競馬初心者が考える天皇賞春の予想
※あくまで本稿は競馬初心者が考える予想であり、これを基に馬券を買って外しても責任は一切取れません。
馬券購入は自己責任ですから(by 川田将雅)
明日、5/2日に阪神競馬場で第163回天皇賞(春)が行われる。今年は京都競馬場の改修工事の影響で、1994年にビワハヤヒデが制して以来27年ぶりの阪神開催である。例年と異なる状況であるため、大半の予想はこの開催競馬場の違いに着目して予想を組み立てて行くことになるだろう。
まず予想において最大のポイントは、施行コースが仁川で淀のターフとは全く異なることは言うまでもない。坂の起伏などコース形状の違いもそうだが、何より仁川の『外回り→内回りの3200m』という数十年に1度出るか出ないかという激レアコース設定である。当然ながら、指標にできるレースなどほぼ無く、唯一あるのが同様のコース設定で施行された今年の松籟ステークスだけだ。あとは同じ3000ⅿ以上のレースである阪神大賞典か菊花賞ぐらいであろう。つまり、過去のレースから傾向を読みだすのはあまりにも情報が限られおり、有効な部分を拾い上げるのは難しいのだ。
そうなった場合、どこから拾い上げるかとなったら、この特殊なコース設定の特徴と展開から読むしかないと思う。
Ⅰ.仁川の3200mについて
競馬ラボ様より引用(https://www.keibalab.jp/yosou/coursedata/hanshin/t3200/)
まず、この図を見てみると特徴は概ね3つある。
①3・4コーナーから緩やかな坂を下り、スタンド前の直線で2度、高低差約2mの急坂を上る必要がある。
②2週目のコーナーからゴールまでの直線は360ⅿと、GⅠ競走が行われる競馬場の中でもまぁまぁ短い。
③外回りの3.4コーナーは非常に緩やかであるが、対照的に内回りはかなり急。
以上の点から推測される、「このコースに沿った馬」の特徴は、
「3200mという長距離を走りつつ、内回りコーナーや2度の急坂を攻略できるスタミナとパワーがあること」であろう。おそらく、パワーがない馬や、あってもスタミナがない馬というのは間違いなく先頭争いから脱落することは間違いないとみてよい。
Ⅱ.騎手の話と展開
展開について、Youtubeのカンテレ公式チャンネルに大変興味深い動画が上がっているのこちらを観てもらいたい。
これは、当日にワールドプレミアに騎乗する福永祐一騎手自らコースの特徴と展開について語った動画である。ここでは詳細な部分の説明を省くが、要所でポイントをまとめているのでそちらを参照すればよいかと思う。
やはり、中央のトップジョッキーですら1度しか経験のないというこのコース設定がかなり難しいことがよく分かる。ましてや、経験のない騎手にとっては手探り状態で挑むレースになることは必須であろう。その点も念頭に置く必要があるようだ。
次に予想される展開に視点を向けてみよう。まずは過去のレースから2つをあげる。
1つ目は同じ阪神3200mで行われた1994年の天皇賞春、2つ目は今年の2月に行われた松籟ステークスの映像である。94年の天皇賞は11頭立てかつ馬場改修前、松籟Sは14頭立てなど異なる条件があることは留意する必要があるものの、この映像から今回の予想に役立てそうなポイントがいくつか見て取れた。
1.スタートから隊列の伸び方
レース映像からも分かるように、スタートして最初のコーナーに差し掛かるまでに馬群の隊列はかなり伸びている。阪神大賞典のように、スタートからすぐに急なコーナーに入る外枠不利なコース形状とは異なり、最初の直線に入るまでの直線は長い。そのため、よく外枠の不利があげられるが、大賞典以上の差はないと見て良いだろう。
2.馬のポジション取りについて
むしろ着目して欲しいのはこのポジション取りである。
