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「戦略ごっこ」と「確率思考の戦略論」を地方に実装するために気をつけていること。【序章】
▼このnoteはこんな人におすすめです
・「戦略ごっこ」「確率思考の戦略論(赤本)」を読んだがイマイチ理解ができていない
・2冊の本のノウハウを地域ブランド・地方企業・中小企業にどう落とし込んでいけばいいかわからない
・マーケティングにおいて、地方で相談できる先を探しているがいいパートナーが見つからない
私は普段、地方を主戦場にしてマーケティングに従事しているのですが、地方はヒト・モノ・カネなどの経営資源のほとんどが足りていないにも関わらず(というかそのせいか)、成果を出すための難易度が非常に高い領域だと感じています。
であれば、少しでも失敗確率を減らすために持っている知識・情報をできるだけ開示するのが責務なのではないかと感じ、このnoteを書くことにしました。
なお、途中書いていてすごく長くなってしまったため(10,000字を超えてしまったため)、このnoteを「序章」とし、続きをまたどこかで書いていきたいと思います。本当はもっといっぱい紹介したいのですが、ごちゃごちゃしてきたため、最も大切だと思う3つに絞り込んでまとめてみました。
伝えたいのはこの3つです。
①地域ブランドはとにかく「浸透率」を上げること
②消費者の「行動特性」の本質を理解すること
③行動変容の促し方は「文脈」を捉えること
それでは1つずつ解説していきます。
書籍紹介
まず、2冊の簡単な紹介をさせていただきます。どちらも大変勉強になる書籍なので、ご購入の上、ご自身でお読みになることをおすすめします。
戦略ごっこ -マーケティング以前の問題
現実と理屈が合わないとき、間違っているのは理屈のほうです。
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(Amazonより)
★300以上の海外論文や実証研究に基づく「エビデンスベーストマーケティング」の決定版
★「根拠のある事業成長」を目指すビジネスパーソン必読のファクト&エビデンス
世の中には、マーケティングやブランディング系の話があふれています。
毎年のように新しいキーワードが登場し、ネットを検索すれば「すご腕マーケターの成功事例」から「偉い先生が提唱する有名な理論」、果ては「どこかのコンサルが考えた独自フレームワーク」まで山のように出てきます。
しかし、本当にそれで事業が成長するのでしょうか?なぜ、みんな言っていることが違うのでしょうか?
STP、顧客ロイヤルティ、新規獲得と離反防止、リピート、差別化、ニッチ戦略、ブランドイメージ、パーセプション、ポジショニング、プレミアム化、推奨、ファンマーケ、購買ファネル、クリエイティビティ、予算配分の最適化、マーケティングROI……。
本書では、このような「みんなそう言ってるから、まあそういうものなんだろう」的な話の根拠を、海外の実証研究や論文を中心に徹底的に掘り下げました。その結果、事実ではない、一般的に有効とは言えないケースが数多く見つかりました。消費者理解から商品開発、プライシング、流通、広告コミュニケーションまで、戦略や戦術に関わるほぼ全ての面で「根本的な事実誤認」があるようです。
現実と理屈が合わないとき、間違っているのは理屈のほうです。現在はリスキリングがはやっていますが、本来知り直すべきなのは「こうするとこうなる」「そうしたくても、そうはならない」という、市場と消費者行動に関する基本的なファクトです。そこを勘違いしたままでは、どんなに素晴らしいアイデアでも水の泡、企業の貴重なリソースが無駄になります。今こそ事実に基づいて、ビジネスやマーケティングの「当たり前」を見直しましょう。
<想定読者>
・成熟市場の消費財、サービス財、耐久財のマーケターや商品開発者
・売上の踊り場に直面している経営者、小さなブランドを成長させたい担当者
・上記を支援する側の広告代理店、クリエイター、営業など
・学生、若手マーケター
<本書が向いていない人>
・イノベーション性の高い市場や、新しいビジネスモデルで成功する方法を求めている人
・原則より例外が気になる人
確率思考の戦略論 どうすれば売上は増えるのか
USJを立て直し、現在沖縄にテーマパークを作っている刀の森岡さんの新書。執筆4年、20万字超、渾身の最新作です。
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自己/自社紹介
本編に入る前にまずは自分は何者なのか?を説明したいため、自己/自社紹介をさせていただきます。
私は現在、静岡市で株式会社HONEというマーケティング支援の会社と、民泊/インバウンド集客の会社の代表の桜井と申します(今回はマーケティング会社HONEの紹介を中心にします)。
