困った時に、誰もが正しい情報とサポートに出会えるように。ピアの理念と、目指すところ。
こんにちは。患者さんの日常生活を豊かにしたい会社PEER(ピア)の代表、佐藤真琴です。このnoteではピアの事業を通じてどのような社会づくりを目指すのかについて、またその周辺について、書いています。
ここからの内容を3行でまとめると、このような内容です。
・ピアは概念であって、方法は何でもいい会社
・最初の10年お店のおかげで生き残り、次の10年はお店と概念の運用へ
・ここからの10年は、まずはプラットフォームから始めます。
ピアは、困った時に解決方法が降りてくる場所、という概念です。
ピアって何をしている会社なのかいまいちよくわからない、美容室ですよね?ウィッグの会社ですよね?といろいろ言われるのですが、私もどのように説明したら良いのか、いまいちよくわかっていません。美容室とか、製造メーカーとか、相談場所とか、一つずつにこだわると、来年には違うことをしているかもしれないのです。というわけで、ピアは概念の会社と説明しています。
私たちのお店は、脱毛時期を体験する人たちへのウィッグと美容室を運営していて、そこで皆さんのお困りごとやつぶやきを聞きながら、一緒に解決方法を考えたり、そのお手伝いをさせてもらっています。
最初はオンラインから。
ピアは2003年に、がん患者さん向けのサービスを目指して始めた会社です。最初はウィッグをネットオークションサイトで販売していました。その頃はウィッグが必要になる人のことが全然わかっていなくて、がん患者さんしか知りませんでした。ところが、世の中には脱毛症をはじめとする髪が抜けて見た目に苦しむ人がたくさんいることをお客さまから教えてもらいました。
たくさんのやり取りから、何も知らなかった!と反省しました。それから、理由は何でも構わないので、髪の毛やウィッグのことで私たちができることはありませんか?とあちこちでPRして、お話を聞いて、その人たちへのサービスを作ってきました。
今でもできないことはたくさんありますが、できることも増えてきました。お一人ずつの困りごとを丁寧に聞く。大事なことの優先順位を決める。できる方法を現実的に考えて提案する。ピアでできる方法と、その他に世の中に方法があれば(他社でも)ちゃんと説明する。とにかくお客さまの日常生活が豊かになることを考える。そんな会社です。
だから、手段は何でもいいのです。八百屋さんでも、薬局でも、なんでもいいのです。その方法が一番良ければ、それをやればいい。ピア、という役割が果たせるなら、手段は何でもよし。だから、ピアは概念と言えます。
最初の10年、生き残れたのは場所のおかげ。
もしネットオークションとオンラインストアだけ運用していたら、ピアは早々に無くなっていたと思います。創業して2年目に、小さなシェアオフィスの一室を借りて、相談スペースを開始しました。ここに遠くからお客さまがやってきてくれて、話して、採寸したり、現物を見てもらったりしながら、いろんなことを学ばせてもらいました。私はウィッグについてはかなりのマニアになりつつありましたが、まだ使っている人のことは理解が浅くて、使い心地のお話とか、毎日の工夫のことなど、本当にいろいろなことを教えてもらいました。それに対してマニアな技能でウィッグをお届けして、それに対して実際のフィードバックをもらって、少しずつ知識と現実の感覚が整ってきました。
その1年後には、美容室を作りました。本当にお金がなくて、事務所スペースを借りて、そこを仕切って、保健所に通って美容室の営業許可を取り、タダでもらったセット椅子と鏡を置いて、美容師さんを採用して、美容室をスタートしました。この美容師さんが本当に素晴らしい方で、お金も機材もないところでの工夫をいろいろ考えて実践しつつ、ピアの美容室の基本を作ってくれました。この頃から近隣エリアの病院にパンフレット設置をはじめました。このパンフレット計画はかなり難航しまして、ここを書くと長いので割愛しますが、だんだんと認知してもらえるようになり、病院から「パンフレットが無くなったよ」とご連絡をいただけるくらいになりました。
私はリアルな場所にとてもこだわりがあります。話しにくいことを話す時に、その環境を整えることが大事だと最初の10年で学びました。創業して10年生き残れるのは数5%と言われる美容業界でなんとか生き残れたのは、相談したら解決もある場所と、その安心感をつくることができたおかげだと考えています。
この10年は、店舗を軸に、概念へのチャレンジ。
2021年9月で、ピアは19年目に入りました。おかげさまで浜松の専門美容室ピアはがん診療を行う医療機関に認知され、声をかけてもらえるようになりました。これは店舗を運営している店長と美容師さんの真摯な日々が作り出したものです。
ピアの中の人達は本当に素晴らしい、と手前味噌で恐縮ですが、変わらない真剣さと、やってみちゃいました♥と試しにやってみる、商品化してみる、喜ばれたら仕組みにしてみる、というイノベーションの大原則を自然に体現しており、スタッフ全員でお店を暖かさと解決策のある場所にしています。
その一方で私は何をしているのかというと、商品の製造管理や、ピアから見えてきた患者さんの日常生活を豊かにする支援を、美容室の他でもできないだろうか、患者さんが解決方法と出会える場所の持続可能性を考えたり、時代にあった支援の形を模索しています。ピアという概念を使うとこんな未来が見えますよという話を、看護師さんなど一緒にやりたい人たちへの提案、大学の講義、一般企業へのアプローチ、ピッチなどでお伝えしています。
創業20年までのあと1年半。バーチャルとリアルでピアを加速させます。
私達がピアを通して出会ったのは、多くは脱毛時期を体験する人です。その中にはがん患者さんはもちろん、脱毛症、抜毛症、頭の手術、火傷や怪我、LGBTQ、産後や更年期、原因不明の薄毛、病気とは言われないけれど髪のことで暮らしにくい人、本当に多様な人たちです。
この方々に共通していることは、相談する最初の一歩のハードルの高さと、情報を判断する判断基準が曖昧で、不自由なこだわりにとらわれやすいことがあります。特に近年、SNSの普及もあり、多様な情報が溢れています。粒のような細かい情報が増えれば増えるほど、大枠で”私はどうしていくのか”という計画が見えにくくなります。木が多すぎて、森まで見えない。それをなんとかします。ピアという概念で。
解決方法と繋がり続ける場所、プラットフォームを作りたい。
最新の正しい情報は、然るべきところからネット上に公開されています。ただ、見つけにくい。そして、自分と同じような悩みを持つ人たちとの出会いも難しい。2021年4月に開始したスピークというプロジェクトでは、それらに繋がり、かつ、おしゃべりから自分の悩みが見えてきて、解決方法も見えてくる、そんな空間を作ろうとしています。
現在は試験版として、がんと言われてから3ヶ月くらいの不安な時期に知りたいことを中心に、この時期でも読みやすいショートコラムと、根拠ある情報と、正しいURLを紹介しています。誰もが悩みを抱えた時には不安になります。それが病気や見た目が変化して、周りにも見えてしまうならば、なおさらです。そんな時に、誰もが正しい情報とサポートに出会えるような場所づくりに挑みます。
へー、スピークって面白そうと思った方、ぜひTwitterをフォローしてください。
そしてこちらがSpeakのオンラインメディア。病院向けの資料も絶賛配布中です。お申し込みもSpeakからどうぞ、もしくはこのnoteからでも結構です。無料ですから、ぜひぜひ使ってください。