】「数学教えていた? 平城京にペルシャ人の役人 木簡に名前」2016年10月6日配信
・『数学者たちの黒板』ジェシカ・ワイン著/ 徳田功訳(草思社)
ジェシカ・ワインは写真家であり、この本は写真が主役。黒板が撮られた109人の数学者たちの短いエッセイがおもしろい。
「黒板は数学者にとって真の魔力を持つ対象だ! 」「私は黒板が絶対になくならないでほしい。もしそうなったら、数学にとって大きな損失になるだろう」
「黒板が私の人生を変えたと言っても過言ではない」「黒板は楽観主義を生み出す」「ホワイトボードは私にとってそこまで魅力的ではない」「寝室に黒板を備え付けるべきだと妻を説得し、実際にそうした 」
・【コラム:数学者的思考回路】(9)谷口隆「ラマヌジャン」
・【別冊日経サイエンス216 AI 人工知能の軌跡と未来】より、「チューリングの忘れられた研究」B. J. コープランド D.プラウドフート(ともにニュージーランド・カンタベリー大学)
・『数学教育の基礎を考える』小野田襄ニ(社会評論社 1981)
数学教育協議会批判=遠山啓批判の本。この本の最後に森毅さん(当時京都大学教授・数教協副委員長)が『コメントくずれ』というコメントを書いている。
『内容は遠山啓批判、ないしは数教協(数学教育協議会)批判で、独断と偏見の絢爛と花開くみごとなもの(とはほめすぎかな)でとても楽しんじゃった』p289
小野田襄ニは、学生運動でのゲバ棒とヘルメットスタイルの創始者と言われているが、やはり森さんでなければコメントは書いてくれなかっただろう。
しょっぱなから分離量と連続量の定義に噛みついている。『(前略)一本の木は、一本の個体として認知できると同時に、ある高さをもち、ある高さをもつものとして認知できる。(中略)それは人間がおこなう量認識のしかたにかかわるのであって、個体(分離)として認識されるものと拡がり(連続)として認識されるものとがそれぞれ別個に存在するのではない』p30
・ヘレーン・ベッカー『わたしにまかせて! アポロ13号をすくった数学者キャサリン・ジョンソン』子どもの未来社、2023年。
女の子をエンパワーするノンフィクション絵本。NASAの人間コンピューターと呼ばれ、月面に着陸したアポロ11号の軌道計算を行ったアフリカ系アメリカ人女性の数学者キャサリン・ジョンソン。彼女が残したのは数学者・エンジニアとしての業績だけでなく、黒人女性の社会進出が難しかった時代に彼女が見せた勇気と大胆さだった。さまざまな差別にも負けることなく、NASAの有人宇宙飛行を支えた。
・【EUMAG】日欧で活躍する女性数学者の写真展が2019年に開催。理系の学問分野でキャリアを築こうとする女性が男性より少ないのは、依然として万国共通の傾向といえる。特に数学分野における女性研究者の数は男性に比べて圧倒的に少なく、欧州や日本も例外ではない。11月1日まで駐日EU代表部で開催されている写真展は、日欧で数学研究に携わる気鋭の女性数学者たちを紹介し、彼女らの姿とメッセージを通して、この分野への女性参画を促進することが狙いだ。
・横山広美(東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 教授)「日本に数学や物理学を学ぶ女性が少ないのはなぜ?理系進学の壁、独特の女性規範と能力ステレオタイプ」
・『はじめてのガロア 数学が苦手でもわかる天才の発想』金 重明 著(講談社ブルーバックス 2024/8/23)。
本書の担当編集者が書いた紹介文がめっぽうおもしろかった。数学がわからない、という編集者の悪戦苦闘の記。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7bf9177bffee101711509564898112630f81a641?page=2
著者は書いた。「筋金入りの数学嫌いである編集者(いまだに、どうしてそういう人がブルーバックスの編集者をやっているのか不思議に思っている。ブルーバックス編集部は、科学大好き数学オタクばかり集まっていると思っていたが、どうやらそうではないらしい)に、本人が理解できるまで徹底的に検証してもらうことにした」。