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当社のミッションは「地方に骨のあるマーケティングを実装する」ことです。
マーケティングをただ学ぶだけで終わらせず、単発の実践だけにとどまらせず、中長期的に組織に実装することを目的に、全国の地方事業者さんのもとに直接伺い、お手伝いをさせていただいています。
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Mission(ミッション):
地方に骨のあるマーケティングを実装する。
Vision(ビジョン):
マーケティングの力で地域をもっと元気に。
Value(バリュー):
FACT FULNESS
SELF CONTROL
NEVER GIVE UP
民間の事業会社を中心としていますが、専門学校・大学・行政などとも関係を持ち、「地方の1人産学官連携」をしながらマーケティングが必要な場所に出向いています。
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基本はマーケティング領域を全方位でカバーしています。理念(MVV)・市場分析〜事業戦略・ブランド戦略・マーケティング戦略が一気通貫となるように整合性をつけ、具体的な戦術に落とし込んでいき、戦術実践のマネジメントまでお手伝いさせていただいています。
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お客さまは9割以上が地方に拠点を置く方です。人口規模で言うと、5〜10万人くらいが多いように思えますが、最近は過疎地域や限界集落、離島などのご相談も多くいただいています。
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なぜ地方にマーケティングが必要か?
地方におけるマーケティングの必要性はもはや説明不要だと思いますが、改めて説明していきたいと思います。
多くの地方都市や郡・村・町では、人口減少や高齢化が進む中で、地域経済の活性化が急務となっています。よく「地方には社会性がある」と言われます。むしろ、社会性しかないと言ってもいいくらいかもしれません。しかし、経済性が足りない。社会性だけで地方ブランドを立ち上げるには不十分です(当たり前ですが)。どれだけいいものをつくったとしても、利益にならなければ意味がないのです。
だからこそ商品・サービスがどのように地域社会に貢献し、また地域外の消費者にどのように受け入れられるか?そしてその結果、経済的にインパクト与えていくことが重要だと思っています。
マーケティングはこの「経済」を担保するために必要な手段です。地方ブランドがつくった商品・サービスが適切なターゲットに届くよう戦略を練るために必要不可欠なピースとなります。伝えるため・知ってもらうための手段、と言い換えてもいいかもしれません。
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さらに、地域ブランドが成功するためには、単にスキルを磨くだけではなく、地域のステークホルダーたちとの協力も欠かせません。地域のステークホルダーたちは地元の文化や歴史を最もよく理解しており、ブランドの真の価値を伝えることができます。
ステークホルダーは大きく「産・学・官」の3つに分かれます。私自身、1人で産・学・官をぐるぐるとまわって連携していますが、それぞれに強み・弱みがあると感じています。そのため、相互補完しながら進めていっています。
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地方の課題を汲み取って商品開発までする話は以下のnoteで詳しく記載していますので、あわせてお読みいただけると大変嬉しいです(ここでは割愛します)。
それではここからが本編となります。
①地域ブランドはとにかく「浸透率」を上げること
戦略ごっこでも確率思考の戦略論でも共通しているのは、シェアの低いブランドは「ロイヤルティよりも浸透率を増やすこと」に終始していると思っています。
ダブルジョパディの法則
ダブルジョパディの法則とは「ロイヤルティを高めればブランドが成長する」と思われているが、向きが逆。浸透率を増やさずにロイヤルティだけを高めたりすることはできないと言われています。
少し乱暴に言うなれば、売上を上げるには既存よりも新規に注力せよ、ということです。
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地域ブランドにおいては認知も体験も足りていないケースが多いため、1人の熱狂するファンを大切にする「ファンマーケティング」や、「リピート施策(CRMなど)」より先に、まずは浸透率を増やしていきましょう、ということを伝えています。
