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「流れに乗る」のか、それとも「流れを成す」のか〜川の流れをかたち作る水の粒子の気持ちを想像してみることから〜

「流れに乗るとは?」

時に、物事がなめらかに進んでいる状態を「流れに乗る」と表現しますが、本当に「乗っている」のだろうか、と思うことがあります。

「もし自分が、川の流れをかたち作る水の粒子の一つになったとしたら、どのような気持ちになるのだろう?」と想像してみます。

水は「極性」、つまり部分的にプラスの電気とマイナスの電気をもった分子(双極分子)であり、分子と分子の間に引力(分子間力)が働いています。

つまり、水は互いに引き合う力を「自然に(生まれながら)」持っており、文字どおり「自然と」集まり、そして重力(地球との間に働く万有引力)に導かれて流れを成してゆく。

そう考えてみると、「流れに乗る」というよりも、「流れを成す」あるいは「流れと一つになる」という感覚のほうが近しいように思えてくるのです。

そして、その元を辿ると、そこにあるのは「差異」です。

電気的な意味での差異(極性)や、水と地球の比較での「質量」の差異。

「差異」があるところには、引き合う力(と、互いに離れ合う力:斥力)があり、それらの力が見事に重なり合い続けて「調和」が保たれる。

人にもそれぞれ「極」あるいは「偏り(凸凹)」がある、と思うわけです。

あらゆる側面が均一、均等な人など存在せず、何かしらの極、偏りがある。

極を持つがゆえに、人は互いに引き合う(時に、斥けあう自由もある)からこそ人の世は調和し、そして、そのような時代においては「時代の流れに乗る」というよりも「時代の流れと一つになっている」感覚なのかもしれません。

水のイメージの指向要素は、水特徴とその知覚のさせ方、広域環境特徴(つまり、気候と周辺環境の特徴)、物体、空間とそこへの水配置に関する要素によって構成されている。これらの要素の中のどの要素が知覚されるかによって、そこに指向されるイメージが異なる。

鈴木信宏『水空間の演出』

水特徴は、設計操作の対象となる水の物理的な特徴である。それには、湿潤とか流動といった水自体の特徴と、浮沈とか溶解といった関係的な水の特徴との二種類がある。水特徴は、水自体に対する物性的なイメージのみならず、物体や空間に作用する水に対するイメージをも含めたすべての水のイメージ形成のために、不可欠の要素となっている。この研究が獲得した水のイメージの指向要素となる水特徴は、次の二一個に整理することができた。湿潤・冷たさ・柔らかさ、流動(変位)・動きの勢い・動きの方向・動きの変化・音質、水かさ・水面大きさ・深さ、澄質、透光・反射、水平面状・線状・塊状、浮沈、溶解、異質、連続体。

鈴木信宏『水空間の演出』

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