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よいニュースと悪いニュース。どちらが多い?

今日は『反脆弱性』(著:ナシーム・ニコラス・タレブ)から「逆七面鳥問題」を読みました。

ある状況やシステムが脆いのか、あるいは反脆いのかを把握するためには、どのようなことに意識を向ければよいのでしょうか。著者は「証拠」つまり「データ」に注目することにふれています。

繰り返しになるが(頭のいい人ほど忘れやすいので、繰り返さなければならないのだ)、「ないことの証拠」と「証拠がないこと」は違う。当たり前のことだが、次のような意味合いを持つ。反脆い状況では、よいニュースが過去のデータにあまり存在しない。一方、脆い状況では、悪いニュースが過去のデータには簡単に見当たらない。

反脆い状況では、よいニュースが過去のデータにあまり存在しない。一方、脆い状況では、悪いニュースが過去のデータには簡単に見当たらない。

データの存在に関する非対称性が非常に興味深い。「よいニュース」と「悪いニュース」の割合を調べることによって、そのシステム(たとえば組織)が脆いのか否かが見通せるかもしれない。

状況が上向いている(と感じられる)時には、実は水面下に悪いニュースが隠れているかもしれない。少し気にしすぎかもしれませんが、ちょっとした違和感や悩み・弱みを共有するシステムは反脆いのかもしれません。「部分が(適度に)脆くなることで、全体が反脆くなる」との著者の主張とも重なりを感じます。

試行錯誤のような反脆いシステム(正の非対称性、正のブラック・スワンが潜んでいるシステム)では、実績の標本を取ると、長期的な平均が過小評価される傾向がある。短所ではなく長所が隠れてしまうためだ。(中略)負の非対称性(七面鳥問題)が潜んでいる脆いシステムでは、実績の標本を取ると、長期的な平均が過大評価される傾向がある。短所が隠され、長所だけが見えるためだ。

試行錯誤では失敗することが多く、その結果として「この領域は芽が出る可能性がない」ことが分かってくる。可能性の範囲が段々と絞られ、物事が少しずつ前進していく感覚を得られれば、正しい試行錯誤と言えそうです。

「長期的な過少評価」を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。「失敗から何が得られたのか」という学習の成果(ポジティブな成果)にも等しく目を向けて、データとして取り入れてゆくこと。その繰り返しにより、システムが反脆くなってゆくのだと思います。

これさえ念頭に置いておけば、人生はもっとシンプルになる。

日頃から、よいニュースと悪いニュースの割合に注目します。自分のこと、世の中の出来事。

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