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がんを体験した経験者さんが、当事者団体(患者団体)を作る方法とうまくいくコツ

がんになってみて、体験して初めてわかった当事者の大変さ。これを解決する団体を作りたい。こんな方へ、一般的な当事者団体(患者会)の作り方と、つまづきやすいポイントとその回避方法についてまとめました。

目次


団体の種類と特徴

団体を作る方法はいくつかありますが、ここでは当事者団体(以下、患者団体)で一般的なものを紹介します。

  1. 任意団体 すぐに作ることができます。個人事業のような扱いになります。特定の目的のために結成されるもので、その目的は、例えば患者会の他にも地域の文化活動、スポーツ活動、子ども会など様々な身近なものがあります。組織形態は自由です。資金は寄付や会費、イベント、助成金などがあります。法人格を持たないので、法律上の責任を負えません。寄付金の税制優遇などメリットが使えません。

  2. 法人団体 法律上の手続きを経て、法的に法人格を認められます。会社のようなイメージです。法人には定められたルールがあり、任意団体よりも運営の手間がかかります。また、税金も発生します。法人格によっては、寄付金の税制優遇が受けられる場合があります。株式会社など営利企業の法人格のほか、NPO法人、認定NPO法人、一般社団法人、一般財団法人などの法人格はここに含まれます。

私は、最初は1の任意団体から始めることをお勧めします。(理由は後ほど)

団体を始める具体的な方法

任意団体も法人団体もほぼ同じです。何のためにやるのか、どんな組織なのか、手続きや登録、お金を集める、実際に活動する計画を立てる、これができると団体がスタートできます。

  1. 目的を明確にしよう: 当事者団体を設立する目的を明確に定めることが重要です。例えば、情報提供、支援活動、政策提言など、具体的な目標を設定しましょう。

  2. メンバーの選定: がん患者やその家族、支援者など、関心を持つ人々を集めます。様々なバックグラウンドや経験を持つメンバーが集まることで、より多様な視点が得られます。

  3. 組織の構造: 役員や運営委員会などの組織構造を設定し、会議の開き方や、会計の担当、どんな活動をするのかなど物事の決め方(意思決定)のルールをtくります。。

  4. コミュニケーション: メンバー間のコミュニケーションを円滑にするためのツールやプラットフォームを整えます。最近ですとLINEなどのSNSツールでグループを組むだけでも最初は十分です。定期的な会議やイベントの開催も重要です。

  5. 法的手続き: 適切な法的手続きを踏むことが必要です。法人格の取得や登記、税務申告などの手続きを遵守しましょう。任意団体の場合も、市町村のルールで登録すると、公共施設の会場費が安くなるなど、お得なことがありますので、市役所の市民活動課に確認してみましょう。

  6. 資金調達: 活動資金の調達方法を考えます。寄付、助成金、イベントの開催など、様々な方法があります。ここがなかなか難しいです。

  7. 実際の活動と連携: 他のがん患者や関連団体との連携や交流を図ります。地域コミュニティや医療機関との関係構築も重要です。


患者団体の強みと弱み

当事者だからこその強みと、団体運営は別物です。団体運営で最初につまづくケースも見られます。

強み

  • 経験の共有: 同じ経験を持つメンバーが集まることで、お互いに理解しながら活動できます。

  • 情報提供: がんに関する最新の情報や治療法、生活支援など、実際の体験をシェアできます。

  • 声の統一: 体験者の意見をまとめて発信できます。

弱み

  • 資金不足: 活動資金の調達が難しい場合があります。

  • 人員不足: ボランティアで運営される団体では、メンバーの負担が大きくなる場合があります。

  • 意見の不一致: メンバー間で意見が分かれることがあり、組織内での調整が必要です。

最初は、任意団体で数人で小さく始めてみよう

周りの団体を見ると立派な活動をしているように見えるかもしれませんが、どこの団体も概ね運営の難しさを感じています。どんな団体も、最初は小さなことから始まっています。新しいことを始めるときに一番大事なことは、まず一つやってみることです。

低リスクで、少人数で、小さなことからやってみてはいかがでしょうか。例えば、地域の病院の患者会の情報をSNSで発信することや、自分たちが困ったことをどう解決したのかをブログの記事形式で発信するのも、自分たちのできることを周囲に理解してもらう第一歩になると思います。

地味ですが、まずはそこから。法人格にするのは、寄付や依頼の取引先が増えてきて、手続きや契約上法人格が必要になってからで良いのです。

助成金の探し方

年間で事業が計画できるようになったら、患者団体向けの助成金を使ってみましょう。以下は2024年に募集があった、がん患者団体向けの助成金の一部です。

参考URL


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