縦書きの平易な日本語で数学を語りおろす。これは簡単なようで難しい。金重明氏は歴史小説家でもあって博学であり、宮本武蔵の名まで出てくる。この本でガロア(1811‐1832)について知る人が増えればうれしい。
・2021年開催の東京五輪・自転車女子ロードで優勝したアナ・キーゼンホファー選手は大学の数学の先生らしい。優勝後「自転車競技の戦略を計算するには高レベルの数学は必要ない」とする一方、「トレーニングを行うに当たり分析というものを重んじている」と回答したのもなるほどと思わせる。キーゼンホファー選手はオーストリアの人だというが、オーストリアも自転車競技が盛んで、ツール・ド・チロルというレースがあった。
・数学者山下剛氏のサイトのMiscellanyの下が大変面白い。特にQ&A。
・2010年に殺人罪で懲役25年を言い渡された米国人クリストファー・ヘイブンスは、独房で数学の勉強を始めました。それから10年後、彼は世界でもっとも難解な方程式を解き、その成果を数学の専門誌に発表しました。ヘイブンスは子供の頃から麻薬に溺れ、高校も2年で中退していましたが、収監後に数学者と手紙をやり取りする中で数学の才能を開花させたのです。
・走れよ、メロス。- 愛知教育大学附属岡崎中学校2年=当時= 村田一真
-算数・数学の自由研究 2013年度最優秀賞「メロスの全力を検証」
https://www.rimse.or.jp/research/past/pdf/1st/work03.pdf?
★理数教育研究所 | 算数・数学の自由研究
◎NEWSポストセブン | 中学生指摘の『走れメロス』の矛盾 評論家が更なる矛盾指摘
◎日経ビジネス |「メロスは走ってなかった」と言える子の育て方
・『時間のない宇宙―ゲーデルとアインシュタイン 最後の思索』パレ・ユアグロー 著/林一 訳(白揚社)。
ゲーデルはとんでもなくおもしろい。プリンストン大学の雰囲気は前に揚げた「ゲーデルの悪霊たち」(みすず書房)にとても魅力がある場所として描かれていた。大学へ向かう道すがら、ゲーデルとの対話をアインシュタインはたのしんでいた。
そこでは相対性理論から導かれる「ゲーデル宇宙」が語られていた。どの二つのできごとをも結ぶ連続した時間的な世界線があるので、たとえBがAの後に起こると観測されても、Aに達する前にBに行く旅───非常に速い宇宙船による旅だ───を人は行うことができるとゲーデルは数学的に証明する。
閉じた連続した時間的世界線にそった旅は、タイムトラベルとして記述する他はない。ゲーデルは、厳格に理解されたタイムトラベルは相対性理論と矛盾しないという驚くべき証明を成し遂げた。
量子力学は彼らの時代が過ぎてから発展した。カルロ・ロヴェッリは異なる新しい視点から「時間は存在しない」(NHK出版)と述べる本を出した。
・『存在とは何か <私>という神秘』小林康夫著
1994年に東京大学出版会から出版され、今なお続くベストセラー「知の技法」を編集した東大名誉教授が、長年考えてきたテーマに挑んだ。量子力学的波動論、数学の複素数論といった「実存」の言語の構造を借り、「究極の問い」に答えを導こうとする思索がスリリングだ。序章で明かされる「知を通して世界を愛す」る姿に共感する読者もいるはずだ。秋の夜長にふさわしい哲学書。(PHP研究所・1925円)
・ナイチンゲール - 母親は娘に、数学の勉強をやめさせたいとさえ思った。
- JBpress | 白衣の天使ナイチンゲールは統計学者 (桜井進)
◎ナイチンゲール看護研究所 | "統計学者"としてのナイチンゲール
・【第38回京都賞記念講演会の動画】
「問題は、まるでクモの巣のようにもろそうで不安定そうで何物にも支えられていないように見える、無数の原子核と電子の配列が、なぜ安定しているのかということです」── エリオット・H・リーブ(第38回京都賞基礎科学部門)
▼記念講演「物理学と数学の世界を歩んだ人生」
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