また「ロイヤルティを高める行動」に時間とお金を投資するよりは、新規を増やして「(結果的に)ロイヤルティの高いユーザーを残す母数を増やした方が結果的にロイヤルティは上がる」と思っています。
(イメージ)
・【🙅】100の新規顧客のうちの15(15%)のヘビーユーザーを大切にして徐々にファンを増やして20(20%)にする
・【🙆】100の顧客を200に増やす。結果的にヘビーユーザーは30(15%)になる
これはロイヤルティを上げる行動を「しない」のではなく、そこに時間とお金をかけすぎないという意味で解釈しています。
シェアごとの成長源泉
もう1つのエビデンスとして、シェアごとの成長源泉では、「シェアが小さなうちは、浸透率の影響が大きい。特にシェア5%までの小さな成長ブランドの場合、成長の92%は浸透率の上昇からきている」といったエビデンスから、シェアの小さな地域ブランドがとるべきはまずは「浸透率一択である」ということがわかります。
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ブランドの規模によって、浸透率とロイヤルティが成長に及ぼす相対的な影響は変わってくる(田中,2017)。
・シェアが小さなうちは、浸透率の影響が大きい。特にシェア5%までの小さな成長ブランドの場合、成長の92%は浸透率の上昇からきている
・シェアが30%以上ある成長ブランドでは、増加分の半分近く(46%)が購入頻度の上昇からきている
・大きなブランドになるほど、既存顧客のロイヤルティやマージン成長(WTPやLTVの向上など)が相対的に重要になっていくが、小さなうちは顧客基盤の拡大によるボリューム成長が何より重要
パレートの法則の限界
またもう1つ、ロイヤルティを高めることに抵抗が増えたエビデンスとして、パレートの法則の限界があります。
パレートの法則とは「2:8の法則」とも言われ、2割のお客様が8割の売上を作っていると言われています。一方で、この数値がエビデンスによって見直されています。
大まかな傾向として、1年スパンだとTOP20%の貢献は50〜60%となるため、8割の売上を占めていない結果となっています。
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実際、パレートシェアはデータを集計する期間によって変動する。全員が1回しか買わないような短期間で集計すれば小さく出るし、長期になるほど大きくなっていく。
・大まかな傾向として、1年スパンだと50〜60%、5年や6年と言った長いスパンになると60〜70%となり、オリジナルのパレートシェアに近づいていく
・上位20%が売上全体の80%近くを生み出すというのは、相当長いスパンで捉えたときの話
上記より、ロイヤルティを高めることで得られるゲインがそこまで大きくなくなってきている、とも言えると思っています。
浸透率が高いとは万人受けするということ
森岡さんの新書(確率思考の戦略論)でも浸透率が「先」と明言しています。また浸透率が高いということは「万人受けする」とも表現しています。
つまり、万人受けすればその商品カテゴリーにおける大きなニーズをおさえていて、大きなネガティブが少ないことなのかなという解釈しています。
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そもそもペネトレーション(浸透率)が高いということは、万人受けするということ。万人受けするということは、その商品カテゴリーにおける大きなニーズをおさえていて、大きなネガティブが少ないということ。
そのようなブランドのプレファレンス(相対的好意度)は高くなり、ペネトレーションもフリークエンシー(購入頻度)も否が応でも高くなることは避けられないのです。そしてより魅力が高まっていくブランドは、ほとんどの場合に置いて、浸透率の方が購入頻度よりもさらに伸びます。
コトラーのマーケティングでターゲットを絞ることでメッセージが伝わりやすくなるという類の表現も見受けられますが、ここではターゲットを絞るのではなく、広げよといっています。じゃあなんでも広げればいいのか?というとそうではないですが、ここでは確率思考の以下を引用して締めたいと思います。
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たとえSNSメディアを駆使してレーザー・ターゲットして認知を創ろうとしても、認知は結果として“ランダムな活動”を通して起こってくるからです。
もしも仮に狙って限定的な認知をつくれる状況であったとしても、認知者の中でプレファレンスが高いのであれば、非認知者の間でも伝わればプレファレンスは高いのではないか?と我々ならば考えます。そうであれば無理やり認知を限定しようとする意味自体が実はあまりないことに気づきます。
