これが好き、と言葉にするための第一歩

好きなものは何ですか?

 この質問に、いつもすぐ答えられない。
好きな食べ物、飲み物、スポーツ、テレビ番組…。数ある好きなものの中から、当たりさわりのなさそうなものを選んで答えてしまう。
 学生時代、たまたま帰り道が一緒になった子が、突然、同人誌が好きだと打ち明けてくれた。そのキラキラした瞳がとてもきれいで、心底うらやましかった。そして対極にいる自分が憎らしかった。

 なぜ好きなものを聞かれても答えられないのか。興味がない話題だったときもあるけど、やっぱり周りの目を気にし過ぎていて、そのくせ相手に理想の返事を求めていたと思う。
 「ああ、それ好きだと思った」とか「へー、意外」とか、ささいなひと言が気になっていた。わたし、どんなイメージだったの?みたいな。
 そして最近気づいたのが、好きのハードルを上げすぎていたこと。「これが好き」って言うには、それについて全部知ってないといけないと思っていた。
 それから、一つにしぼれない。イチゴも柿も梨もどれもおいしい。一つを選ぶということは、他は好きじゃないことになる気がしていた。何でも好きだと八方美人な気がしていた。

 そんな中、noteでいろんな記事を見ていると驚いた。皆さん、はっきりと好きな物事について話したり作ったりしている。とても楽しそうで、輝いていた。
 私も、周りの目を気にせず好きなものを言えるようになりたい。ここなら言えるかも。


 そうしてnoteに登録して1か月が過ぎたが、それでも私は好きなものを自己紹介欄に書けなかった。もう、言わないクセがついているのかもしれない。
 でも言いたい。せっかくnoteを始めたことだし、表現する第一歩として、まず好きなものをここに書いてみたい。

 わたしの好きな食べ物は玉ねぎです。好きなバンドはマキシマムザホルモンで、詩人は石川啄木と、石垣りんが好きです。


 はあ、書けた。初めて人目を気にせず書けました。ちなみにライブ行ったことありません。詩集も全部読んでません。でも好きです。


いつか言葉にして言える日が来ますように。

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