映像をみて、いくつかの特徴があると思った。まずは、馬群の長さとまとまりという点。映像だと、おおむね1週目の向正面から外周りコーナーに入る間、馬群はかなり縦長になり、最初の直線から第1・2コーナー、そして2週目の向正面に入るあたりぐらいには徐々にまとまっていた。しかし、それぞれのポジションはだいたいキープしており、無理に攻めようとしている馬はいない。福永騎手の動画にもあるように、2週目でポジションを変えて攻めて行こうものなら2週目の向正面から仕掛けないと、パワーのない馬は内回りの急コーナーに対応できずにそのまま撃沈することとなる。つまり、約1000m以上のロングスパートをかけなければならず、後半で展開を作るのは困難であり、最初の1週目で取ったポジションのまま展開が進む。
天皇賞春
松籟ステークス
いずれも引用元はnetkeiba.com
上の画像にあるコーナーの通過順位を見てもだいたいの馬が最初の通過から最後の通過までポジションを変えていない。(一部差し馬の例外はあるが)
つまり、最初のポジション取りのまま最後まで展開が流れる可能性は十分に高いと考えられる。特に今年のように17頭立てともなればポジション取りの部分は注目してよいと思う。
また見てわかるように、先攻逃げに展開が向いており、差し馬追い込みは基本的に1着をとるのは厳しい。差し馬になるとしても、内回りの急カーブを攻略する必要があるため、外ぶん回しするような展開になるとさらに不利になる可能性は高い。
勿論、ナリタタイシンやシルヴァーソニックのように差し切って馬券に絡む馬もいるが、パワーや切れ味が足りない馬になれば泣く泣く印を消さなければいけないと考えた方が良い。
Ⅲ.で、結局どの馬なん?
ここまでいくつかの視点から見てきたが、結局どの馬がいいのか。好走する馬の要点を整理すると…
①3200mという長距離を走りつつ、内回りコーナーや2度の急坂を攻略できるスタミナとパワーがあること(≒長距離の経験があること)
②先行・逃げれること。差し馬でも大外からぶん回しするのは×
③騎手にとってもほぼ初めてのコース設定であるため、道中しっかりと折り合いをつけれること
概ねこのあたりであろう。
となると、この条件に当てはまる馬はディープボンドやディアスティマ、オーソリティ、ユーキャンスマイル、アリストテレスであると思う。
印で整理すると、
◎ディープポンド
〇ディアスティマ
▲オーソリティ
△アリストテレス、ユーキャンスマイル
と考えている。
◎ディープボンド
今年の阪神大賞典の勝ち馬。前走は重馬場をもろともせず先行逃げ切りの勝ちを収めている。重馬場の仁川を攻略し切った体力とパワーは順当に評価されてよいと思うし、当日は曇り~雨と稍重馬場が想定されていて展開も向いている。1ハロンの延長も全く問題ない。鞍上は引き続き主戦でキャリアの長い和田騎手とのコンビで挑む。前走と同じように先頭集団にとりついて、好位からの競馬すれば十分に勝機はあると見て良いだろう。あとは当日のパドック状態次第だ。
○ディアスティマ
同じ阪神3200mという舞台設定を唯一攻略している松籟Sの勝ち馬。スタートからゴールまで先頭逃げていたのに、2着に0.5秒以上の着差をつけて勝ちを収めているスタミナ量の多さは加点評価してよいだろう。重馬場経験も2度して3着以内好走とパワーもある程度保証できる。鞍上もキャリアの長い主戦の北村騎手でOK。
一方で減点材料としては、前走があくまで3勝クラスの条件戦であることと、今回は斤量2kg増である点は頭に入れておいたほうがよい。当然ながらGⅠの舞台となれば相手関係での勝利要求レベルは上がるため逃げ切り勝ちできるかどうかは難しくなることは必至だ。スタミナを使った消耗戦になれば勝ち目は十分に残っているだろう。
▲オーソリティ
天皇賞より距離が長い3400ⅿダイヤモンドSの2着。しかし、1着とはクビ差での敗着であり上りで34秒8の脚を使えている点は加点できよう。長距離の経験があって、これだけの脚を使えるなら距離短縮となれば十分においしい。鞍上は最近4週連続重賞勝利と好調の川田騎手なのも○だ。