認知は結果として“ランダムな活動”を通して起こるため、そもそもコントロールしづらいということかと思います。また、もしランダムな活動であれば、多くの方に価値を届けられたほうがいいのではないか?という話です。
②消費者の「行動特性」を理解すること
次に消費者の行動特性をきちんと理解することが求められます。定説やn1に引っ張られて「消費者はこういった動きをするだろう」という幻想や勘違いを持たず、乾いた目線で見ることが大切になります。
平均への回帰
平均への回帰とは同じユーザーでも、時期によって「ヘビーユーザー」になったり「ライトユーザー(あるいはノンユーザー)」に戻ったりという“波のようなもの”があるという意味です。
つまり期間を区切って集計すれば、購買頻度や利用額が上振れする人が一定数出てくる。しかし、それは確率的に起こる現象であり、熱狂やロイヤルティと言った心理的な変化によるものとは限らない、ということです。
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多くの場合、ブランドのヘビーユーザーというのは個人の“普遍的な特徴”を表しているわけではなく、個人の“状態”を表している。
・同じ人でも、時期によってヘビーユーザーになったりライトユーザー(あるいはノンユーザー)に戻ったりという“波のようなもの”がある
・期間を区切って集計すれば、購買頻度や利用額が上振れする人が一定数出てくる。しかし、それは確率的に起こる現象であり、熱狂やロイヤルティと言った心理的な変化によるものとは限らない
よくマーケターは直近1年間のデータを見て、LTVが高いユーザーを「ロイヤルティが高い」「ヘビーユーザーだ」と判断し、低いユーザーをライトユーザーだと断定しますが、期間を半年で見るとまた違った結果が出ることがあります。
たまたまライフステージ上、必要に応じて購入しただけにすぎないユーザーが混じっている可能性だってあるわけです。
ヘビーユーザーだから購買頻度が高い?
ではヘビーユーザーは「利用頻度が高い・利用金額が多い」のか?というと、必ずしもそうではなく、むしろ因果が逆で「利用頻度が高い・利用金額が多い」からこそ、ヘビーユーザーとしてカウントしているだけ、というケースもあるということです。
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ヘビーユーザーは購買頻度が多い、利用額が高そうと思われていることが多いが、
「ヘビーユーザーだから購買頻度が高い(利用額が高い)」のではなく、「集計期間中に購買頻度が高かった(利用額高かった)」人をヘビーユーザーとしてカウントしているだけ」ということも十分あり得る(因果の向きが逆)
ヘビーユーザーだからブランドのことが好きなんだろう、というわけではなく、(やむにやまれる理由で)買わざる得なかったと定義することもできます。
なので、ヘビーユーザーだからファン感謝祭をしたり、大幅な値引きをしたりする必要は必ずしもないと言えます。
消費者の購入確率の分散は決まっている
確率思考の戦略論では、市場全体の中から大きなMを勝ち取れるプレファレンスを統合的に企画せよと一貫して伝えていますが、そのカテゴリーに対して消費者が期待している主要ニーズや購入習慣は大きくコントロールできないとされています。
どれだけプレファレンスを高めたからといって、1日のシャンプー回数を1日1回から10回に増やすことはできない、ということです。
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自分が戦うその商品カテゴリーにおいて、自ブランドのプレファレンスが高くないと、購入頻度(Frequency)も高くはならない。それは商品カテゴリーを設定した時点ですでに、K(購入確率の分散を決めている)がそのカテゴリーの事情でだいたい決まってしまうからです。
否が応でも自ブランドは、カテゴリーがもつ構造の中に放り込まれます。これを別の表現でわかりやすく言えば、あるカテゴリーで戦う以上、そのカテゴリーに対して消費者が期待している主要ニーズや購入習慣といった、消費者が持つカテゴリーに対するプレファレンスに支配される構造からは逃れられないとも言えます。
1日のシャンプー回数を1日1回から10回に増やすことはできませんが、1日3回コンビニに行く際にコーラを買う確率は増やすことはできます(ただし、1日10回コンビニに行かせることはできない)。
ユーザーの行動変容の際の「選ばれる確率(M)」はコントロールできるものの、ユーザーの行動習慣そのものを増やすことは難しいということを理解しておく必要があります。それだけ消費者の行動を変えるというのは難しいことだと理解しています。
