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本を書く喜びをおしえてくれた”とど”の女将はもういない。
中山マコトです。
今日は思い出話を。
かつて新宿に、”とど”と言う大分料理の名店がありました。
で、新宿から赤坂見附に移転しても、僕の付き合いは変わりませんでした。。
この店の女将の覚悟と信条は僕の著作、
”ありがとうの育て方。”
に詳しく書いたので、興味のある方は是非とも読んで下さい。
で、ある日。
相方と2人でこのとどに行きました。
名物のりゅうきゅうとか薩摩揚げ、グリーンサラダをオーダし、
女将にサイン入りの”ありがとうの育て方。”を
「これに書かせてもらったよ~」と手渡しました。
女将は本当に喜んでくれ、
「マコトさんがこんな本に書いてくれるなんて、本当に嬉しいわ~」
と言ってくれました。
程なく、僕達のテーブルに、鍋料理のセットが運ばれてきました。
オーダした覚えの無い料理です。
女将が来てこう言うんです。
「書いてくれたお礼に、珍しいアラの鍋をプレゼントするわ。」
そのアラの鍋は本当に本当においしくて、こっちこそ涙が出そうでした。
アラと言うのは本当に希少な魚で、そうしょっちゅう手に入るモノではありません。
女将も本当に嬉しかったのだろうと思います。
で、料理とお酒、鍋を心から楽しみ、会計を頼むと、女将がこう言うんです。
「こんな、色んな人が読んでくれる本に書いてくれたんだもの。
今日は私からのサービス。この本にうちの店載ってるのよ!
そう言うだけで店の事が良く分かるじゃない!
どんどん使わせていただくわ・・・」
正直、通常の感覚だと2人で3万円くらいの金額でしょう。
僕はとてもとても嬉しかった。
が、嬉しかったのは無料になったことでもアラ鍋を食べられた事でもありません。
僕が心から嬉しかったのは、女将がその価値を理解してくれていたからです。
そう、まさに僕は、この本をお店のために活かしてもらうべく書いたのですから・・・。
同じ、本に載っても、まったく活用しない店もあります。
恥ずかしげにする店もあります。
が、とどの女将は、堂々とこれをお客さんに見せる、読ませると言います。
まさにそれこそが自信であり、女将の「この店と共に生きる!」と言う覚悟です。
この本には、他にも多くの店や人が登場します。
そのみんなが、もっともっと活用してくれたら・・・
楽しく、嬉しいのにな~と思います。
そのとどの女将。
2年前に亡くなりました。
コロナでなかなか顔を出せず、しかも大阪に住むようになってからの突然でした。
さよならも言えず、僕は泣きました。
号泣しました。
でも、女将の魂はこの本に息づいています。
本の価値のひとつが、「記録」にあるなら、僕は間違いなく女将の生き様を記録できたと思います。
女将は、今日も天国であの笑顔を見せているでしょう。
ありがとうね。
合掌!
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