しかし、加点材料より減点材料の方が多いのが懸念。まず第一に仁川の経験がないことは致命傷で、2度の急坂を攻略できるかは不明瞭だ。そして第二に初の58kgと斤量増なのも少し不安。また相手関係のレベルも上がる。この懸念を払拭できるかどうか次第。
△1アリストテレス
昨年の菊花賞の2着。無敗の三冠馬・コントレイルを追い詰めた脚とスタミナは間違いなく本物であろう。鞍上も関西リーディングトップを直走る春天連覇中の巧者・ルメール騎手なのはかなりプラスだ。しかし、前走の阪神大賞典では、雨でテンションが上がり、道中でやる気をなくして失速、大敗北という手痛い一面を見せた。今年のAJCCで道悪も攻略し、パワーもあることも証明していたが、前走のように折り合いに欠く可能性があるのは少し怖い。
特に、今回のように距離が長く、超ロングラン開催となって芝が痛んでいる仁川のターフと雨の稍重馬場がどこまでマッチできるかかと思う。あとやっぱ斤量増もちょっと怖い。正直、当日のパドックと返し馬での状態次第だと思う。雨が降ってテンション上がるそぶり見せるなら、強気に消すのはアリだと思う。
△2ユーキャンスマイル
2018年の菊花賞3着馬。馬のキャリアとしては長く、GⅠは7度経験している。長距離経験も19・20年の春天、19年のダイヤモンドS、前走の阪神大賞典と非常に多い。しかし、一方で喉なりの症状が見られるなどの噂が立っている。特に前走ではディープボンドに2着とはいえ、0.9秒差も差をつけらているのがかなり気がかりで、これは今の実力差を如実に表していると思う。仮に喉なりの噂が本当であれば、力関係が上がるこの舞台だとかなり難しいレースを強いられるのではないか。また後ろ目で走る馬なので、この差しが届きにくいと想定される舞台設定を攻略できるかどうかだろう。
その他の馬について
ワールドプレミア
一昨年の菊花賞馬。ステイヤーとしてのベースはあると思うが、今回のこの舞台設定が合っているかどうかだと思う。鞍上は福永騎手だが、先述した動画の中で、前目につけることより若干後ろ目で走ることを想定しているようだった。なので後ろ目で競馬することになりそうで、差しが先頭を捉えれるかに若干の不安が残る。一方で、日経賞で上がり34秒5の脚を繰り出せるなど、一度叩いて状態は上向いていることは好材料だ。直線の急坂経験も阪神はじめ中山で経験しているので、ある程度は持っているとみてよいかと。
しかし、休養期間が長ったためにキャリアが少ないく、雨での競馬経験がないのはちょっと怖い。当日の天気展開次第としか言えないのがなんとも。
カレンブーケドール
なにかと2着が多いシルバーコレクター。昨年のジャパンCでは、三冠馬対決に割り入るかのようにデアリングタクトを追い詰めた脚は本物。しかし、3000m以上の経験がないのは正直言って大減点材料。前目で競馬するかと思うけど、ディアスティマ・オーソリティのように長距離経験組じゃないから、ペース配分も考えてのポジション争いでかなり苦労すると思う。
正直、応援の意味で人気していると思うので、マジ馬券なところから見たらケシ強め。
マカヒキ
2016年のダービー馬。マカヒキ君!?。
なんでまだ走ってるんですか。同期はウマ娘で女の子になりましたよ…。
Ⅳ.まとめ
ここまで展望してきた。自分の所感としては(繰り返しになるが)いかにこの舞台設定を攻略できる経験量があるかどうかだと思っている。おそらく、この春GⅠの中でもかなり難解なレースになるのではないかと思う。是非、お役に立ててもらえれば嬉しい。
追記)5/2 2:21 一部誤字脱字修正。表現も修正。
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