③行動変容の促し方は「文脈」を捉えること
行動変容はコントロールできることと、できないことがあると理解できた上で、じゃあどのようにして行動変容を促していくか?についてまとめてみました。ここでは「文脈」に着目することを推奨しています。
消費者の行動文脈の解像度を高める
生活文脈と切り離された所で形成された態度によって行動が決まるのではなく、文脈における態度(“attitude-in-situation”)で行動が決まる(Foxall,2002)というエビデンスがあります。
つまり、「〜な状況のときは〜という態度または心情になる」といったように、人は文脈によって態度が変わり、その文脈における態度が行動変容を決定づけているということだと解釈しています。
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物理的環境
場所、音、匂い、天気、目に見える商品特徴
社会的環境
誰がその場にいるか、その特徴や役割、その間で起こる相互作用
時間的な視点
1日の時間帯、季節、それ以外にも当人にとっての主観的な時間を含む (例:最後に購入したのはいつか、給料日まであとどれくらいあるか)
タスクの定義
購買の目的や、その文脈で求められる商品条件、役割(例:友人の結婚祝いに小型家電を買うのと、自分用に買うのとでは文脈が異なる)
先行状態
状況を特徴づける気分(不安、快感、興奮)や、状態(所持金、疲労感、病気など)
上記のような生活文脈の際に自分たちのブランドを思い起こしてもらうこと(メンタルアベイラビリティ)、思い起こされなくても行動した先に自分たちのブランドがリーチできていること(フィジカルアベイラビリティ)が大切になってくるということだと思います。
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ではどのようにすれば地域ブランドにおいて、メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティを高められるのか?どちらから注力すべきか?といった個別具体の話は直接HONEにご相談ください。笑
文脈は過去の経験や習慣に左右される
売上の分散説明率では「過去の利用経験や購買習慣(Purchase Inertia)が分散の半分近く(46.8%)を占めている」と、売上におけるインパクトは自社のマーケティングミックス(23.1%)ではなく、過去の利用経験や購買習慣に引っ張られるとされています。
これは自分たちのマーケティング施策における売上寄与は20%ちょっとしかないということでもあり、半分近く(46.8%)は文脈による売上寄与であることを論証しています。
また新しい文脈を作るのではなく、過去の経験や習慣をうまく踏襲させながら、自分たちの商品・サービスを買ってもらう文脈を作り出すことが求められているとも言えるかと思います。
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自社ブランドへの態度による売上の分散説明率は、8%程度であることが読み取れる。競合ブランドへの態度を加えても約16%。過去の利用経験や購買習慣(Purchase Inertia)が分散の半分近く(46.8%)を占めている
・ブランドに対する態度とは別のところで、過去の行動が現在の行動を大きく左右することを示している
・消費者はブランドに対する態度的ロイヤルティがなくても、習慣的に過去の選択を繰り返す傾向が強い、行動ロイヤルティの影響が大きい(Ehrenberg et al., 2004; Jones, 1990a)
よく、「新しい習慣を作ろう・ムーブメントを作ろう」という話をブランドの立ち上げの際に議論にあがりますが、この類のチャレンジは地方においては自殺行為だと思っています。5年・10年スパンで考えられるなら別ですが、そこまで体力のある地域ブランドを見たことがありません。
大手メーカーが多額のコストをかけて、長期間にわたって習慣を変えていくならまだしも、時間もお金も限られている地方企業が経験や習慣を変えるようなプロモーションは打てないはずです。
STC(Setting The Context)=自身の便益を有利にする文脈設定
森岡さんの確率思考の戦略論でも文脈を設定せよという内容が出てきています。本書ではSTC(Setting The Context)と呼んでいて、自分たちの便益が最も高まる文脈はどこか?をセットしましょうと記載されています。
ここでは3つの切り口を紹介しています。
①価値を高めるシーンを設定する
最も価値が高まる具体的な文脈/シーン(オケージョン)=CEPsを設計する
②消費者のインサイトを衝く
例:丸亀製麺は“できたての美味しさ”にこだわって、1店舗1店舗粉からうどんを打っていることをご存知でしたか?
