「木霊(こだま)する」
物理的な音や声が空間において何度も反響すること。
その反響は物理的な空間のみならず、時に心の中で繰り返されてゆく。
「反響」という現象を通じて、物質性を超えた心に対してある種の「空間性」や「広がり」を見出すことができるように思われる。
反響の対象は音だけではないかもしれない。
「心惹かれる」とは物事との共鳴であると記したのだけれど、目にしたことのある風景、空間に満ちた香り、広がる味わい、ふれた物事の感触や質感。
それらもまた、心の中で時間を超えて反響する。
そして、物理的な音は反響を繰り返しながらも、やがて力強さ(エネルギー)を失い、そして消えゆくけれど、心の中に起こる反響はむしろ繰り返されるたびにその力強さ、色濃さを増してゆくように思われる。
あらためて「反響」の奥深さ、射程の広さを感じるとともに、「反響する」という言葉を用いて様々な物事を述語的に統一してゆくことができるのではないだろうか。
そのようなことを思う。