狭間のあなた【詩】
いつも一人きり
谷からみんなを見守るあなた
みんなが温かい食卓を囲むころ
あなたは冷たい岩に囲まれているのだろう
あなたの涙が朝露になって
小鳥が運び
少女の頬へ
このまま夜を越えたくないと思う日も
このまま夜が終わらないと思った日も
幾度も過ごしてきた
その強さは胸に光る
見えない口元に笑みが浮かんでいますように
いつも願っている
いっそ全部振り切ったら
楽になるのかななんて
思ってしまう帰り道
いつも一人きり
抗えない自分と戦うために
みんなが手を取り合って踊るころ
あなたは武器を手にさまよっているのだろう
あなたの叫びは木々に吸い込まれ
森のざわめきとともに
少年の胸へ
目をそらしたいことに
正面から向き合っている
その誠実さがまぶしい
何も持たずに安らぐ時間がありますように
いつも願っている
わたしとあなたの願いが叶いますように
いつも願っている