③消費者の“眼鏡(=期待値)”を変える
例:コースレストランの一皿ごとの料理説明・期待以上のサプライズなど
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マーケティング・コンセプトにおいて、自身の便益を有利にするために文脈を設定することを「STC(Setting The Context)」と呼んでいます。The がついているのは、その便益に対してまさにその文脈!というニュアンスが表れています。便益と文脈はほとんど固有のセットだからです。
便益の価値を有利に操作しやすい STC(文脈設定)の切り口は無限に存在しますが、その中でも主な切り口を3つほど簡単に紹介したいと思います。
文脈設定の具体的手法はここでは割愛しますが、多くは上の3つの観点から深掘りすることはできそうです。
地方にマーケティングを実装させる、ということ。
ここまで「戦略ごっこ」と「確率思考の戦略論」の一部をかいつまんで、地方事業者さんが押さえておくべき3つのポイントについて解説をしてみました。
書籍のほんの一部の紹介に留まりましたが、少なくとも「この本は読むべきだ!」ということが伝わったのではないかと思っています。気になる方はぜひこの2冊をお手に取っていただき、ご自身でお読みいただけたらと思っています。
これから地方に起こる最悪のシナリオ
これからの地方はただでさえ少ない経営資源である「ヒト・モノ・カネ」がさらになくなっていくことになると思います。
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現状は上記のような資源が数十年後、もしかすると数年後には👇のような状況になっているかもしれません。
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少子高齢化・人口転出による人口減少、物価・原価高騰による利益の圧迫、その結果売上減少・借入額の増加など、非常に難度が高くなっているのが地方ビジネスの実態だと思っています。
地方に必要なのは「地域理解」のできるマーケター
マーケティング活動を成功させるには、その土地ならではの文化や風土、産業構造を捉えることが不可欠となります。地域の特性を無視した施策は、かえって逆効果になることさえあります。
地方では市場環境分析・事業構造分析・顧客理解の間に「地域理解(地域の特性・風土・産業・人の理解)」が入ります。
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定性的な話ですが、東北の方々は我慢強い人が多く、あまり相談事を公にしない傾向があると感じています。一方で九州の方々は陽気な人が多く、オープンなコミュニケーションをとることが多いです。
このように土地柄によってのコミュニケーションのクセを把握することも地域理解の一つだと思っています。
そのため、現地に訪問して空気感を感じることがとても大切です。私たちが手がける静岡市用宗地区での民泊も、地域の人との交流も兼ねて定期的にボランティアに参加しています。
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ぜひ、HONEを頼ってください!
最後に、「内容はある程度理解できたけれど、やっぱりまだよくわからないなぁ」という方には無料壁打ちサービスもやっています。もしご興味があればぜひご活用ください!
例えば、以下のようなお悩みの方に最適だと考えています。
①何から始めていいかわからない
マーケティングの悩みは多岐にわたります。「売上を上げたい」「集客を増やしたい」「ブランドコンセプトを見直したい」「市場分析市場分析を実施したい」「SNSを始めたい」など、多くの打ち手はありますが、何から始めていいかわからない…。第1歩としてご活用ください。
②新商品・新サービスの相談がしたい
新しい商品やサービスが果たして売れるのか?消費者にとって有益なものになっているのか?についても重要な要素です。市場に受け入れられそうか、競合優位性はあるか、自社の強みは行かせているのか、など、マーケティング・ブランディングの両視点からお話をさせていただきます。
③地域/まちづくりの相談がしたい
地方は「1社、単体のブランド」だけでなく、地域コミュニティ全体で同じ方向を向きながらインパクトを残していかなければなりません。民間だけでなく、自治体や第3セクターなど、官民が連携して1つの目的に向かっていくためにどんなスキームで進めていけばいいか?についても専門家の視点からアドバイスいたします。
またもう少しインプットを増やしたい方へ。
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