誰しも一度は「DNA」という単語を耳にしたことがあるではないでしょうか。DNAは生物の存在を根幹から支える物質(高分子)で、Wikipediaを参照すれば以下のように定義されています。
二重らせん構造をしているポリマー(高分子)で、その構造に様々な遺伝的情報が織り込まれている。「情報とは何か?」と聞かれると答えるのは一筋縄ではいかないと思いますが、生物や生命を紐解いてゆくと「情報=構造」という図式が浮かび上がってくる。そのことがとても新鮮に感じられます。
構造は平たく言えば「かたち」ですから、万物の「かたち」には固有の情報が織り込まれている。かたちに注目することで、物事に内在する固有性が浮かび上がるのではないか、と。そんなことを思うわけです。
「生命とかたち」
中村桂子さんの書籍『生命誌とは何か』によれば、DNAには「複製・作用(生産・調節)・変化」という三つの機能があるとのこと。
自らで自らを作る。自らが自らに働きかける。自らが自らを変えていく。
つまり「自己(Self)」が生命を下支えているのだと気付きます。
自らの状態を自ら認識し、認識した自己の状態によって新しい状態に向かうために必要な物質を自ら作り、自ら化学反応を起こしていく。その様子は、まるで「内省」のようだな…と思うのです。内省という営みには「生命性」が内在している。
慌ただしい日常の中では時間に流されてしまいがちですが、ゆっくりと静かに落ち着ける時間を作って内省する。日常に生命性を取り戻す大切なヒントを見つけました。