【解説編】#14 「前に進め」

 # 13で研究室の先輩へのほのかな恋心をネタにして作詩していた事を語った流れで# 14ではこちらを。

 この詩は大学4年生の頃書いたものです。大学4年生になり将来の進路(就職など)を考える時期に、一時期本当に作詞家のようなモノ?になりたいと思っていた時があり、そのためには…といろいろ自分なりにテーマやコンセプトを考えて作詩していた時期がありました。またその頃は1日1作品くらいは書けなきゃダメだ!と勝手に?プロ根性?を出してw自分で1日1作の作詩を義務付けて書いてたんです(笑)。なので今ここで発表するのに困らない程のボリュームの作品が手元にあるわけなんですがwというそんな頃に書いた作品です。

 さて本題のこの詩の元ネタのお話ですが。例のほのかに好意を持っていた先輩は自宅から車通学をしていまして、研究室で実験に出かける時や(ちょっと小難しい話になりますが、地震学に関するフィールドワークでGPSを使って三角点の位置を測って地殻変動を研究していたのですw)プライベートのあれこれでも(それなりに親しくさせていただいておりましてw)先輩の車に乗せてもらう事が多々ありまして。で、その時その先輩は軽音部だったこともあり、ラジオやかけてるCDの曲に合わせてハンドルを握っている両手の人差し指でドラムのようにリズムを取って叩いていたんです。その先輩は煙草も吸っていて(今思うとあの年頃の軽音部ですからね、カッコつけてたのかな?笑)そのあたりの先輩とのドライブの記憶をネタに別れ話を切り出す前の女性の気持ちを書いてみました。(と、ここまで読んで# 1も読んでくださった方は察するものがあったかもしれませんがそうですw # 1に出てくる「あなたの車」とはこの先輩の車から発想を得ていますw)

 もうひとつテーマ的なコンセプトとして『追憶』という映画のオマージュがありまして。これは、映画好きで毎週末ビデオに録画した映画の観賞会を単独自宅開催していた父が、すごく有名で良い映画だというので、たぶん中学生くらいの時に一緒に観て、その内容に衝撃を受けて今でもずっと記憶にあるお話なのですが。主題歌の『追憶』も名曲としてとても有名なので聴いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。今Wikipediaで確認したら創られたのは1973年となんとわたしの生まれた年だったとか!

 映画『追憶』の大まかなあらすじですが、まったく思想の違う男女が惹かれ合い結婚して子供も生まれたのに、その思想の違いから別れを選ぶというもので。そしてラスト何年かたって、偶然二人が再会するのですが、お互い再会を心から喜びつつもまたさよならをするという。二人ともずっと互いが好きなのに好きだからこそ互いの幸せを願って別れを選ぶという。なんとも切ない愛の物語なのです。中学生のまだ本当の恋も知らないようなわたしには、互いに愛し合っていて子供まで生まれて、それを互いに喜んですらいるのに別れるという事の意味がわからないけど、男女の関係ってそんな事もあるんだぁ…というような衝撃でした。恋愛における別れ話を書くなら『追憶』のような世界観を書きたいな、と思って書いた詩です。

 互いにもうこの先は別れる事しか選択肢がなくて、それをお互いわかっていて、でも彼からそれを言い出せずにいるのもわかり、そしてもし彼から言われてしまったら自分が泣いてしまう(「青いライトが滲む」というのはその事を示唆しています)のがわかっているから、その前に自分から切りだそうというタイミングの時を書きました。

 そういう気持ちの時、女性はどんな事を想うだろうという気持ちをつらつらと…。

 自分的に気に入ってる表現は別れ話を切り出した時に男性があっさりそれを受け入れないで、少し躊躇してくれたらいいな…という微妙な女心を「今この時のこと(別れた後の人生でも)忘れたくないと思ってよ」「わたしのこと手放すことにためらいをみせて」と書いたフレーズです。と言ってもその後「あなたのことは全部わかるから」と書いてるように、彼女が別れを切り出した時に彼が言葉でどう答えようが、その真意はわかってしまうということなのですが。

 それと、読んでおわかりのテーマなのですが、この別れはお互い前に進むためのものなので、(映画『追憶』もそういう事なのかなぁという自分的な解釈だったので)その気持ちを赤信号で車が止まっている時(二人の関係の停滞も示唆)に考えて青信号に変わって「前に進む」時に伝えるというタイミングとかけて書きました。それと「青いライトが滲む」という表現で涙を流すという事を示唆する手法は、毎度毎度のユーミン様が『わたしを忘れる頃』『サファイヤの9月の夕方』『ダイヤモンドの街角』等で表現していたもののオマージュ(というかまぁはっきり言って手法のマネです。いいな!と思ってわたしもそういうの書きたい!と思ってマネして使いました!←潔く吐きますw)ですがまぁそれ以外の方の詩作でもちょいちょい見かける「見ている景色が滲んでいる、ぼやけている」ということで涙を流してる事を示唆するという、わりと定番の表現手法ではありますが。

 また、2人で車に乗って道を走っていくという行為を2人で歩んできた人生にかけているのもユーミン様の『sign of the time』(最近だとユーミン様がロックフェスに初参加した時の1曲目で歌って話題に?なりました。この曲もすごく好きな曲なのですがロックフェスで唄ったらなおさらカッコ良かったです!)のオマージュだったりもします。今『sign~』を読み直してみたらブレーキランプの表現や、気持ちのすれ違いから未来に別れる事の予感等かなり影響を受けてたようですねw。

 それと、この日のお天気は新しいスタートを切るのに相応しい晴れた日がいいなと思って、それと信号の青もかけて青信号のライトが滲むのは「青空」としました。

 それから「あなたとのドライブ 大好きだった」はリアルに思い出の先輩とのドライブが楽しかったというのもあったし、このお話では「あなたが大好き‘’だった‘’」という意味も込めて書きました。(過去形であること重要ポイントです。)

 最期になりますが、そもそも彼女が切り出す言葉は別れという2人の関係の終わりのセリフなのに、その気持ち(意味)は2人それぞれの始まりということを書きたかった詩になっています。

 というわけで、別れ話を切り出していたわけでもない、なんなら付き合ってさえもいなかった(爆)ゼミの先輩とのドライブの思い出をここまで盛って創った作品でしたが、我ながらあっぱれと思っています。これこそ創作の極みといいますか、わたしが作品を創り出すことを純粋に楽しいなぁと思える結果といったところなんです。

~fin

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