コーヒーについての四〇〇字「奇妙な果実」
アナエロビックファーメンテーションの登場によって、コーヒーの世界は更に広がった。
もちろんアナエロビックにすれば必ずしもクオリティが向上するわけではないが、優良なコーヒーチェリーを栽培する生産者にとって、新たな生産処理の選択肢が増えることは好ましいことだろうと私は思う。
コロンビアの名門、サンチュアリオ農園がアナエロビックを応用したとんでもないコーヒーを作り上げた。
ブラックライムハニー。
ライム果汁や香料を加えているわけではない。モストジュースと呼ばれるコーヒーの果汁を使って嫌気性発酵させたもので、出来上がったコーヒーのフレーバーが限りなくライムに近いのでその名がついた。
アロマもフレーバーもスウィートネスもほとんどライムジュース。さながら少し甘く仕上げたギムレットを飲んでいるかのようだ。
もちろんコーヒーとしてもしっかりと成立しており、プロダクト名であるStrange Fruitの名に相応しい、素晴らしいオリジンと出会えたことを私は嬉しく思う。
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